この単元で身につけること
このUnitでは、個人から財産をもらったときの贈与税について、暦年課税と相続時精算課税、代表的な非課税・控除制度、申告期限までを整理します。
学習後には、暦年課税の110万円基礎控除、一般贈与財産と特例贈与財産の区分、贈与税の配偶者控除、相続時精算課税、住宅取得等資金、結婚・子育て資金、教育資金特例の終了、申告期限、みなし贈与・非課税財産を判断できることを目標とします。
このUnitはLaw_Basis_Dateが2026年4月1日です。したがって、2026年3月31日で新規適用が終了した教育資金一括贈与の特例は、基準日時点では「新規適用不可」として扱います。
全体像
個人から贈与により財産を取得した個人には、贈与税が課されるのが基本です。会社など法人から個人が財産をもらった場合は、原則として贈与税ではなく所得税の対象です。
贈与税の課税方法には、主に暦年課税と相続時精算課税があります。
暦年課税は、その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産の合計額を基に計算し、基礎控除は年110万円です。複数の人から贈与を受けても、贈与者ごとに110万円ずつ控除するのではなく、受贈者1人の年間の贈与財産合計に対する基礎控除として考えます。
相続時精算課税では、2024年以後の贈与について年110万円の基礎控除があり、その後に選択した贈与者ごとの累計2,500万円の特別控除、さらに超過部分に20%の税率という基本構造があります。
代表的な特例は、それぞれ対象・期限・金額が異なります。制度名だけで覚えず、「誰から誰へ」「何のための贈与か」「いくらまでか」「いつまでか」をセットで確認します。
用語の説明
- 受贈者:贈与を受ける人。
- 暦年課税:1月1日から12月31日までの1年間の贈与財産を基に計算する課税方式。
- 基礎控除:暦年課税では年110万円。
- 一般贈与財産:特例贈与財産以外の贈与財産。
- 特例贈与財産:一定の直系尊属から、贈与年1月1日に18歳以上の受贈者が取得した財産等で特例税率の対象となるもの。
- 相続時精算課税:贈与時に一定の贈与税を計算し、贈与者の死亡時に相続税で精算する制度。
- 贈与税の配偶者控除:一定の居住用不動産等の夫婦間贈与に対する最高2,000万円の控除。
- 住宅取得等資金の非課税:直系尊属から一定の住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度。
- みなし贈与:形式上の通常の贈与契約以外でも、経済的利益の移転により贈与税の対象となる場合。
基本ルール
贈与税の基本
個人から贈与により財産を取得した個人に贈与税が課されるのが基本です。
一方、法人から個人への贈与は、原則として贈与税ではなく所得税の対象です。
暦年課税と110万円
暦年課税の課税期間は1月1日から12月31日までです。
基礎控除は年110万円です。
基本的な基礎控除後の課税価格は、
1年間の贈与財産価額合計-110万円
で求めます。
例えば年間贈与額が3,600,000円なら、
3,600,000-1,100,000=2,500,000円
です。
複数の贈与者から受けた場合でも、110万円は受贈者1人の1年間の贈与財産合計に対する基礎控除です。
一般税率と特例税率
暦年課税では、一般贈与財産と特例贈与財産で速算表が異なります。
贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の受贈者が、父母・祖父母などの直系尊属から贈与を受ける一定の場合、その財産は特例贈与財産となります。
FP3級では速算表全体を暗記するのではなく、「直系尊属から18歳以上の受贈者への一定の贈与=特例税率」という区分を優先します。
贈与税の配偶者控除
婚姻期間が20年を過ぎた後の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産の取得資金の贈与があり、一定の要件を満たす場合、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円の配偶者控除を受けることができます。
したがって、教材上の最大控除枠は、
2,000万円+110万円=2,110万円
です。
同じ配偶者からの贈与について原則一生に一度というルールもありますが、固定Slotでは婚姻20年以上・2,000万円・110万円との併用を中心に確認します。
相続時精算課税
相続時精算課税には、2024年1月1日以後の贈与について年110万円の基礎控除があります。
その基礎控除後に、選択した贈与者ごとに累計2,500万円の特別控除があります。前年までに特別控除を使用している場合は残額を使います。
特別控除を超える部分には20%の税率を適用するのが基本です。
原則として、贈与年1月1日現在で贈与者は60歳以上、受贈者は18歳以上の一定の推定相続人や孫等という年齢要件があります。
一定の住宅取得等資金の贈与では、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選択できる年齢特例があります。
住宅取得等資金の非課税
2024年1月1日から2026年12月31日までの間に、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受け、一定の要件を満たす場合には、非課税限度額まで贈与税が非課税となります。
非課税限度額は、
- 一定の省エネ等住宅:1,000万円
- その他の一定住宅:500万円
です。
受贈者は贈与年1月1日に18歳以上であることが基本です。
所得要件は、贈与年分の合計所得金額が2,000万円以下です。ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅では1,000万円以下です。
この所得要件を、非課税限度額1,000万円・500万円と混同しないようにします。
結婚・子育て資金の一括贈与
一定の直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受ける制度は、2027年3月31日までが基本です。
非課税上限は1,000万円で、そのうち結婚費用に充てられる部分の上限は300万円です。
受贈者は契約締結日に18歳以上50歳未満で、前年分の合計所得金額が1,000万円以下であることが基本です。
教育資金一括贈与特例の終了
教育資金の一括贈与については、旧制度では30歳未満の受贈者について1,500万円までの非課税枠がありました。
しかし、新規適用期間は2026年3月31日で終了しました。
したがってLaw_Basis_Dateである2026年4月1日以後、新たにこの特例を開始することはできません。
ただし、2026年3月31日までに適用済みの契約等については、契約終了まで制度が引き続き適用され得ます。本Unitでは既存契約の終了時課税の詳細には広げません。
贈与税の申告・納税
贈与税の申告・納税は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
日付を相続税の申告期限などと混同しないようにします。
生命保険金のみなし贈与
生命保険金等は、保険料負担者・被保険者・受取人の関係によって税目が変わります。
保険料負担者と受取人が異なり、死亡した被保険者とも異なる一定の場合には、受取人が保険料負担者から経済的利益を贈与されたものとして贈与税の対象となる場合があります。
通常必要な生活費・教育費
扶養義務者から、生活費または教育費に充てるために取得した財産のうち、通常必要と認められるものは贈与税非課税となるのが基本です。
必要な都度直接その費用に充てる範囲の基本を理解し、将来分をまとめて投資するような詳細事例には広げません。
重要な数字
| 論点 | 基本値 |
|---|---|
| 暦年課税期間 | 1月1日~12月31日 |
| 暦年課税基礎控除 | 110万円/年 |
| 特例贈与財産の受贈者年齢 | 18歳以上 |
| 配偶者控除・婚姻期間 | 20年を過ぎた後 |
| 配偶者控除 | 最高2,000万円 |
| 配偶者控除+基礎控除 | 最大2,110万円 |
| 相続時精算課税・年基礎控除 | 110万円 |
| 相続時精算課税・特別控除 | 累計2,500万円 |
| 同・特別控除超過分税率 | 20% |
| 住宅取得等資金の適用期間 | 2024-01-01~2026-12-31 |
| 省エネ等住宅 | 1,000万円 |
| その他住宅 | 500万円 |
| 住宅取得等資金・所得要件 | 2,000万円以下 |
| 40㎡以上50㎡未満の住宅 | 1,000万円以下 |
| 結婚・子育て資金 | 1,000万円 |
| うち結婚費用 | 300万円 |
| 結婚・子育て資金期限 | 2027-03-31 |
| 教育資金新規適用終了 | 2026-03-31 |
| 教育資金旧非課税上限 | 1,500万円 |
| 贈与税申告 | 翌年2月1日~3月15日 |
数字は制度名とセットで覚えます。特に「110万円」は暦年課税と相続時精算課税の双方に登場しますが、制度の仕組みは同じではありません。
具体例
暦年課税
その年に父から1,500,000円、母から800,000円の贈与を受けた場合、年間合計は2,300,000円です。
基礎控除は父・母それぞれに110万円ではなく、受贈者の年間合計に対して110万円です。
したがって基礎控除後の課税価格は、
2,300,000-1,100,000=1,200,000円
です。
相続時精算課税
年110万円の基礎控除と2,500万円の特別控除残額を使える前提で、年間贈与額が30,000,000円なら、
30,000,000-1,100,000=28,900,000円
28,900,000-25,000,000=3,900,000円
3,900,000×20%=780,000円
となります。
住宅取得等資金
一定の省エネ等住宅なら非課税限度額は1,000万円、その他の一定住宅なら500万円です。
床面積40㎡以上50㎡未満の場合は、受贈者の合計所得金額の上限が1,000万円以下となる点を分けて確認します。
計算のしかた
F02の固定CALC SlotはS002とS007です。
S002 暦年課税の基礎控除後課税価格
- 1年間の贈与財産価額合計を確認する。
- 年110万円を差し引く。
- 問題文で税率計算を求めていないなら、課税価格までで止める。
S007 相続時精算課税
- 年間贈与額から年110万円の基礎控除を差し引く。
- その年に利用可能な特別控除残額を差し引く。
- 残額がある場合は20%を乗じる。
- 問題文に前年使用額がなければ、勝手に特別控除残額を減らさない。
CASE S016でも、暦年課税の贈与額を年間合計してから110万円を控除するという基本能力を確認します。
よくある間違い
- 法人からの贈与もすべて贈与税と考える。
- 暦年課税の110万円を贈与者ごとに使えると考える。
- 5年や10年など他分野の期間を贈与税へ混入する。
- 特例税率の年齢を20歳以上と古いまま覚える。
- 配偶者控除2,000万円と基礎控除110万円を併用できないと考える。
- 相続時精算課税の年110万円基礎控除を無視する。
- 相続時精算課税の2,500万円を毎年使える控除と考える。
- 住宅取得等資金の1,000万円と所得要件1,000万円を同じ意味と考える。
- 住宅取得等資金特例が2026年4月1日時点で終了していると考える。
- 教育資金特例を2026年4月1日以後も新規利用できると考える。
- 結婚・子育て資金の1,000万円全部を結婚費用に使えると考える。
- 贈与税申告期限を贈与した年の3月15日と考える。
- 扶養義務者からの生活費・教育費はすべて無条件で非課税と考える。
試験での出題のされ方
F02では複数のExam_Slotに接続します。
EX-F-006にはS002・S005・S006・S007が接続し、贈与税の基礎控除・配偶者控除・相続時精算課税を計算・判断する能力枠です。
EX-F-001にはS008・S009・S012・S017が接続し、住宅・教育資金等の贈与特例の基本要件を判断する能力枠です。
EX-F-005にはS013が接続し、相続・贈与の手続・期限を判断する能力枠です。
EX-F-013にはS016が接続し、贈与税・財産評価等を具体資料から計算する広い実技能力枠です。
これらはいずれも2024~2026 CBT公表分で3/3、Frequency_Rate 100、Past_Exam_Frequency Aとして管理されています。
一方、S001・S003・S004・S010・S011・S014・S015はUNVERIFIEDです。UNVERIFIEDは当該Question_Slotへ過去問頻度を直接付与していない管理状態であり、出題なし・低頻度を意味しません。
3/3・100は各Exam_Slotという広い能力枠全体の観測値です。110万円、2,000万円、教育資金終了、住宅所得要件など個別サブ論点がそれぞれ毎回出題されたという意味へ読み替えません。
CASEでは公式過去問の人物名・金額・配置を再現せず、独自の贈与設定で同じ能力を確認します。
まとめ
- 個人から財産をもらった個人には贈与税が基本。法人からは原則所得税。
- 暦年課税は1月1日~12月31日、基礎控除110万円。
- 110万円は受贈者の年間贈与財産合計に対する控除。
- 直系尊属から18歳以上の受贈者への一定の贈与は特例税率。
- 配偶者控除は婚姻20年超・最高2,000万円、110万円と併用可能。
- 相続時精算課税は年110万円+累計2,500万円+超過分20%。
- 住宅取得等資金は2026年12月31日まで、省エネ等1,000万円・その他500万円。
- 住宅取得等資金の所得要件は原則2,000万円以下、小規模住宅では1,000万円以下。
- 結婚・子育て資金は2027年3月31日まで、1,000万円、うち結婚費用300万円。
- 教育資金一括贈与は2026年3月31日で新規適用終了。
- 贈与税の申告・納税は翌年2月1日~3月15日。
- 通常必要な生活費・教育費は非課税の基本。
練習のしかた
- 年間贈与額3,000,000円から暦年課税の基礎控除後課税価格を求める。
- 父と母から別々に贈与を受けた場合、110万円を何回控除するか答える。
- 特例贈与財産の直系尊属・18歳以上という条件を説明する。
- 贈与税の配偶者控除額と婚姻期間を答える。
- 相続時精算課税の110万円・2,500万円・20%を順に説明する。
- 省エネ等住宅とその他住宅の非課税限度額を答える。
- 住宅取得等資金の適用期限を答える。
- 小規模住宅の所得要件を答える。
- 結婚・子育て資金の1,000万円・300万円・期限を答える。
- 2026年4月1日に教育資金一括贈与を新規開始できるか判断する。
- 贈与税の申告期間を答える。
- 生命保険金が贈与税となり得る関係を説明する。
- 通常必要な生活費・教育費の基本的な非課税を説明する。
FP2級へのつながり
FP2級では、暦年課税の速算表を使った具体的税額、一般税率と特例税率が混在する場合の計算、相続時精算課税の複数贈与者按分、各特例の細かな適用要件・申告手続、生命保険金の税目判定を詳しく扱います。
FP3級では、代表数値と制度の基本構造を正確に対応させ、問題文が求める1つの計算・判断だけを行うことを優先します。
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