学習のポイント
① 決算整理の一巡
2級の決算では、各論で学んだ整理事項を決まった順序で一つずつ処理し、精算表や決算整理後残高試算表を完成させます。順序は次のとおりです。
| 順 | 整理事項 |
|---|---|
| 1 | 未処理・訂正事項 |
| 2 | 現金過不足・当座預金の調整 |
| 3 | 売上原価の算定と期末商品の評価 |
| 4 | 貸倒引当金 |
| 5 | 有価証券の評価 |
| 6 | 固定資産の減価償却・リース |
| 7 | 無形固定資産の償却 |
| 8 | その他の引当金 |
| 9 | 外貨建ての債権債務の換算 |
| 10 | 経過勘定(前払・未払・前受・未収) |
| 11 | 税効果 |
| 12 | 法人税等 |
順序を守る理由は2つあります。
② 順序が結果を変える2つの場面
1つ目:率で計算する項目は、訂正後の残高で計算する。
たとえば、掛売上の記帳漏れがあれば、まず売掛金を訂正します。貸倒引当金は訂正後の売掛金に率を掛けて求めます。訂正前の残高で計算すると、必要額も繰入額も違う数字になります。
2つ目:税効果は、関係する整理を終えてから行う。
その他有価証券の評価や、貸倒引当金など損金算入に制限がある項目の税効果は、それらの整理が済んで金額が確定してから計算します。外貨換算や償却のあとに置くのはこのためです。
③ 各整理事項の要点
各論で学んだ内容を、決算で使う形にまとめます。
| 整理事項 | 計算 | 仕訳の形 |
|---|---|---|
| 棚卸減耗損 | (帳簿数量-実地数量)×原価 | 棚卸減耗損 / 繰越商品 |
| 商品評価損 | 実地数量×(原価-正味売却価額) | 商品評価損 / 繰越商品 |
| 貸倒引当金(差額補充) | 訂正後の債権×率 - 決算整理前残高 | 貸倒引当金繰入 / 貸倒引当金 |
| その他有価証券(時価が上昇) | 時価-取得原価 | その他有価証券 / 繰延税金負債・その他有価証券評価差額金 |
| その他有価証券(時価が下落) | 取得原価-時価 | 繰延税金資産・その他有価証券評価差額金 / その他有価証券 |
| 減価償却(定額法) | 取得原価÷耐用年数(残存価額0) | 減価償却費 / 建物減価償却累計額 |
| ソフトウェア償却(直接法) | 取得原価÷償却年数 | ソフトウェア償却 / ソフトウェア |
| 外貨建て債権(円安) | 外貨額×(決算日レート-取引時レート) | 売掛金 / 為替差損益 |
| 外貨建て債務(円高) | 外貨額×(取引時レート-決算日レート) | 買掛金 / 為替差損益 |
| 税効果(将来減算一時差異の増加) | 一時差異の増加×実効税率 | 繰延税金資産 / 法人税等調整額 |
その他有価証券の税効果は、評価差額に実効税率を掛けた分を繰延税金負債(上昇時)または繰延税金資産(下落時)とし、残りをその他有価証券評価差額金とします。損益計算書を通さず、純資産に直接計上します。
④ 経過勘定
期をまたぐ費用・収益は、当期分と翌期分に分けます。
- 翌期分をすでに支払っている → 前払費用(資産)
- 当期分をまだ支払っていない → 未払費用(負債)
- 翌期分をすでに受け取っている → 前受収益(負債)
- 当期分をまだ受け取っていない → 未収収益(資産)
前払分のうち、決算日の翌日から1年を超えて費用になる部分は、長期前払費用として固定資産に区分します。1年以内の部分は前払費用のままです。
月割りの計算は、支払った期間の月数と、当期に属する月数を数えて按分します。
⑤ 精算表と決算整理後残高試算表
整理仕訳が出そろったら、精算表に流し込みます。
3級の合言葉「横に流して、縦で締める」はそのまま使えます。
- 決算整理前の残高を左の欄に置く
- 整理仕訳を修正記入の欄に横に記入する
- 各科目を縦に見て、修正後の残高を損益計算書または貸借対照表の欄へ移す
- 損益計算書の欄の差額が当期純利益となり、貸借対照表の欄の差額と一致する
決算整理後残高試算表は、修正記入を反映した後の残高を科目ごとに並べたものです。整理後の残高は、すべての整理仕訳と整合していなければなりません。 一つでも仕訳を落とせば、残高のどこかがずれます。
⑥ 【2026年度】不動産の賃借料の科目
2026年度の試験では、事務所や店舗などの不動産を借りて毎月支払う賃借料は、支払家賃(建物の場合)または支払地代(土地の場合)として費用計上します。
期をまたぐ場合は、④の経過勘定の考え方で前払分・未払分を分けます。
⑦ 【2027年度】不動産の賃借料の科目
2027年度の試験では、事務所や店舗などの不動産を借りて毎月支払う賃借料を、支払リース料として費用計上します。前年度までの科目名は用いません。
期をまたぐ場合の扱いは次のとおりです。
- 翌期分をすでに支払っている → 前払費用
- 当期分をまだ支払っていない → 未払費用
リース料に固有の名前を付けた科目は、問題文で特に指定されない限り標準の解答としては用いません。 一般の経過勘定と同じ科目で処理します。
⑧ 検算
- 率で計算した項目は、訂正後の残高を使ったか
- 税効果は、関係する整理のあとに計算したか
- 整理後の残高が、すべての整理仕訳を反映しているか
- 精算表の損益計算書の欄と貸借対照表の欄で、当期純利益が一致するか
⑨ ここで扱わない範囲
- 将来の撤去費用をあらかじめ負債として計上する処理
- 創立費などをいったん資産に計上して後から償却する処理
- その他有価証券の評価差額のうち、下落分だけを損益に計上する方法
これらは扱いません。その他有価証券の評価差額は、上昇・下落にかかわらず純資産に計上する方法だけを用います。