未実現損益の消去(棚卸資産・土地) 計算問題 第1問〜第5問

問1

P社はS社の発行済株式の80%を保有している。当期中、P社はS社へ商品を販売しており、利益率は売価に対して20%である。S社の期末商品のうちP社から仕入れた分は300,000円である。

期末商品に含まれる未実現利益の金額を求めなさい。

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解答・解説

  • 期末商品に含まれる未実現利益:60,000円

300,000×20%=60,000円

検証:掛ける相手は期末商品のうち内部仕入分であり、期末商品の全額でも当期の内部売上高でもありません。売った側が親会社なので、この金額を非支配株主へ按分することはありません。


問2

P社はS社の発行済株式の80%を保有している。当期中、S社はP社へ商品を販売しており、付加率は原価に対して25%である。P社の期末商品のうちS社から仕入れた分は450,000円である。期首商品に内部仕入分はない。

(1)売価に対する利益率、(2)期末商品に含まれる未実現利益、(3)その消去による非支配株主持分への影響額を求めなさい。

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解答・解説

  • (1) 売価に対する利益率:20%
  • (2) 期末商品に含まれる未実現利益:90,000円
  • (3) 非支配株主持分への影響額:18,000円の減少

(1) 25% ÷ (1+25%) = 25% ÷ 125% = 20%
(2) 450,000×20%=90,000円
(3) 90,000×20%=18,000円(非支配比率は100%-80%=20%)

検証:非支配株主分18,000円と親会社株主分90,000×80%=72,000円を足すと90,000円になり、消去額の全体と一致します。ただしこの足し戻しは、20%と80%を入れ替えても合計が90,000円に戻るため、比率の取り違えを見つけてはくれません。また付加率を換算せずに450,000×25%=112,500円としても計算の形は成立してしまいます。与えられているのが付加率か利益率かを、問題文で確かめる必要があります。


問3

P社はS社の発行済株式の80%を保有している。当期中、P社は帳簿価額2,000,000円の土地をS社へ2,400,000円で売却し、固定資産売却益を計上している。S社は期末においてもこの土地を保有している。

(1)消去する未実現利益の金額、(2)消去後に連結貸借対照表に計上される土地の金額を求めなさい。

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解答・解説

  • (1) 消去する未実現利益:400,000円
  • (2) 連結貸借対照表の土地:2,000,000円

(1) 2,400,000-2,000,000=400,000円
(2) 2,400,000-400,000=2,000,000円

検証:消去後の土地が、内部で売買する前のP社の帳簿価額2,000,000円に戻ることが確認の手がかりになります。土地は減価償却をしないため、経過期間による調整は行いません。売った側が親会社なので、非支配株主への按分は生じません。


問4

P社はS社の発行済株式の80%を保有している。P社はS社へ商品を販売しており、利益率は売価に対して20%である。S社の期首商品のうちP社から仕入れた分は400,000円であり、これらはすべて当期中に企業集団の外部へ販売されている。S社の期末商品のうちP社から仕入れた分は300,000円である。

(1)期首商品に含まれていた未実現利益、(2)期末商品に含まれる未実現利益、(3)これらの連結修正が当期の売上原価に与える正味の影響額を求めなさい。

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解答・解説

  • (1) 期首商品の未実現利益:80,000円
  • (2) 期末商品の未実現利益:60,000円
  • (3) 売上原価への正味の影響:20,000円の減少

(1) 400,000×20%=80,000円
(2) 300,000×20%=60,000円
(3) 期末の消去は売上原価を60,000円増やし、期首の実現は売上原価を80,000円減らします。正味では60,000-80,000=△20,000円、すなわち20,000円の減少です。

検証:期首と期末の両方を入れたかが要点です。期末だけを見ると60,000円の増加、期首だけを見ると80,000円の減少となり、いずれも正味の影響にはなりません。向きが逆であることに注意してください。期末の消去は売上原価を増やし、期首の実現は減らします。


問5

P社はS社の発行済株式の70%を保有している。S社はP社へ商品を販売しており、利益率は売価に対して20%である。P社の期首商品のうちS社から仕入れた分は400,000円であり、これらはすべて当期中に企業集団の外部へ販売されている。P社の期末商品のうちS社から仕入れた分は550,000円である。

(1)期首商品に含まれていた未実現利益、(2)期末商品に含まれる未実現利益、(3)開始仕訳で利益剰余金当期首残高に計上する金額、(4)開始仕訳で非支配株主持分当期首残高に計上する金額、(5)これらの連結修正が当期の売上原価に与える正味の影響額、(6)当期の非支配株主持分への正味の影響額を求めなさい。

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解答・解説

  • (1) 期首商品の未実現利益:80,000円
  • (2) 期末商品の未実現利益:110,000円
  • (3) 利益剰余金当期首残高:56,000円
  • (4) 非支配株主持分当期首残高:24,000円
  • (5) 売上原価への正味の影響:30,000円の増加
  • (6) 非支配株主持分への正味の影響:9,000円の減少

判断根拠

売った側が子会社である点が、この設問の分かれ目です。順に組み立てます。

順 算定 計算 金額
1 期首の未実現利益 400,000×20% 80,000
2 期首のうち親会社株主分 80,000×70% 56,000
3 期首のうち非支配株主分 80,000×30% 24,000
4 期末の未実現利益 550,000×20% 110,000
5 期末のNCI減額 110,000×30% 33,000
6 当期実現によるNCI増加 80,000×30% 24,000

(3)(4):前期の消去はS社の利益を80,000円減らしており、その負担は親会社株主と非支配株主に分かれています。開始仕訳の借方も同じ割合で分かれ、利益剰余金当期首残高 56,000円と 非支配株主持分当期首残高 24,000円になります。貸方の商品は80,000円で、借方2行の合計と一致します。売った側が親会社であれば借方は1行で済みますが、子会社なので2行に分かれます。

(5):期末の消去は売上原価を110,000円増やし、期首の実現は80,000円減らします。正味では110,000-80,000=30,000円の増加です。

(6):期首の実現はS社の利益を増やすので非支配株主持分を24,000円増やし、期末の消去はS社の利益を減らすので33,000円減らします。正味では24,000-33,000=△9,000円、すなわち9,000円の減少です。

検証

検証項目 計算 結果
開始仕訳の貸借 56,000+24,000=80,000 一致
期首の按分の足し戻し 56,000+24,000 80,000
売上原価の正味 110,000-80,000 30,000 増加
非支配株主持分の正味 24,000-33,000 9,000 減少
クロスチェック 30,000×30% 9,000

売上原価の正味増加30,000円に非支配比率30%を掛けた9,000円が、非支配株主持分の正味減少と一致します。 期首と期末を別々に計算しても、正味額から一気に求めても同じ値になることが、両方を漏れなく入れたことの確認になります。

ただし、これらの検証では見つからない誤りが2つあります。 ひとつは金額そのものの誤りで、どの仕訳も借方と貸方が同額になる形である以上、貸借の一致は金額の正しさを保証しません。もうひとつは70%と30%の取り違えで、56,000+24,000でも24,000+56,000でも合計は80,000円に戻り、クロスチェックも30,000×70%=21,000円として一貫してしまいます。どちらが非支配株主の割合かを問題文に戻って確かめる必要があります。

想定される誤り:ひとつは(3)(4)を取り違え、利益剰余金当期首残高に24,000円、非支配株主持分当期首残高に56,000円を置くことです。貸借は一致するため気づきにくい誤りです。ふたつめは(5)で期首の実現を落とし、110,000円の増加としてしまうことです。三つめは(6)で期首の実現による増加24,000円を落とし、33,000円の減少としてしまうことです。期首と期末は向きが逆であり、両方を入れて初めて正味額になります。


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