FP技能士3級 リスク管理 生命保険

この単元で身につけること

この単元では、生命保険を「保険料の仕組み」「契約管理」「主要商品」「個人年金」「特約・団体保険」「税務」の順に整理します。

学習後は、予定死亡率・予定利率・予定事業費率、払済保険・延長定期保険・転換・契約者貸付、定期・終身・養老・収入保障保険、個人年金保険の違いを判断できることを目標にします。さらに、2026年基準の生命保険料控除と、死亡保険金の課税関係を契約形態から区別できるようにします。


全体像

生命保険料の計算では、予定死亡率・予定利率・予定事業費率という3つの予定基礎率が代表的な要素です(LN-B-013)。予定死亡率は死亡統計を基に将来の保険金支払等を見積もる基礎率、予定利率は運用収益を見込んで保険料を割り引く基礎率、予定事業費率は契約締結・収納・維持管理等の費用を見込む基礎率です(LN-B-014~016)。

契約後は、保険料の払込みを続けるだけでなく、契約内容を変更・活用する制度があります。払済保険、延長定期保険、契約転換制度、契約者貸付制度などは、名称が似ていても目的と結果が異なります。

生命保険商品では、保障期間や保険金の受取条件を基準に、定期・終身・養老・収入保障などを区別します。個人年金保険では、確定・有期・終身の年金支払条件と、運用実績に連動する変額個人年金保険を整理します。

税務では、「保険料を支払ったときの生命保険料控除」と「保険金等を受け取ったときの課税」を分けて考えます。同じ生命保険でも、控除と受取時の税金では見るべき契約関係や数値が異なります。


用語の説明

  • 予定死亡率:死亡統計を基に将来の保険金支払等を見積もる基礎率。
  • 予定利率:資産運用収益を見込み、保険料を割り引く際の基礎率。
  • 予定事業費率:契約締結・収納・維持管理等の事業運営費を見込む基礎率。
  • 払済保険:以後の保険料払込みを中止し、解約返戻金等を一時払保険料に充当して保障額を小さくした保険へ変更する方法。
  • 延長定期保険:以後の保険料払込みを中止し、解約返戻金等を用いて死亡保障を一定期間の定期保険として継続する方法。
  • 契約転換制度:既契約の積立部分等を新しい契約に充当し、旧契約が消滅して新契約へ移る仕組み。
  • 契約者貸付制度:解約返戻金の一定範囲内で保険会社から貸付を受ける仕組み。
  • 特約:主契約に付加して保障内容を補完する契約部分。

基本ルール

予定利率は、他の条件が同じなら、高いほど一般に保険料が低くなる関係があります(LN-B-017)。また、保険料計算で見込んだ率と実績との差などから剰余が生じた場合、契約に応じて配当が行われることがあります(LN-B-018)。したがって、配当はすべての契約で必ず同額発生するものとして扱わず、契約に応じて行われる場合があるものと整理します。

払済保険は、保険料払込みを中止して保障額を小さくした保険へ変更する方法です(LN-B-019)。延長定期保険も以後の払込みを中止しますが、解約返戻金等を使って一定期間の死亡保障を継続する方法です(LN-B-020)。

契約転換制度では旧契約は消滅し、新契約へ移ります(LN-B-021)。契約者貸付制度は、解約返戻金の一定範囲内で貸付を受ける仕組みです(LN-B-022)。

保険証券や契約内容を読むときは、保険金額、給付条件、特約、契約者・被保険者・受取人などを確認します(LN-B-023)。実技では、金額だけでなく、どの条件で主契約や特約が支払われるかまで資料から読み取ることが重要です。


重要な数字

生命保険料控除では、2012年1月1日以後の新契約について、通常は一般生命・介護医療・個人年金の各区分で所得税の控除上限が4万円です(LN-B-034)。

2026年分・2027年分は、23歳未満の扶養親族がいる場合、一般の新生命保険料控除について上限6万円となる特例があります。介護医療・個人年金にはこの6万円特例を適用しません(LN-B-035)。各控除額の合計上限は12万円です(LN-B-036)。

2011年12月31日以前の旧契約のみで計算する場合、旧生命保険料控除・旧個人年金保険料控除は各区分5万円が上限です(LN-B-037)。

死亡保険金の相続税非課税限度額は、要件を満たす場合、500万円×法定相続人の数です(LN-B-041)。

数字は、4万円・6万円・12万円・5万円・500万円を単独で覚えるのではなく、「新契約通常」「23歳未満扶養親族特例」「合計上限」「旧契約」「死亡保険金非課税」のどれに対応するかをセットで整理します。


具体例

主要商品を保障構造で比較します。

定期保険は一定期間の死亡保障を目的とし、一般に貯蓄性は低い保険です(LN-B-024)。終身保険は死亡保障が一生涯続きます(LN-B-025)。養老保険は、保険期間中の死亡時には死亡保険金、満期生存時には満期保険金を受け取る、保障と貯蓄を兼ねる保険です(LN-B-026)。

収入保障保険は、被保険者が保険期間中に死亡等した場合、満期まで年金形式等で死亡保障を受け取るタイプで、契約後の経過に伴って受取総額が減少する設計が一般的です(LN-B-027)。

個人年金では、確定年金は生死にかかわらず一定期間支払われ、有期年金は生存している限り一定期間、終身年金は生存している限り一生涯支払われます(LN-B-028~030)。変額個人年金保険は、特別勘定等の運用実績により年金原資等が変動します(LN-B-031)。

特約は主契約に付加して保障を補完する契約部分です(LN-B-032)。また、企業・団体等を通じた団体生命保険・団体年金・財形制度もあります(LN-B-033)。FP3級では個別制度の詳細より、その位置づけを押さえます。


計算問題の考え方

B03には、死亡保険金の相続税非課税限度額を求めるCALC Slotがあります。

使う式は、 500万円×法定相続人の数 です。

たとえば法定相続人が4人なら、500万円×4人=2,000万円となります。高度な相続税額計算は行わず、非課税限度額だけを1段階で求めます。

生命保険料控除では、各区分の上限と合計上限を混同しないことが重要です。特に23歳未満扶養親族の特例で一般新生命保険料控除の上限が6万円になっても、3区分合計の上限は12万円です。


間違いやすい点

  1. 予定利率が高いほど保険料も高くなると考える:他条件が同じなら一般に保険料は低くなります。
  2. 払済保険と延長定期保険を同じと考える:払済は保障額を小さくして変更、延長定期は一定期間の死亡保障を継続します。
  3. 転換後も旧契約がそのまま残ると考える:転換では旧契約が消滅して新契約へ移ります。
  4. 定期・終身・養老を貯蓄性だけで判断する:保障期間と死亡・満期時の給付条件で区別します。
  5. 確定年金は生存中だけ支払われると考える:確定年金は被保険者の生死にかかわらず契約で定めた期間支払われます。
  6. 生命保険料控除の特例6万円を3区分すべてに使う:2026年分・2027年分の特例は一般の新生命保険料控除のみです。
  7. 死亡保険金はすべて相続税と考える:保険料負担者・被保険者・受取人の関係で税目が変わります。

試験での出題のされ方

B03は、生命保険契約管理・商品・個人年金・税務・保険証券読取りなど複数の重要論点を含みます。固定Slotでは、EX-B-001、002、003、007、010、011、012に接続する論点がPast_Exam_Frequency=Aとして設定されています。

一方、特約・団体保険、学科形式の生命保険料控除、死亡保険金非課税限度額のCALC、法人契約の経理概略は`UNVERIFIED`です。UNVERIFIEDは低頻度や出題なしを意味しません。

実技CASEでは、公式過去問の人物・金額・資料配置を再現せず、独自の保険証券や契約関係から一意に判断できる形で練習します。


まとめ

  • 予定基礎率は予定死亡率・予定利率・予定事業費率。
  • 予定利率が高いほど、他条件が同じなら一般に保険料は低い。
  • 払済・延長定期・転換・契約者貸付は目的と結果を区別する。
  • 定期・終身・養老・収入保障は保障構造で整理する。
  • 確定・有期・終身年金は、生死と支払期間の条件で区別する。
  • 生命保険料控除は区分別上限と合計12万円を区別する。
  • 死亡保険金の税目は契約者等の関係で判断する。

練習のしかた

まず、予定基礎率3つを説明できるようにし、次に払済・延長定期・転換・契約者貸付を1行ずつ比較します。

商品は「保障期間」「死亡時」「満期時」の3点で整理し、個人年金は「生死にかかわらず一定期間」「生存中の一定期間」「生存中一生涯」で比較します。

税務は、保険料控除と保険金課税を別論点として学びます。死亡保険金では、保険料負担者・被保険者・受取人の3者を書き出してから税目を判定します。保険料負担者と受取人が同一なら一時所得となる代表例、死亡した被保険者が負担者なら相続税、三者すべて異なる代表例なら贈与税という固定Ruleを比較します(LN-B-038~040)。


FP2級へのつながり

FP2級では、生命保険商品の比較、契約管理、生命保険料控除や保険金課税、法人契約の経理をより細かく扱います。

FP3級では、商品名を暗記するだけでなく、予定基礎率、契約変更制度、保障構造、税務の基本関係を正確に区別することが土台です。

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