① 租税公課とは
租税公課は、固定資産税・印紙税・自動車税など、本教材で扱う一定の税金や公的負担を処理する費用の勘定科目です。
このページでは次のことを学びます。
- 租税公課で処理する税金と、そうでない税金の区別
- 収入印紙を購入したときの処理
- 郵便切手(通信費)との使い分け
- 決算日に未使用のまま残った収入印紙を貯蔵品へ振り替える接続
この単元を貫く一行は次のとおりです。
固定資産税・印紙税・自動車税などは租税公課。購入時に費用処理した収入印紙の期末未使用分は貯蔵品へ振り替える。
② 租税公課の基本仕訳
本単元で租税公課として処理する税金を納付したときは、租税公課(費用)を借方に、支払手段を貸方に記入します。
会社が所有する建物に係る固定資産税 ¥54,000 を普通預金口座から納付した。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 54,000 | 普通預金 | 54,000 |
検算:借方 54,000 = 貸方 54,000 ✓
費用の発生なので借方です。支払方法が現金でも普通預金でも、借方は租税公課のまま変わりません。
③ 租税公課で処理する代表的な税金
本教材で扱う範囲では、次の税金を租税公課で処理します。
| 税金 | どういう税金か |
|---|---|
| 固定資産税 | 土地や建物などを保有していることに対して課される税金 |
| 印紙税 | 契約書・領収書などの一定の課税文書に対して課される税金。収入印紙を用いて納付する方法などがある |
| 自動車税 | 営業用車両などを保有していることに対して課される税金 |
課税の仕組みはそれぞれ異なりますが、本教材の基本問題では、これらを租税公課で処理する例として扱います。
④ 他の税金の科目との境界
「税金だから租税公課」ではありません。 次の税金は、それぞれ専用の科目で処理します。
| 税金 | 使う科目 | 扱う単元 |
|---|---|---|
| 法人税・住民税・事業税を処理する場合 | 法人税、住民税及び事業税 | C08-T04 |
| 税抜方式の消費税 | 仮払消費税・仮受消費税・未払消費税 | C08-T05 |
| 給料から差し引いて預かる所得税 | 所得税預り金 | C08-T01 |
とくに法人税、住民税及び事業税は租税公課とは別の科目です。問題文に示された税金の種類と取引内容を確認して判断してください。
固定資産を取得したときの税金との違い
固定資産の取得に直接要した付随費用として問題文に示された仲介手数料・登記費用などは、その固定資産の取得原価に含める基本形をC07-T01で扱います。
| 場面 | 処理 |
|---|---|
| 固定資産の取得に直接要した付随費用(例:仲介手数料・登記費用) | 建物・土地などの取得原価に含める(C07-T01) |
| 固定資産を保有している間の固定資産税 | 租税公課(このページ) |
固定資産に関係する支出でも、すべてを一律に取得原価へ含めるわけではありません。取得に直接要した付随費用か、取得後に発生した固定資産税などの費用かを問題文から切り分けます。
⑤ 収入印紙
収入印紙は、印紙税の納付などに用いられる証票です。印紙税では、一定の課税文書について収入印紙を用いて納付する方法が基本となります。
購入した時点では、まだ契約書に貼っていない(使っていない)ものも含めて手元にありますが、問題の条件に従って、購入時にいったん全額を費用として処理するのが本教材の基本形です。
⑥ 収入印紙の購入時処理
収入印紙 ¥29,000 を現金で購入した。購入時に全額を費用として処理する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 29,000 | 現金 | 29,000 |
検算:借方 29,000 = 貸方 29,000 ✓
本教材の基本形では、収入印紙を購入時に費用処理する場合の科目を租税公課とします。
なお、購入時にどう処理するかは問題文の条件によって示されます。「購入時に全額を費用として処理した」という条件を確認してから解答してください。
⑦ 郵便切手との違い
見た目も買い方も似ていますが、郵便切手は郵便サービスに用いるものです。購入時に費用処理する場合の科目は通信費です。
| 購入したもの | 性質 | 購入時の費用科目 |
|---|---|---|
| 収入印紙 | 印紙税の納付などに用いられる証票 | 租税公課 |
| 郵便切手 | 郵便サービスに用いられるもの | 通信費 |
印紙は租税公課、切手は通信費。
この区別は、決算日に未使用分を振り替えるときの相手勘定にそのまま影響します。
⑧ 決算日に未使用の収入印紙
購入時に全額を租税公課として処理していても、決算日に使わずに残っている収入印紙は、まだ費用として使い切っていません。まだ使える価値が手元にあります。
そこで決算整理で、未使用分を費用から抜き出して資産へ振り替えます。このときの資産の科目が 貯蔵品 です。
⑨ 貯蔵品への振替
×3年3月31日 当期中に収入印紙 ¥62,000 を購入し、全額を租税公課として処理している。決算日に未使用の収入印紙 ¥23,000 が残っていた。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 貯蔵品 | 23,000 | 租税公課 | 23,000 |
検算:借方 23,000 = 貸方 23,000 ✓
- 借方の理由:未使用分はまだ価値が残っているので、貯蔵品(資産)の増加です。
- 貸方の理由:当期の費用から抜くので、租税公課(費用)の減少です。
向きを逆にすると、費用がさらに増えてしまいます。
⑩ 当期使用分と未使用分
振り替えるのは、購入した金額の全部ではありません。
決算日に未使用で残っている金額だけを貯蔵品へ振り替えます。
⑨の例で確かめます。
| 金額 | どうなるか | |
|---|---|---|
| 当期の購入額 | 62,000 | いったん全額を租税公課とした |
| 期末未使用額 | 23,000 | 貯蔵品(資産)へ振り替える |
| 当期使用分 | 39,000 | 租税公課(費用)として当期に残る |
62,000 − 23,000 = 39,000 です。
問題文に購入額と未使用額の両方が示されていても、決算整理仕訳で使うのは未使用額です。購入額を振り替えないよう注意してください。
⑪ 貯蔵品の決算整理そのものについて
このページで扱ったのは、租税公課という費用科目と、その使い残しである収入印紙が貯蔵品になるという関係までです。
貯蔵品の決算整理には、このほかにも次のような内容があります。
- 未使用の郵便切手を通信費から貯蔵品へ振り替える処理
- 収入印紙と郵便切手をあわせて振り替える処理
- 決算整理後の費用残高と貯蔵品残高を求める処理
- 決算日の翌期首に費用へ戻す処理
これらは C14-T05「貯蔵品の決算整理」が扱います。
また、貯蔵品は未使用の収入印紙・郵便切手だけに使う科目ではありません。勘定科目マスタでは、固定資産を除却したときの処分価値も貯蔵品として扱うとされています。「貯蔵品=未使用の収入印紙」と決めつけないでください。
⑫ まとめ
| 場面 | 借方 | 貸方 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 固定資産税・自動車税の納付 | 租税公課 | 現金・普通預金 など | 保有中の税金は費用 |
| 収入印紙の購入 | 租税公課 | 現金・普通預金 など | 購入時に費用処理する基本形 |
| 郵便切手の購入 | 通信費 | 現金・普通預金 など | 切手はサービス料金 |
| 決算:未使用の収入印紙 | 貯蔵品 | 租税公課 | 振り替えるのは未使用額だけ |
税金の科目は、税金の種類と取引内容に応じて使い分けます。
| 処理する税金・取引 | 科目 |
|---|---|
| 固定資産税・自動車税など | 租税公課 |
| 印紙税 | 租税公課 |
| 法人税・住民税・事業税 | 法人税、住民税及び事業税(C08-T04) |
| 売買にともなう消費税 | 仮払消費税・仮受消費税・未払消費税(C08-T05) |
| 給料から預かる所得税 | 所得税預り金(C08-T01) |

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