前提:会計期間は4月1日から翌年3月31日まで、決算日は3月31日とします。
前払・未払・未収・前受それぞれの単独の判定は、C09-T03(費用の前払い)・C09-T04(収益の前受け)・C09-T05(費用の未払いと収益の未収) で確認してください。ここでは、4分類を横に並べて使い分ける判断だけを扱います。
重要度:A 論点:経過勘定の判断基準(期間帰属)
問1(二択)
経過勘定の決算整理で、ある金額を当期の費用・収益に含めるかどうかを判断する基準として適切なのはどちらか。
A:その金額の支払・受取が済んでいるかどうかだけで判断する B:その金額が当期に属するか翌期に属するかを確認する
解答を見る
正解:B(その金額が当期に属するか翌期に属するかを確認する)
解説
経過勘定は、現金の受け渡しの時点と、費用・収益が属する会計期間のずれを決算で調整するために用います。ある金額を当期の費用・収益に含めるかどうかは、その金額の期間帰属を確認して判断します。
本教材では、判断を次の順序で整理します。
- その金額は当期の分か、翌期の分か(期間帰属)
- その分について、支払・受取が済んでいるか
- 1と2の組み合わせから4分類を決める
支払・受取の状況だけを先に見ても、当期分か翌期分かが決まらないかぎり、増やすのか減らすのかが決まりません。たとえば「支払済み」という情報だけでは、全額が当期分なら調整は不要であり、翌期分を含む場合にはじめて前払になります。
A が誤りである理由:支払・受取の状況だけでは、その金額を当期の費用・収益に含めるべきか判断できないためです。
重要度:A 論点:4分類の資産・負債分類と借貸方向の対応
問2(分類)
次の4つの経過勘定を、資産と負債に分けなさい。
前払家賃 ・ 未払利息 ・ 未収利息 ・ 前受家賃
解答を見る
正解
| 分類 | 該当する経過勘定 |
|---|---|
| 資産 | 前払家賃・未収利息 |
| 負債 | 未払利息・前受家賃 |
解説
分類は、その後どうなるかで決まります。
| 経過勘定 | 内容 | 分類 |
|---|---|---|
| 前払家賃 | 代金を先に払っているので、翌期にサービスを受ける権利がある | 資産 |
| 未収利息 | 当期分をまだ受け取っていないので、あとで受け取る権利がある | 資産 |
| 未払利息 | 当期分をまだ払っていないので、あとで支払う義務がある | 負債 |
| 前受家賃 | 代金を先に受け取っているので、翌期にサービスを提供する義務がある | 負債 |
「前払」「未収」が資産、「未払」「前受」が負債です。この分類は、そのまま仕訳の借方・貸方に対応します。
- 資産である前払家賃・未収利息 → 借方
- 負債である未払利息・前受家賃 → 貸方
経過勘定の側の位置が決まれば、費用・収益の科目は反対側に入ります。
重要度:A 論点:4分類の決算整理効果と整理後残高の式の対応
問3(分類)
前払・未払・未収・前受の4つについて、決算整理が当期の費用・収益に与える効果を答えなさい。
解答を見る
正解
| 区分 | 効果 |
|---|---|
| 前払 | 当期の費用を減らす |
| 未払 | 当期の費用を増やす |
| 未収 | 当期の収益を増やす |
| 前受 | 当期の収益を減らす |
解説
効果の向きは、期間帰属と決算整理前の記帳状態の組み合わせで決まります。本教材の基本ケースでは、次のように整理します。
| 条件 | 帳簿の状態 | 決算整理 |
|---|---|---|
| 費用・収益として計上済みで、翌期分を含む(前払・前受) | 当期分としては多い | 減らす |
| 決算整理前には未計上で、当期分がある(未払・未収) | 当期分としては足りない | 増やす |
費用側か収益側かは、もとの取引が費用(家賃・保険料・利息の支払など)か収益(家賃・地代・手数料・利息の受取など)かで決まります。
この効果は、決算整理後の金額を求める式にそのまま現れます。
| 区分 | 決算整理後の金額 |
|---|---|
| 前払 | `整理前費用 − 翌期分` |
| 未払 | `整理前費用 + 未計上の当期分` |
| 未収 | `整理前収益 + 未計上の当期分` |
| 前受 | `整理前収益 − 翌期分` |
「計上済みの翌期分は減らす、未計上の当期分は増やす」という筋道で、4つとも導けます。

コメント