2級建築施工管理技士 第一次検定「建築学」のうち、鉄骨構造の問題です(重要度A)。一問一答8問 → 四肢択一4問の順に解き、解答・解説は各問題の下を開いて確認してください。
一問一答(○×)
重要度:A 難易度:★☆☆
問1:鋼材は建築基準法上の不燃材料に該当するが、高温になると強度が低下するため、鉄骨の柱・梁には耐火被覆を施して、火災時の鋼材の温度上昇を抑えることがある。
解答を見る
正解:○
鉄鋼は不燃材料として告示に定められています(平成12年建設省告示第1400号)。しかし、不燃材料であることは燃えないという意味であり、鋼材は火災の熱で高温になると強度が低下し、柱・梁が大きく変形するおそれがあります。そのため、断熱性の高い耐火被覆で鉄骨を保護し、温度上昇を抑えます(建築研究所の公開資料、標準仕様書7.9.2)。
重要度:A 難易度:★★☆
問2:建築基準法施行令では、構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材の有効細長比を、柱にあっては250以下、柱以外のものにあっては200以下と定めている。
解答を見る
正解:×
建築基準法施行令第65条では、構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材の有効細長比を、柱は200以下、柱以外のものは250以下と定めています。問題文は柱と柱以外の数値が逆です。
重要度:A 難易度:★☆☆
問3:H形鋼を梁に用いる場合、曲げモーメントは主としてウェブが負担し、せん断力は主としてフランジが負担する。
解答を見る
正解:×
H形鋼の梁では、曲げモーメントは主としてフランジが負担し、せん断力は主としてウェブが負担します(明石工業高等専門学校・職業能力開発総合大学校の公開資料)。問題文はフランジとウェブの役割が逆です。
重要度:A 難易度:★☆☆
問4:角形鋼管柱に梁を剛接合する仕口部では、梁フランジと同じ高さにダイアフラムを配置し、梁フランジに生じる引張力・圧縮力を柱に伝える。
解答を見る
正解:○
ダイアフラムは、角形鋼管柱の柱梁接合部で梁フランジの位置に設け、梁フランジの応力を柱に伝達するための鋼板です。板厚も取り付く梁フランジの板厚を基に決めます(建築研究所 建築研究資料No.143、九州大学・日本大学の公開資料)。
重要度:A 難易度:★★☆
問5:スチフナーは、合成梁において、鉄骨梁とコンクリートスラブとのずれを防ぐために梁の上フランジに溶接する部材である。
解答を見る
正解:×
スチフナーは、ウェブなどの薄い板要素に取り付けて、その座屈や変形を抑えるための補剛材です(国土交通省 建築基準整備促進事業報告、明石工業高等専門学校の公開資料)。鉄骨梁とコンクリートスラブのずれを防ぐのは頭付きスタッドなどのシアコネクタです。
重要度:A 難易度:★☆☆
問6:合成梁では、鉄骨梁の上フランジに溶接した頭付きスタッドを介して、鉄骨梁とコンクリートスラブとの間で力を伝達させ、両者を一体として働かせる。
解答を見る
正解:○
合成梁は、鉄骨梁とコンクリートスラブを緊結して両者の間で力を伝達させ、耐力と剛性を高めたものです。緊結には、ずれ止めとして頭付きスタッドが多く用いられます(日本女子大学・大阪工業大学の公開資料、標準仕様書7.2.8)。
重要度:A 難易度:★★☆
問7:建築基準法施行令では、構造耐力上主要な部分である柱の脚部は、滑節構造である場合を除き、国土交通大臣が定める基準に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならないと定めている。
解答を見る
正解:○
建築基準法施行令第66条のとおりです。柱の脚部は、大臣が定める基準(平成12年建設省告示第1456号)に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結します。ただし書により、滑節構造である場合はこの限りではありません。
重要度:A 難易度:★☆☆
問8:鉄骨構造は、鋼材の強度が高く部材断面を小さくできる反面、細長い部材や薄い板要素は座屈を生じやすいため、座屈に注意して設計する必要がある。
解答を見る
正解:○
鋼材は強度が高いため細くスリムな部材をつくることができますが、棒は細長いほど、板は薄いほど座屈を起こしやすくなります。このため鉄骨構造では座屈に注意が必要です(近畿大学・信州大学・明石工業高等専門学校の公開資料)。
四肢択一
重要度:A 難易度:★★☆
問9:建築基準法施行令の鉄骨造に関する規定(第63条〜第70条)の内容として、最も適当なものはどれか。
- 構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材のうち、柱以外のものの有効細長比は、250以下としなければならない。
- 構造耐力上主要な部分に鋳鉄を用いる場合は、圧縮応力又は接触応力以外の応力が存在する部分にも使用することができる。
- 鉄骨造に関する規定は、鉄骨造と鉄筋コンクリート造とを併用する建築物については、その鉄骨造の構造部分にも適用されない。
- 地階を除く階数が3以上の建築物(法令で除外される一定の建築物を除く。)で、一の柱のみの火熱による耐力の低下によって建築物全体が容易に倒壊するおそれがある場合として国土交通大臣が定める場合は、その柱は、通常の火災による火熱が加えられた場合に加熱開始後1時間、構造耐力上支障のある変形等を生じないものとしなければならない。
【第9問:正解と解説】
正解:1
正解は1です。施行令第65条では、構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材の有効細長比を、柱は200以下、柱以外のものは250以下と定めています。したがって、選択肢1が正しい記述です。
1:正しい。施行令第65条により、柱以外の圧縮材の有効細長比は250以下です(柱は200以下)。
2:誤り。施行令第64条第2項により、鋳鉄は、圧縮応力又は接触応力以外の応力が存在する部分には使用してはなりません。
3:誤り。施行令第63条により、鉄骨造の節の規定は、鉄骨造の建築物のほか、鉄骨造と鉄筋コンクリート造その他の構造とを併用する建築物の鉄骨造の構造部分にも適用されます。
4:誤り。施行令第70条では、加熱開始後「30分間」、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものとしています。1時間ではありません。
重要度:A 難易度:★★☆
問10:鉄骨構造の部材に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- 通しダイアフラム形式の柱梁接合部では、角形鋼管柱を切断してダイアフラムを挟んで溶接し、そのダイアフラムに梁フランジを溶接する。
- 合成梁では、頭付きスタッドにより鉄骨梁とコンクリートスラブとを緊結し、両者の間で力を伝達させる。
- 高力ボルト接合において、接合する部材の板厚の差によって生じる肌すきを埋めるために挿入する鋼板を、スプライスプレートという。
- ブレースを柱や梁に接合する部分には、ガセットプレートを用いる。
【第10問:正解と解説】
正解:3
正解は3です。接合部の材厚の差等による肌すきを埋めるために入れる鋼板はフィラープレートです(標準仕様書7.4.6(2)では、1mmを超える肌すきがある場合にフィラープレートを入れるとしています)。スプライスプレートは、継手で部材を両側から挟んで接合する添え板です。したがって、選択肢3が不適当です。
1:適当。通しダイアフラム形式では、柱を切断してダイアフラムに溶接し(建築研究資料No.143)、梁フランジはダイアフラムに溶接します(標準仕様書7.3.3に「通しダイアフラムと梁フランジの溶接部」の記載)。ダイアフラムを介して梁フランジの応力が柱に伝わります。
2:適当。合成梁は、頭付きスタッドなどのずれ止めで鉄骨梁とコンクリートスラブを緊結し、両者の間で力を伝達させて一体として働かせます(日本女子大学・大阪工業大学の公開資料)。
3:不適当。肌すきを埋める鋼板はフィラープレートです(標準仕様書7.4.6(2))。スプライスプレートは梁継手などで部材を挟んで接合する添え板です(建築研究資料No.143、職業能力開発総合大学校の公開資料)。
4:適当。ブレースは、ガセットプレートを介して柱・梁に接合します(建築研究資料No.143、大阪工業大学の公開資料)。
重要度:A 難易度:★★☆
問11:鉄骨造の柱脚に関する次の記述a〜dのうち、平成12年建設省告示第1456号に定める構造方法の内容として、正しいものの組合せはどれか。ただし、構造計算を行うことにより告示の規定の一部が適用されない場合は考えないものとする。
a.露出形式柱脚では、アンカーボルトの基礎に対する定着長さを、アンカーボルトの径の20倍以上とする。
b.根巻き形式柱脚では、根巻き部分の高さを、柱幅の2倍以上とする。
c.埋込み形式柱脚では、コンクリートへの柱の埋込み部分の深さを、柱幅の2倍以上とする。
d.根巻き形式柱脚では、根巻き部分の主筋を2本以上とする。
- a と b
- b と d
- c と d
- a と c
【第11問:正解と解説】
正解:4
正解は4です。告示第1456号では、露出形式柱脚のアンカーボルトの定着長さを径の20倍以上(a)、埋込み形式柱脚の埋込み深さを柱幅の2倍以上(c)としています。根巻き形式柱脚は、根巻き高さが柱幅の2.5倍以上、主筋が4本以上です。したがって、正しいものはaとcです。
1:誤り。aは正しいが、bは誤りです。根巻き部分の高さは柱幅の2.5倍以上です。
2:誤り。bとdはどちらも誤りです。根巻き部分の高さは柱幅の2.5倍以上、主筋は4本以上です。
3:誤り。cは正しいが、dは誤りです。根巻き部分の主筋は4本以上です。
4:正しい。a(定着長さは径の20倍以上)とc(埋込み深さは柱幅の2倍以上)が告示第1456号の内容です。
重要度:A 難易度:★★☆
問12:鉄骨構造に関する次の記述a〜dのうち、適当なものはいくつあるか。
a.鋼材の板要素は、幅厚比が大きいほど局部座屈を生じやすい。
b.スチフナーは、H形断面の梁のウェブなどに取り付けて、その座屈を抑えるための補剛材である。
c.鉄骨の柱・梁に施す耐火被覆は、鋼材の腐食を防ぐことを主な目的とするものである。
d.デッキプレートは、床スラブのコンクリートを打ち込む型枠として用いられるほか、コンクリートと一体にした合成スラブとしても用いられる。
- 1つ
- 2つ
- 3つ
- 4つ
【第12問:正解と解説】
正解:3
正解は3です。a・b・dの3つが適当です。cは誤りで、耐火被覆は火災時の鋼材の温度上昇を抑え、高温による強度低下を防ぐためのものです(建築研究所の公開資料)。
1:誤り。適当なものは3つ(a・b・d)です。
2:誤り。適当なものは3つ(a・b・d)です。
3:正しい。aは板が薄い(幅厚比が大きい)ほど局部座屈を生じやすいこと(国土交通省 建築基準整備促進事業報告、信州大学の公開資料)、bはスチフナーの役割(明石工業高等専門学校の公開資料ほか)、dはデッキプレートの用途(標準仕様書7.2.7・6.8.2)で、いずれも適当です。cは不適当で、耐火被覆の目的は火災時の温度上昇の抑制です。
4:誤り。cは不適当なので、4つではありません。耐火被覆は断熱性の高い材料で鉄骨を保護し、火災時の温度上昇を抑えるためのものです。
「建築学」の他の論点
- 換気
- 伝熱・断熱・結露
- 日照・日射
- 採光・照明
- 音響
- 色彩
- 木造の構造
- 鉄筋コンクリート構造
- 鉄骨の接合
- 地盤・基礎構造
- 荷重・外力
- 構造力学(反力・せん断力)
- 構造力学(応力図)
- 構造力学(応力度・材料の力学的性質)
- セメント・コンクリート
- 鋼材
- 木材
- 石材・タイル・セメント系材料
- 防水材料・シーリング材
- 建具・ガラス
- 内装材料