① このページで学ぶこと
- 決算日に、仮払消費税と仮受消費税をどう精算するのか
- 納付すべき消費税額の求め方(本教材で扱う基本ケース)
- 未払消費税の計上
- 仮払消費税・仮受消費税の消込み
- 決算整理後の各残高
- 決算整理前残高試算表から読み取って処理する流れ
② C08-T05 との役割分担
C08-T05(消費税(税抜方式))では、次のことを学びました。
- 税抜方式とは何か(本体価格と消費税を分けて記録する)
- 仕入時に支払った消費税は 仮払消費税(資産)
- 売上時に預かった消費税は 仮受消費税(負債)
- 税込金額から本体価格と消費税額を切り分ける処理
- 確定済みの未払消費税を後日納付したときの処理
このページでは、決算日にその2つを精算するところを扱います。
| C08-T05 | C14-T06(このページ) | |
|---|---|---|
| 中心 | 税抜方式の期中処理 | 決算での精算 |
| 扱う範囲 | 仕入時の仮払/売上時の仮受/税込からの切り分け/後日の納付 | 仮払・仮受の相殺/納付額の算定/未払消費税の計上/決算整理後残高 |
③ 決算整理前の状態
期中の処理を続けてきた結果、決算整理前には次の2つの残高が積み上がっています。
| 勘定科目 | 分類 | 残高の側 | 中身 |
|---|---|---|---|
| 仮払消費税 | 資産 | 借方 | 期中に支払った消費税の累計 |
| 仮受消費税 | 負債 | 貸方 | 期中に預かった消費税の累計 |
どちらも「とりあえず置いておく箱」です。決算日には、この2つを精算して、実際に納める金額を確定させます。
④ 仮払消費税とは(最小限の復習)
仕入や経費の支払いに伴って、支払った消費税相当額をいったん記録する科目です。資産として扱い、増えるときは借方です。
例:(借)仕入 / 仮払消費税 /(貸)買掛金 など
⑤ 仮受消費税とは(最小限の復習)
売上のときに、得意先から預かった消費税です。負債として扱い、増えるときは貸方です。
例:(借)売掛金 など /(貸)売上 / 仮受消費税
預かっただけで、こちらのものではありません。 だから負債です。
⑥ 決算日に何をするか
決算では、次の3つを一体で行います。
| # | やること |
| :-: | — |
| 1 | 仮受消費税の残高を消し込む(負債を減らすので借方) |
| 2 | 仮払消費税の残高を消し込む(資産を減らすので貸方) |
| 3 | その差額を 未払消費税として計上する |
「箱を空にする」と考えると向きを間違えにくくなります。仮受消費税は貸方残高なので借方で、仮払消費税は借方残高なので貸方で消します。
⑦ 納付額が生じる基本ケース
このページで扱うのは、仮受消費税が仮払消費税を上回り、納付額が生じるケースです。
納付すべき消費税額 = 仮受消費税 − 仮払消費税(本教材で扱う基本ケース)
本教材で扱う基本ケースでは、仮受消費税から仮払消費税を差し引いた差額を納付すべき金額として整理します。
この式を無条件の一般則として覚えないでください。 仮払消費税が仮受消費税を上回る場合の処理は、本教材の3級の範囲では扱いません。
⑧ 未払消費税の算定
設例
決算にあたり、仮受消費税 ¥94,000、仮払消費税 ¥58,000 の残高を精算し、納付額を確定する(税抜方式)。
納付すべき消費税額 = 94,000 − 58,000 = ¥36,000
この金額が 未払消費税 になります。未払消費税は負債(増えるときは貸方)で、貸借対照表の流動負債に表示されます。
未払消費税は、決算で納付額が確定し、まだ納めていない状態を表す科目です。
⑨ 決算整理仕訳
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮受消費税 | 94,000 | 仮払消費税 | 58,000 |
| 未払消費税 | 36,000 |
検算:借方 94,000 = 貸方 58,000 + 36,000 = 94,000 ✓
| 理由 | |
|---|---|
| 借方:仮受消費税 94,000 | 負債の全額を取り崩す |
| 貸方:仮払消費税 58,000 | 資産の全額を取り崩す |
| 貸方:未払消費税 36,000 | 差額を納付すべき負債として計上する |
⑩ 仮払・仮受の消込み ── 差額だけでは終わらない
差額 ¥36,000 だけを仕訳して終わりにはできません。
決算整理は、次の3つが一体の処理です。
- 仮受消費税を消し込む
- 仮払消費税を消し込む
- 差額を未払消費税へ振り替える
もし差額だけを記帳すると、仮払消費税と仮受消費税の残高が帳簿に残ったままになります。本教材で扱う基本ケースでは、決算整理で両科目の全額を取り崩すため、決算整理後の残高はいずれも0円になります。
仕訳に登場する金額は3つ(94,000/58,000/36,000)で、そのうち納付額は 36,000 だけです。借方合計(94,000)と納付額(36,000)は別の金額です。
⑪ 決算整理後残高
| 勘定科目 | 決算整理前 | 決算整理後 |
|---|---|---|
| 仮払消費税 | 58,000(借方) | 0 |
| 仮受消費税 | 94,000(貸方) | 0 |
| 未払消費税 | 0 | 36,000(貸方) |
本教材で扱う基本ケースでは、決算整理後の仮払消費税・仮受消費税はいずれも 0 になります。
検算:仮払 58,000 + 未払 36,000 = 94,000 = 仮受 94,000 ✓ (本教材の基本ケースでは、仮払消費税 + 未払消費税 = 仮受消費税という関係で検算できます。)
⑫ 精算表・財務諸表への接続
| つながる先 | 何を扱うか |
|---|---|
| C15-T01(精算表) | 決算整理仕訳を修正記入欄へ反映し、試算表欄の残高と区別しながら貸借対照表欄へ振り分ける |
| C15-T02・C15-T03(損益計算書・貸借対照表) | 未払消費税を貸借対照表の流動負債に表示する。仮払消費税・仮受消費税は決算で相殺されるため、財務諸表には残らない |
なお、確定した未払消費税を後日に納付する処理((借)未払消費税/(貸)普通預金)は C08-T05 で扱います。決算整理とは別の時点の処理です。
⑬ 誤りを避けるポイント
(1)引き算の向きを逆にする
納付額は 仮受 − 仮払 です。逆にすると、預かった額より払った額が多いという別の状況を表してしまいます。
(2)仮受と仮払を足してしまう
足すと、すでに支払済みの消費税まで納めることになります。
(3)差額だけを仕訳する
⑩のとおり、仮受・仮払の消込みと差額の振替は一体です。
(4)仮受消費税を貸方に、仮払消費税を借方に書く
それでは箱がさらに膨らみます。消すときは残高と反対側です。
(5)未払消費税を借方に計上する
未払消費税は負債なので、増えるときは貸方です。
(6)決算整理と後日の納付を混同する
決算整理は納付額を確定させる処理、納付は確定した債務を支払う処理で、別の時点です。
⑭ まとめ
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 決算(納付額が生じる基本ケース) | 仮受消費税(全額) | 仮払消費税(全額)+未払消費税(差額) |
| 後日の納付(C08-T05) | 未払消費税 | 普通預金 など |
確かめたい4つの点
- 納付額 = 仮受消費税 − 仮払消費税(本教材で扱う基本ケース)。
- 仮受は借方で、仮払は貸方で消す。差額は未払消費税(負債・貸方)。
- 差額だけの記帳では終わらない。 仮払・仮受を消し込むところまでが決算整理。
- 決算整理後、仮払・仮受はいずれも 0。検算は「仮払 + 未払 = 仮受」。
関連する単元
- C08-T05(消費税(税抜方式)):税抜方式の期中処理/後日の納付
- C15-T01(精算表)/C15-T02・C15-T03(財務諸表):決算整理後の反映

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