学習のポイント
① 2つの帳簿から1つの財務諸表へ
本店と支店がそれぞれ帳簿をつけている会社でも、外部に公表する財務諸表は会社全体で1つです。決算では、本店と支店の金額を合わせて合併財務諸表を作ります。
やることは大きく2つです。
- 合算する — 本店の金額と支店の金額を科目ごとに足す
- 相殺する — 会社の内部だけのやりとりを消す
合併額 = 本店金額 + 支店金額 - 内部取引の相殺
② 作成の手順
決算では次の順に進めます。
| 順 | 手順 |
|---|---|
| 1 | 未達事項を整理する |
| 2 | 本店の「支店」と支店の「本店」が一致することを確認する |
| 3 | 本店・支店それぞれの決算整理を行う |
| 4 | 合算し、内部のやりとりを相殺する |
| 5 | 合併財務諸表を作る |
未達事項がない場合は手順1の整理作業は不要で、手順2の照合勘定の一致確認へ進みます。さらに各自の決算整理も完了済みなら、その確認後に手順4の合算・相殺へ進みます。
③ 支店の利益を本店へ集める
支店も自分で損益を計算し、利益を出します。しかし利益は会社全体で1つなので、支店の利益は本店へ集めます。
支店の利益を P とすると、
| 帳簿 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 支店 | 損益 P | 本店 P |
| 本店 | 支店 P | 損益 P |
支店では、自店の損益を締めて支店利益を本店へ集約します。本店では、その支店利益を本店側の損益へ取り込みます。
この仕訳によって、本店の「支店」と支店の「本店」が同じ額だけ増えます。 集約の前後どちらでも、2つの照合勘定は同額・逆方向のままです。
たとえば集約前が900,000円で支店利益が400,000円なら、集約後は1,300,000円になります。
④ 支店利益は合併損益計算書に足さない
ここが最も注意を要する点です。
支店から本店へ集めた利益は、会社の外から得た収益ではありません。 支店がすでに稼いだ利益を、社内で本店へ移しただけです。
したがって、合併損益計算書に「支店から受け取った利益」として別途加算してはいけません。
合併損益計算書は、本店と支店それぞれの外部収益・外部費用を合算して作ります。
合併売上高 = 本店の売上高 + 支店の売上高合併売上原価 = 本店の売上原価 + 支店の売上原価合併販売費及び一般管理費 = 本店の分 + 支店の分合併当期純利益 = 合併売上高 - 合併売上原価 - 合併販売費及び一般管理費
このとき、合併当期純利益は本店自身の利益と支店の利益の合計に一致します。集約の仕訳をしてもしなくても、会社全体の利益は変わらないからです。この一致が検算になります。
⑤ 照合勘定は合併貸借対照表に残さない
本店の「支店」は本店帳簿の借方側に、支店の「本店」は支店帳簿の貸方側に並びます。
しかし、会社全体で見ればどちらも社内のやりとりを記録しただけで、外部に対する資産でも負債でもありません。合併貸借対照表を作るときは、この2つを相殺して消します。
一致後の照合残高を R とすると、
借 本店 R / 貸 支店 R
この相殺により、合併貸借対照表に「支店」も「本店」も残りません。
⑥ 相殺しないとどうなるか
本店・支店の貸借対照表を照合勘定を残したまま単純に合算すると、「支店」と「本店」が同額ずつ残るため、貸借対照表の両側が同時に膨らみます。
- 借方側に「支店」が残る
- 貸方側に「本店」が残る
両側に同額が残るので、貸借は一致したままです。 つまり貸借の確認だけでは相殺し忘れに気づけません。合併後の資産合計が、相殺額の分だけ実態より大きくなります。
「支店」「本店」が合併貸借対照表に載っていないかを、必ず目で確かめます。
⑦ 検算
- 集約後の本店「支店」と支店「本店」が同額・逆方向になっているか
- 合併当期純利益が、本店自身の利益と支店の利益の合計と一致しているか
- 合併貸借対照表の資産合計と負債・純資産合計が一致しているか
- 合併貸借対照表に「支店」「本店」が残っていないか
3つ目だけでは不十分です。4つ目を必ず確かめます。
⑧ ここで扱わない範囲
- 本店から支店へ送る商品に利益を上乗せしている場合の処理
- 外国にある支店の金額を円に直す処理
これらは扱いません。ここでは、送った商品に利益が上乗せされていない場合だけを考えます。