経過勘定の決算整理 仕訳問題【全3問】

共通前提

  • 会計期間は4月1日から翌年3月31日までである。決算日は3月31日。
  • 各問の決算整理事項は、すべて同じ決算日に処理する。
  • 支払済み・受取済みとして示された金額は、支払時・受取時に対応する費用・収益科目へ全額計上済みとする。未払・未収として示された当期分は、決算整理前には未計上とする。
  • 経過勘定は、具体的な勘定科目(前払家賃・未払利息など)を用いる。

4分類それぞれを単独で処理する仕訳は、C09-T03(費用の前払い)・C09-T04(収益の前受け)・C09-T05(費用の未払いと収益の未収) で扱っています。ここでは、複数の区分が同じ決算に並んでいるとき、それぞれを取り違えずに処理することを確認します。


重要度:A 論点:費用側2区分(前払・未払)を同じ決算で処理し分ける

問1(標準)

決算にあたり、次の決算整理事項を仕訳しなさい。

  1. 支払済みの家賃のうち、翌期に属する分が ¥31,000 ある。
  2. 当期に発生した借入金の利息のうち、未払いの分が ¥55,000 ある。
解答を見る

正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
前払家賃 31,000 支払家賃 31,000
支払利息 55,000 未払利息 55,000
合計 86,000 合計 86,000

解説

2つとも費用に関する調整ですが、向きが逆です。

事項 支払・受取 期間帰属 区分 当期費用
1 済み 翌期分を含む 前払 減らす
2 当期分が未計上 未払 増やす

1(前払):家賃はすでに支払われ、支払家賃として記帳されています。そのうち翌期分は当期の費用ではないので、支払家賃を貸方で減らし、翌期にサービスを受ける権利として前払家賃(資産)を借方に計上します。

2(未払):利息は当期に発生していますが、まだ支払っていないため帳簿に乗っていません。当期分なので支払利息を借方で増やし、あとで支払う義務として未払利息(負債)を貸方に計上します。

経過勘定の側から見ると、資産である前払家賃は借方、負債である未払利息は貸方です。費用の科目は、その反対側に入ります。

誤りとなる考え方

  • 前払で支払家賃を借方に置く:費用をさらに増やすことになり、調整の向きが逆になります。
  • 未払で支払利息を貸方に置く:当期に発生した費用を消してしまいます。
  • 未払利息を「未払金」とする:未払金は商品以外の売買から生じた未払額であり、時の経過にともなって発生する利息には用いません。

重要度:A 論点:収益側2区分(未収・前受)を同じ決算で処理し分ける

問2(標準)

決算にあたり、次の決算整理事項を仕訳しなさい。

  1. 当期に発生した貸付金の利息のうち、未収の分が ¥61,000 ある。
  2. 受取済みの家賃のうち、翌期に属する分が ¥67,000 ある。
解答を見る

正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
未収利息 61,000 受取利息 61,000
受取家賃 67,000 前受家賃 67,000
合計 128,000 合計 128,000

解説

2つとも収益に関する調整ですが、向きが逆です。

事項 支払・受取 期間帰属 区分 当期収益
1 当期分が未計上 未収 増やす
2 済み 翌期分を含む 前受 減らす

1(未収):利息は当期に発生していますが、まだ受け取っていないため帳簿に乗っていません。当期分なので受取利息を貸方で増やし、あとで受け取る権利として未収利息(資産)を借方に計上します。

2(前受):家賃はすでに受け取り、受取家賃として記帳されています。そのうち翌期分は当期の収益ではないので、受取家賃を借方で減らし、翌期にサービスを提供する義務として前受家賃(負債)を貸方に計上します。

経過勘定の側から見ると、資産である未収利息は借方、負債である前受家賃は貸方です。収益の科目は、その反対側に入ります。問1と合わせると、4分類とも経過勘定の位置は「資産なら借方・負債なら貸方」だけで決まることが確認できます。

誤りとなる考え方

  • 未収で受取利息を借方に置く:当期に発生した収益を消してしまいます。
  • 前受で受取家賃を貸方に置く:収益をさらに増やすことになり、調整の向きが逆になります。
  • 未収利息を「未収入金」とする:未収入金は商品以外の売買から生じた未受取額であり、時の経過にともなって発生する利息には用いません。

重要度:A 論点:費用側と収益側にまたがる3区分の同時処理

問3(応用)

決算にあたり、次の決算整理事項を仕訳しなさい。

  1. 支払済みの保険料のうち、翌期に属する分が ¥103,000 ある。
  2. 当期に発生した給料のうち、未払いの分が ¥112,000 ある。
  3. 受取済みの手数料のうち、翌期に属する分が ¥121,000 ある。
解答を見る

正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
前払保険料 103,000 保険料 103,000
給料 112,000 未払給料 112,000
受取手数料 121,000 前受手数料 121,000
合計 336,000 合計 336,000

解説

費用側の2区分と収益側の1区分が同じ決算に並んでいます。1件ずつ、期間帰属 → 支払・受取の順に判断します。

事項 もとの科目 支払・受取 期間帰属 区分 経過勘定 位置
1 保険料(費用) 済み 翌期分 前払 前払保険料(資産) 借方
2 給料(費用) 当期分が未計上 未払 未払給料(負債) 貸方
3 受取手数料(収益) 済み 翌期分 前受 前受手数料(負債) 貸方

事項1と事項3は、どちらも費用・収益として全額計上済みの金額に翌期分が含まれているため、その翌期分を当期から除く点で同じですが、片方は費用、もう片方は収益です。そのため、

  • 費用を減らす前払は、費用の科目を貸方に置く
  • 収益を減らす前受は、収益の科目を借方に置く

というように、経過勘定の位置も費用・収益の科目の位置も入れ替わります。「計上済みの翌期分を減らす」までは共通で、どちら側に置くかは費用か収益かで決まるという順序で考えてください。

貸借は、借方 `103,000 + 112,000 + 121,000 = 336,000`、貸方 `103,000 + 112,000 + 121,000 = 336,000` で一致します。

誤りとなる考え方

  • 事項1と事項3を同じ形の仕訳にする:どちらも「減らす」ですが、費用と収益では借方・貸方が入れ替わります。
  • 事項2を「未払金」とする:未払金は商品以外の売買から生じた未払額です。時の経過にともなって発生する当期分の給料には、未払給料を用います。
  • 複数事項をまとめて記載するときに、経過勘定どうし・費用収益どうしを勝手に相殺して純額にする:各事項の借方・貸方と金額を保ち、それぞれの科目へ記録します。


コメント

タイトルとURLをコピーしました