この単元で身につけること
このUnitでは、不動産を取得したときと保有しているときに関係する代表的な税金を整理します。
取得時には、不動産取得税、登録免許税、消費税、印紙税が関係します。保有時には固定資産税と都市計画税が重要です。さらにマイホーム取得では、住宅ローン控除など所得税上の制度との接続もあります。
学習後には、各税金について「いつ関係する税か」「課税標準や代表税率は何か」「課税される取引と非課税となる取引は何か」を区別し、単純な税額計算ができることを目標とします。
FP3級では、住宅取得に関するすべての軽減措置・控除限度額を網羅するのではなく、代表税率と税の位置づけを正確に使うことを優先します。
全体像
不動産税制は、時点で分けると整理しやすくなります。
取得時には、不動産を取得したこと自体に不動産取得税、所有権移転などの登記に登録免許税、一定の契約書に印紙税が関係します。消費税は取引対象によって扱いが異なり、土地の譲渡は原則非課税ですが、不動産仲介手数料などの役務提供は課税対象となります。
保有時には、毎年1月1日現在の所有者を基礎に固定資産税が課されます。市街化区域内の土地・家屋等には都市計画税も関係します。
同じ不動産でも、取得税・登録免許税・固定資産税は課税される理由が異なります。「取得した」「登記を受けた」「1月1日に所有している」というタイミングを区別します。
用語の説明
- 不動産取得税:土地や家屋を取得した場合に、都道府県が課税する地方税。
- 課税標準:税率を掛ける基礎となる金額。不動産取得税では原則として固定資産税評価額等を基礎とする。
- 登録免許税:不動産の所有権保存・移転などの登記を受ける際に課される国税。
- 消費税非課税:消費税の課税対象としない取引。土地の譲渡は原則として非課税。
- 印紙税:一定の課税文書を作成した場合に課される国税。
- 賦課期日:固定資産税などで、誰を納税義務者とするかを判定する基準日。
- 固定資産税:土地・家屋・償却資産などの固定資産に課される地方税。
- 都市計画税:都市計画事業等の費用に充てる目的税で、原則として市街化区域内の土地・家屋等に課される。
- 住宅ローン控除:一定の住宅取得等について所得税額から一定額を控除する制度。詳細はD分野と接続して学ぶ。
基本ルール
不動産取得税
不動産取得税の課税標準は、実際の購入代金ではなく、原則として固定資産課税台帳に登録された価格などを基礎にします。
2026年4月1日基準の代表税率は次のとおりです。
- 土地:3%
- 住宅家屋:3%
- 非住宅家屋:4%
宅地等については、2027年3月31日までに取得した場合、価格の2分の1を課税標準とする特例が代表的です。
例えば固定資産税評価額20,000,000円の住宅家屋について、住宅の特別控除等を考慮せず代表税率3%だけで基本税額を確認するなら、
20,000,000円×3%=600,000円
となります。
実際には住宅・住宅用土地の軽減制度がありますが、本Unitでは細かな全要件を網羅しません。
登録免許税
不動産の所有権保存・移転などの登記を受ける場合には、登録免許税が関係します。
土地の所有権移転等では、原則として固定資産税評価額等を課税標準の基礎とします。
2026年4月1日基準では、土地の売買による所有権移転登記について、代表的な軽減税率は1.5%(15/1000)で、適用期限は2029年3月31日です。本則は2%です。
相続による土地所有権移転登記の代表税率は0.4%(4/1000)です。
ただしS003では税率の細かな比較ではなく、「不動産の権利登記に登録免許税が課される」という基本を確認します。
不動産取得時の消費税
土地の譲渡は原則として消費税非課税です。
一方、不動産仲介手数料は仲介という役務提供への対価であるため、消費税の課税対象となるのが基本です。
土地の貸付けも原則非課税ですが、1か月未満の貸付けなど例外があります。本Unitの問題では土地譲渡の非課税を中心に確認し、事業者判定や仕入税額控除には広げません。
建物等の取引では消費税が関係する場合がありますが、すべての不動産売買を一律に「消費税非課税」と考えないことが重要です。
印紙税
不動産の譲渡に関する契約書は、印紙税の課税文書となります。
FP3級では、契約書の種類と課税文書であることを確認します。契約金額ごとの細かな軽減税額一覧をすべて暗記することは本Unitの目的ではありません。
「不動産の売買代金そのものに印紙税を掛ける」のではなく、「一定の契約書という文書を作成することに対して課税される」という位置づけを理解します。
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者を基礎に課税されます。
標準税率は1.4%です。基本税額の単純計算は、
課税標準×1.4%
です。
例えば課税標準12,000,000円で、住宅用地特例などを考慮しない単純例なら、
12,000,000円×1.4%=168,000円
です。
課税主体は、原則として固定資産が所在する市町村です。東京都23区では都が課税するなどの取扱いがありますが、本Unitでは「原則市町村」という基本を使います。
都市計画税
都市計画税は、原則として市街化区域内に所在する土地・家屋等に課される目的税です。
制限税率は0.3%以下です。自治体が必ず0.3%を採用するという意味ではなく、0.3%は上限となる制限税率です。
固定資産税の標準税率1.4%と都市計画税の制限税率0.3%を入れ替えないようにします。
マイホーム取得と税金
住宅取得には、不動産取得税・登録免許税などの取得時税制だけでなく、住宅ローン控除等の所得税上の税額控除が関係する場合があります。
このUnitでは、住宅ローン控除の控除限度額や住宅区分ごとの細かな要件は扱いません。FP3-D06-T02で扱う住宅ローン控除と、不動産取得時の税金を別の制度として位置づけられることを目標とします。
重要な数字
| 項目 | 基本値 |
|---|---|
| 不動産取得税・土地 | 3% |
| 不動産取得税・住宅家屋 | 3% |
| 不動産取得税・非住宅家屋 | 4% |
| 宅地等の課税標準特例 | 価格の1/2 |
| 宅地等1/2特例の期限 | 2027年3月31日 |
| 土地売買による所有権移転登記の軽減税率 | 1.5% |
| 同軽減税率の期限 | 2029年3月31日 |
| 相続による土地所有権移転登記 | 0.4% |
| 固定資産税の賦課期日 | 1月1日 |
| 固定資産税の標準税率 | 1.4% |
| 都市計画税の制限税率 | 0.3%以下 |
期限のある税率は、Law_Basis_Dateと適用期限をセットで確認します。
具体例
取得時
住宅家屋を取得したときは、不動産取得税が関係します。所有権移転登記を受ければ登録免許税が関係し、売買契約書を作成すれば印紙税が関係します。
同じ取得場面でも、3つの税は別の理由で課税されます。
消費税
土地を売買する場合、土地の譲渡は原則消費税非課税です。ただし、その取引を仲介した宅地建物取引業者へ支払う仲介手数料は、役務提供の対価として消費税の課税対象となるのが基本です。
保有時
1月1日に土地・家屋を所有していれば、固定資産税の納税義務者となるかを確認します。その土地・家屋が市街化区域内にあれば、都市計画税も確認します。
「取得した年だけの税」と「毎年の保有に関する税」を分けると整理しやすくなります。
計算のしかた
E04のCALCは2問です。
不動産取得税
- 問題文で課税標準となる評価額を確認する。
- 土地・住宅・非住宅家屋のどれかを確認する。
- 問題文で適用する代表税率を確認する。
- 課税標準×税率を計算する。
- 問題文にない住宅控除等を追加しない。
土地で宅地等1/2特例を適用する問題なら、先に価格×1/2で課税標準を求め、その後3%を掛けます。
固定資産税
- 課税標準を確認する。
- 標準税率1.4%を小数0.014へ直す。
- 課税標準×0.014を計算する。
- 問題文に住宅用地特例等を考慮しないとある場合、追加の軽減を行わない。
例えば課税標準15,000,000円なら、
15,000,000円×1.4%=210,000円
です。
よくある間違い
- 不動産取得税を実際の購入価格だけで計算すると考える。
- 土地3%・住宅3%・非住宅家屋4%を入れ替える。
- 宅地等1/2特例の期限を確認しない。
- 登録免許税を不動産取得税と同じ地方税と考える。
- 土地売買の登録免許税1.5%を期限のない本則税率と考える。
- 土地の譲渡に消費税が必ず課税されると考える。
- 土地が非課税だから仲介手数料も非課税と考える。
- 不動産譲渡契約書は印紙税と無関係と考える。
- 固定資産税の賦課期日を4月1日と考える。
- 固定資産税1.4%と都市計画税0.3%を逆にする。
- 都市計画税0.3%を全国一律の固定税率と考える。
- 住宅ローン控除を不動産取得税の軽減制度そのものと考える。
試験での出題のされ方
E04ではS001・S003・S006がEX-E-004に接続しています。EX-E-004は「不動産税制」に関する学科能力枠で、2024~2026 CBT公表分3/3、Frequency_Rate 100、Past_Exam_Frequency Aとして管理されています。
S002・S004・S005・S007・S008・S009はUNVERIFIEDです。UNVERIFIEDは、当該Question_Slotへ過去問頻度を直接付与していない管理状態であり、出題なし・低頻度を意味しません。
EX-E-004の3/3・100という値は「不動産税制」という能力枠全体の観測値です。不動産取得税の3%や固定資産税の1月1日といった個別サブ論点が、それぞれ毎回出題されたという意味には読み替えません。
まとめ
- 不動産取得税は取得時に関係し、土地3%・住宅3%・非住宅家屋4%が代表税率。
- 宅地等は2027年3月31日まで価格の1/2を課税標準とする代表特例がある。
- 不動産の権利登記には登録免許税が関係する。
- 土地売買による所有権移転登記の代表軽減税率は2029年3月31日まで1.5%。
- 土地の譲渡は原則消費税非課税。
- 不動産譲渡契約書は印紙税の課税文書。
- 固定資産税は毎年1月1日の所有者を基礎に課税し、標準税率1.4%。
- 都市計画税は原則市街化区域内の土地・家屋等に関係し、制限税率0.3%以下。
- 住宅ローン控除は所得税上の税額控除として住宅取得に関係する。
練習のしかた
- 不動産取得税の土地・住宅・非住宅家屋の代表税率を答える。
- 宅地等の1/2特例の期限を答える。
- 不動産の所有権移転登記に関係する税を答える。
- 土地売買の消費税の扱いを答える。
- 不動産譲渡契約書と印紙税の関係を答える。
- 固定資産税の賦課期日を答える。
- 課税標準×1.4%の単純計算をする。
- 都市計画税の対象区域と制限税率を答える。
- 住宅ローン控除と取得時税制を区別する。
FP2級へのつながり
FP2級では、不動産取得税の住宅控除や土地軽減、登録免許税の登記種類別軽減税率、印紙税の契約金額別税額、固定資産税・都市計画税の住宅用地特例などを詳しく扱います。
FP3級では、取得時と保有時を分け、代表税率・基準日・課税対象を正しく対応させることを優先します。
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