問1
P社はS社の発行済株式の80%を保有している。当期中、P社はS社へ商品を販売しており、利益率は売価に対して20%である。S社の期末商品のうちP社から仕入れた分は300,000円である。
期末商品に含まれる未実現利益の消去に関する連結修正仕訳を示しなさい。
使用可能勘定科目
商品/土地/売上原価/固定資産売却益/固定資産売却損/利益剰余金当期首残高/非支配株主持分/非支配株主持分当期首残高/非支配株主に帰属する当期純利益
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解答・解説
正答
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上原価 | 60,000 | 商品 | 60,000 |
解説
未実現利益は、期末商品のうち内部仕入分に利益率を掛けて求めます。300,000×20%=60,000円です。
貸方の商品は、在庫の金額を未実現利益の分だけ減らすことを表します。借方の売上原価は、その分だけ連結上の費用が増える、つまり利益が減ることを表します。
売った側は親会社であるP社なので、子会社の利益は動きません。非支配株主持分への按分は行いません。
この仕訳は連結財務諸表を作るための修正であり、P社・S社の個別帳簿には直接記帳しません。
問2
P社はS社の発行済株式の80%を保有している。当期中、P社は帳簿価額2,000,000円の土地をS社へ2,400,000円で売却し、固定資産売却益を計上している。S社は期末においてもこの土地を保有している。
土地の未実現利益の消去に関する連結修正仕訳を示しなさい。
使用可能勘定科目
商品/土地/売上原価/固定資産売却益/固定資産売却損/利益剰余金当期首残高/非支配株主持分/非支配株主持分当期首残高/非支配株主に帰属する当期純利益
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解答・解説
正答
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 固定資産売却益 | 400,000 | 土地 | 400,000 |
解説
P社が計上した固定資産売却益は2,400,000-2,000,000=400,000円です。土地は企業集団の外部へ売られておらず、期末もS社が保有しているため、この利益は実現していません。
借方の固定資産売却益は、計上された利益を取り消すことを表します。貸方の土地は、S社の帳簿価額2,400,000円を400,000円だけ減らすことを表します。
その結果、連結貸借対照表の土地は2,400,000-400,000=2,000,000円となり、内部で売買する前のP社の帳簿価額に戻ります。土地は減価償却をしないので、期間配分は考えません。
売った側は親会社なので、非支配株主持分への按分は行いません。
問3
P社はS社の発行済株式の80%を保有している。P社はS社へ商品を販売しており、利益率は売価に対して20%である。S社の期首商品のうちP社から仕入れた分は400,000円であり、これらはすべて当期中に企業集団の外部へ販売されている。
(1)前期に行った未実現利益の消去を当期首へ引き継ぐ開始仕訳と、(2)当期の実現に関する連結修正仕訳を、それぞれ示しなさい。
使用可能勘定科目
商品/土地/売上原価/固定資産売却益/固定資産売却損/利益剰余金当期首残高/非支配株主持分/非支配株主持分当期首残高/非支配株主に帰属する当期純利益
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解答・解説
正答
(1) 開始仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 利益剰余金当期首残高 | 80,000 | 商品 | 80,000 |
(2) 当期の実現
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 商品 | 80,000 | 売上原価 | 80,000 |
解説
期首商品に含まれていた未実現利益は400,000×20%=80,000円です。
(1) 前期に行った消去は連結修正であり、親会社・子会社の個別帳簿には直接記帳されていません。そこで当期の連結財務諸表を作成するとき、当期首の状態として引き継ぎます。前期に使った売上原価は損益の科目であり当期には残高として残らないため、利益剰余金当期首残高 に置き換えます。科目名は変わりますが金額は変わりません。
(2) 期首の在庫が当期中に企業集団の外部へ販売されたことで、前期に消去した利益は当期に実現しました。そこで(1)と反対の仕訳を置き、売上原価を80,000円減らします。
(1)と(2)は役割が異なります。 (1)は前期の調整を当期首へ引き継ぐもので、(2)は当期に実現したことを反映するものです。両方を置くことで、商品の残高は元に戻り、利益は当期の損益として認識されます。
売った側は親会社なので、非支配株主持分への按分は行いません。
問4
P社はS社の発行済株式の80%を保有している。当期中、S社はP社へ商品を販売しており、付加率は原価に対して25%である。P社の期末商品のうちS社から仕入れた分は450,000円である。期首商品に内部仕入分はない。
(1)期末商品に含まれる未実現利益の消去と、(2)非支配株主への按分に関する連結修正仕訳を、それぞれ示しなさい。
使用可能勘定科目
商品/土地/売上原価/固定資産売却益/固定資産売却損/利益剰余金当期首残高/非支配株主持分/非支配株主持分当期首残高/非支配株主に帰属する当期純利益
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解答・解説
正答
(1) 未実現利益の消去
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上原価 | 90,000 | 商品 | 90,000 |
(2) 非支配株主への按分
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 非支配株主持分 | 18,000 | 非支配株主に帰属する当期純利益 | 18,000 |
解説
(1) 与えられているのは付加率なので、まず利益率へ直します。25% ÷ 125% = 20%。未実現利益は450,000×20%=90,000円です。付加率25%をそのまま掛けて112,500円としないよう注意してください。
(2) 売った側は子会社であるS社です。未実現利益を消去するとS社の調整後の利益が90,000円減ります。その利益は連結上、親会社の株主と非支配株主に分かれるので、非支配比率20%の分を按分します。90,000×20%=18,000円です。
按分の向きは、子会社の利益が減るか増えるかで決まります。 ここでは減るので、非支配株主持分を借方で減らし、貸方に非支配株主に帰属する当期純利益を置きます。
問5
P社はS社の発行済株式の70%を保有している。S社はP社へ商品を販売しており、利益率は売価に対して20%である。P社の期首商品のうちS社から仕入れた分は400,000円であり、これらはすべて当期中に企業集団の外部へ販売されている。
(1)前期に行った未実現利益の消去を当期首へ引き継ぐ開始仕訳、(2)当期の実現に関する連結修正仕訳、(3)実現に伴う非支配株主への按分に関する連結修正仕訳を、それぞれ示しなさい。
使用可能勘定科目
商品/土地/売上原価/固定資産売却益/固定資産売却損/利益剰余金当期首残高/非支配株主持分/非支配株主持分当期首残高/非支配株主に帰属する当期純利益
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解答・解説
正答
(1) 開始仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 利益剰余金当期首残高 | 56,000 | 商品 | 80,000 |
| 非支配株主持分当期首残高 | 24,000 |
(2) 当期の実現
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 商品 | 80,000 | 売上原価 | 80,000 |
(3) 実現に伴う非支配株主への按分
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 非支配株主に帰属する当期純利益 | 24,000 | 非支配株主持分 | 24,000 |
解説
判断根拠:3つの仕訳は、それぞれ別の役割を持ちます。
(1)は前期の調整の引き継ぎです。期首商品に含まれていた未実現利益は400,000×20%=80,000円で、貸方の商品はこの全額です。一方、借方は前期の消去が誰の利益を減らしたかに応じて分かれます。売った側が子会社なので、前期の消去はS社の利益を80,000円減らしており、そのうち親会社株主に帰属する分は80,000×70%=56,000円、非支配株主に帰属する分は80,000×30%=24,000円です。前者は損益の科目として残らないため 利益剰余金当期首残高 に、後者は純資産の残高として 非支配株主持分当期首残高 に置きます。下方取引の開始仕訳が借方1行で済むのに対し、上方取引では2行に分かれる点が違いです。
(2)は当期の実現です。期首の在庫が外部へ販売されたので、前期に消去した80,000円は当期に実現しました。売上原価を減らす向きで戻します。
(3)は実現に伴う按分です。(2)によってS社の調整後の利益が80,000円増えます。その増加分のうち非支配株主に帰属するのは80,000×30%=24,000円です。利益が増える場面なので、借方に非支配株主に帰属する当期純利益、貸方に非支配株主持分を置きます。 期末商品の消去(利益が減る場面)とは向きが逆になります。
検証
| 検証項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| (1)の貸借 | 56,000+24,000=80,000 | 一致 |
| (2)の貸借 | 80,000=80,000 | 一致 |
| (3)の貸借 | 24,000=24,000 | 一致 |
| 期首の未実現利益 | 400,000×20% | 80,000 |
| 按分の足し戻し | 56,000+24,000 | 80,000 |
| (1)と(3)の非支配株主分 | いずれも80,000×30% | 24,000 |
(1)の借方2行の合計が貸方の商品80,000円に一致すること、(1)で非支配株主分として引き継いだ24,000円と(3)で戻す24,000円が同額であることが、按分の整合を示します。
ただし、これらの検証では見つからない誤りがあります。 ひとつは金額そのものの誤りで、どの仕訳も借方と貸方が同額になる形なので、貸借が一致していても金額が正しいとはかぎりません。もうひとつは70%と30%の取り違えで、56,000+24,000でも24,000+56,000でも合計は80,000円に戻るため、足し戻しでは気づけません。どちらが非支配株主の割合かを問題文に戻って確かめる必要があります。
想定される誤り:ひとつは(1)の借方を 利益剰余金当期首残高 80,000円の1行にしてしまうことです。これは売った側が親会社の場合の形であり、上方取引では非支配株主分を分けます。ふたつめは(3)の向きを逆にし、非支配株主持分を減らしてしまうことです。実現は子会社の利益を増やします。三つめは(1)の借方に70%と30%を取り違えて24,000円と56,000円を置くことで、貸借は一致するため気づきにくい誤りです。