2級建築施工管理技士 第一次検定「建築学」のうち、鋼材の問題です(重要度A)。一問一答7問 → 四肢択一3問の順に解き、解答・解説は各問題の下を開いて確認してください。
一問一答(○×)
重要度:A 難易度:★☆☆
問1:鋼は、炭素量が多くなるほど引張強さや硬さが増し、伸びも大きくなる。
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正解:×
炭素量が多くなると引張強さや硬さは増しますが、伸び(延性)や靭性、溶接性は低下します。「伸びも大きくなる」が誤りです。溶接する構造用鋼材で炭素量を低く抑えるのはこのためです(一般的な工学知識:米国連邦道路庁 Steel Bridge Design Handbook FHWA-HIF-16-002 ほか)。
重要度:A 難易度:★☆☆
問2:構造用鋼材の降伏点や引張強さは、温度が上昇しても1,000℃程度までは常温時とほとんど変わらない。
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正解:×
構造用鋼材の降伏点や引張強さは、温度が上がるにつれて低下し、火災時のような数百℃の高温では常温時より大幅に低くなります。鋼材は燃えない材料ですが、高温で強度が保たれるわけではありません(一般的な工学知識:建築研究所「鋼部材の火災による崩壊の臨界点の解明」、米国連邦道路庁 FHWA-HIF-16-002)。
重要度:A 難易度:★★☆
問3:鋼材のヤング係数は、引張強さの大きい高強度の鋼材ほど大きくなる。
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正解:×
鋼材のヤング係数は約2.05×10⁵N/mm²で、鋼材の種類(強度)が違ってもほぼ同じ値です。そのため、高強度の鋼材を使っても、同じ大きさの応力に対する変形(ひずみ)は小さくなりません(一般的な工学知識:米国連邦道路庁 FHWA-HIF-16-002、日本大学 講義資料の物性値表ほか)。
重要度:A 難易度:★☆☆
問4:一般構造用圧延鋼材SS400の「400」は、降伏点の下限値が400N/mm²であることを示している。
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正解:×
SS400の「400」は、引張強さの下限値(400N/mm²)を示しています。SS400の引張強さの規格値は400〜510N/mm²で、降伏点は(板厚16mm以下で)245N/mm²以上です(原子力規制委員会の公開資料に記載された規格値)。なお、許容応力度の計算に用いる基準強度F(厚さ40mm以下)は235N/mm²です(平成12年建設省告示第2464号)。
重要度:A 難易度:★☆☆
問5:鉄筋コンクリート用棒鋼の異形鉄筋SD345の「345」は、降伏点の下限値が345N/mm²であることを示している。
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正解:○
記述のとおりです。SD345の降伏点の規格値は345〜440N/mm²、引張強さは490N/mm²以上で、記号の数値は降伏点の下限値を示しています(原子力規制委員会の公開資料に記載された規格値)。基準強度Fも345N/mm²です(平成12年建設省告示第2464号)。引張強さの下限値を示すSS400とは、数値の意味が異なります。
重要度:A 難易度:★☆☆
問6:鋼材の線膨張係数は、約1.2×10⁻⁵(1/℃)である。
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正解:○
記述のとおりです。鋼材の線膨張係数は12×10⁻⁶/℃(=1.2×10⁻⁵/℃)程度です。1mの鋼材の温度が10℃上がると、約0.12mm伸びることになります(一般的な工学知識:国土交通省中部地方整備局「河川構造物の設計参考書」、中国地方整備局 中国技術事務所の手引き)。
重要度:A 難易度:★☆☆
問7:ステンレス鋼は、クロムを一定量以上(10.5%以上)含む鋼で、表面に緻密な保護膜(不働態皮膜)が形成されるため、耐食性に優れる。
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正解:○
記述のとおりです。ステンレス鋼はクロムを10.5%以上含む鋼をいい、表面に鉄やクロムの酸化物などからなる緻密な不働態皮膜が形成されることで、さびにくい性質(耐食性)をもちます(一般的な工学知識:大阪大学 学位論文(2017)序論、米国連邦道路庁 FHWA-HIF-16-002)。
四肢択一
重要度:A 難易度:★★☆
問8:鋼材の性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- 鋼の密度は、約7.85g/cm³である。
- 鋼材のヤング係数は、約2.05×10⁵N/mm²である。
- 鋼は、炭素量が少ないほど溶接性が良い。
- 建築構造用圧延鋼材SN490Bの「490」は、降伏点の下限値が490N/mm²であることを示している。
【第8問:正解と解説】
正解:4
正解は4です。SN材の記号の数値は、SS400と同じく引張強さの下限値を示します。SN490B・Cの引張強さの規格値は490〜610N/mm²で、降伏点(厚さ40mm以下)は325N/mm²以上です。したがって、4が不適当です(原子力規制委員会の公開資料に記載された規格値)。
1:適当です。鋼の単位体積重量は77.0kN/m³で、77.0÷9.81≒7.85t/m³(=7.85g/cm³)です(国土交通省中部地方整備局「河川構造物の設計参考書」表4-1-1、日本大学 講義資料)。
2:適当です。鋼材のヤング係数は約2.05×10⁵N/mm²で、鋼材の強度によらずほぼ一定です(近畿大学・日本大学の講義資料、米国連邦道路庁 FHWA-HIF-16-002)。
3:適当です。炭素量が多くなると強度・硬さは増しますが、溶接性・伸び・靭性は低下します。炭素量が少ないほど溶接性は良くなります(米国連邦道路庁 FHWA-HIF-16-002 ほか)。
4:不適当です。SN490Bの「490」は引張強さの下限値(490N/mm²)です。降伏点の下限値は、厚さ40mm以下で325N/mm²です。
重要度:A 難易度:★★☆
問9:建築基準法施行令第90条及び平成12年建設省告示第2464号に定める構造用鋼材(炭素鋼)の許容応力度に関する記述として、最も適当なものはどれか。ただし、Fは基準強度とする。
- 長期に生ずる力に対する引張りの許容応力度は、F/1.5である。
- 短期に生ずる力に対する許容応力度は、長期に生ずる力に対する許容応力度の2倍である。
- 長期に生ずる力に対するせん断の許容応力度は、F/1.5である。
- SS400(厚さ40mm以下)の基準強度Fは、400N/mm²である。
【第9問:正解と解説】
正解:1
正解は1です。施行令第90条の表一では、構造用鋼材の長期に生ずる力に対する圧縮・引張り・曲げの許容応力度をいずれもF/1.5としています。したがって、1が適当です(建築基準法施行令第90条)。
1:適当です。長期の圧縮・引張り・曲げの許容応力度はF/1.5です(施行令第90条 表一)。
2:不適当です。短期の許容応力度は、長期の各数値の1.5倍です(施行令第90条 表一)。
3:不適当です。長期のせん断の許容応力度はF/(1.5√3)です(施行令第90条 表一)。
4:不適当です。SS400(厚さ40mm以下)の基準強度Fは235N/mm²です。「400」は引張強さの下限値を示す数値で、基準強度ではありません(平成12年建設省告示第2464号)。
重要度:A 難易度:★★☆
問10:鋼材に関する次の記述a〜dのうち、適当なものはいくつあるか。
a.鋼材のヤング係数は、高温になると低下する。
b.鋼材の線膨張係数は、普通コンクリートの線膨張係数のおよそ10倍である。
c.建築基準法施行令第96条によれば、構造用鋼材(炭素鋼)の引張りの材料強度は、基準強度Fと同じ値である。
d.異形鉄筋SD345の「345」は、引張強さの下限値が345N/mm²であることを示している。
- 1つ
- 2つ
- 3つ
- 4つ
【第10問:正解と解説】
正解:2
正解は2です。適当なものはaとcの2つです。bは、鋼材とコンクリートの線膨張係数はほぼ等しい(鋼材約1.2×10⁻⁵/℃、鉄筋コンクリート構造物の設計ではともに10×10⁻⁶/℃として扱う)ため不適当です。dは、SD345の「345」は降伏点の下限値であるため不適当です。
1:不適当です。適当なものはa・cの2つです。
2:適当です。a(高温でヤング係数が低下する:建築研究所「鋼部材の火災による崩壊の臨界点の解明」、米国連邦道路庁 FHWA-HIF-16-002)とc(施行令第96条 表一で引張りの材料強度はF)が適当で、b(線膨張係数はほぼ等しい:国土交通省中部地方整備局「河川構造物の設計参考書」)とd(345は降伏点の下限値)は不適当です。
3:不適当です。bとdは不適当です。
4:不適当です。bとdは不適当です。
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