FP技能士3級 リスク管理 リスク管理と保険設計

この単元で身につけること

この単元では、これまで学んだ生命保険・損害保険・第三分野の保険を、家庭や事業の具体的なリスクに対応付けます。

学習後は、死亡・医療・介護・老後・住宅・自動車・傷害・賠償・事業活動のリスクについて、「何に備えるための保障か」を整理し、必要保障額や保険の役割を判断できることを目標にします。

保険設計では、商品名を先に決めるのではなく、まずリスクと必要な保障を確認し、その後に保険を対応付ける順序が重要です。


全体像

家庭の保険設計では、死亡時の遺族生活費・教育費などに備える死亡保障、病気やけがに備える医療保障、介護や老後生活に備える保障、住宅・自動車・日常生活上の賠償などに備える損害保険を整理します。

死亡保障は、必要な将来支出をそのまま保険金額にするのではありません。遺族の将来収入、公的保障、既存資産などを差し引いて、不足額を必要死亡保障額として考えます(LN-B-080)。

医療・介護・老後準備では、公的保障と民間保険を重ねて考えます。民間保険は公的保障を一律に置き換えるものではなく、家計ごとの不足や不安に応じて補完する役割を持ちます。

事業では、役員・従業員の死亡等に備える生命保険のほか、建物・機械などの財物、休業、従業員の傷害、第三者への賠償責任などに損害保険を対応付けます。


用語の説明

  • 必要死亡保障額:遺族に必要な将来支出から、遺族の将来収入・公的保障・既存資産等を差し引いた不足額。
  • 死亡保障設計:家族構成や将来支出などを踏まえて死亡時に必要な保障を考えること。
  • 医療保障設計:公的保障と自己負担を踏まえて、民間医療保険等の役割を考えること。
  • 保障の見直し:家族構成・年齢・生活状況などの変化に合わせて必要な保障を再確認すること。
  • 事業保障:役員・従業員、財物、休業、賠償責任など事業活動に伴うリスクへの備え。
  • 休業リスク:事故等により事業活動を継続できず、利益減少や費用負担が生じるリスク。

基本ルール

必要死亡保障額の基本的な考え方は次のとおりです。

必要死亡保障額 = 遺族に必要な将来支出 - 遺族の将来収入・公的保障・既存資産等

これは教材上の標準的な考え方です(LN-B-080)。計算問題では、問題文に与えられた支出額と、収入・公的保障・資産等の金額を分類して差し引きます。

医療・介護・老後の保障は、家族全員が同じ内容を持てばよいわけではありません。公的保障、貯蓄、収入、家族構成などによって民間保険の必要性は変わります。

家庭の損害保険では、住宅、自動車、人の傷害、日常生活上の賠償など、損害の対象ごとに保険の役割を整理します。

事業でも同様に、財物損害、休業、人の傷害、第三者への賠償など、リスクごとに対応する保険を考えます。


重要な数字

B06では、特定制度の暗記数字よりも、必要死亡保障額の計算で与えられた金額を正しく分類することが中心です。

例えば、将来支出が4,800万円、遺族の将来収入が2,100万円、公的保障の見込額が900万円、既存資産が600万円なら、

4,800万円-(2,100万円+900万円+600万円) =1,200万円

となります。

この1,200万円が、問題で与えられた条件に基づく必要死亡保障額です。


具体例

子育て世帯では、遺族生活費や教育費など将来支出が大きい時期があります。一方、単身世帯では扶養家族の有無などによって死亡保障の必要性が異なります。高齢期には家族構成や資産状況の変化を踏まえ、保障内容を再確認します。

医療・介護では、「民間保険へ入れば公的保障は不要」と考えるのではなく、公的保障と貯蓄を踏まえた不足部分を考えます。老後準備も、公的年金や保有資産などを踏まえ、必要に応じて個人年金等の民間保障を組み合わせます。

事業では、経営者や重要な役員の死亡等が事業継続へ影響する場合があります。また、建物・機械の損害、事故による休業、製品等による賠償責任など、生命保険だけでは対応できないリスクもあります。


計算問題の考え方

B06ではS001の実技CASEで必要死亡保障額を計算します。

手順は3つです。

  1. 遺族に必要な将来支出を合計する。
  2. 遺族の将来収入、公的保障、既存資産等を合計する。
  3. 将来支出から、収入・保障・資産等を差し引く。

計算自体は1段階ですが、支出側と差し引く側を逆にしないことが重要です。

本Unitでは、高度な家計シミュレーションや将来価値計算は行いません。問題文に与えられた金額だけを使い、必要死亡保障額を一意に求めます。


間違いやすい点

  1. 将来支出の全額を必要死亡保障額とする:将来収入・公的保障・既存資産等を差し引きます。
  2. 既存資産を支出側へ加算する:既存資産は不足額を減らす側です。
  3. 民間医療保険が公的保障をすべて置き換えると考える:民間保障は補完として考えます。
  4. 家族構成や年齢が変わっても保障ニーズは同じと考える:ライフステージによって必要保障は変わります。
  5. 事業のすべてのリスクを生命保険で備える:財物・休業・賠償などには損害保険の役割があります。
  6. 事業用保険を税務メリットだけで判断する:B06ではリスクへの対応という本来の役割を中心に扱います。

試験での出題のされ方

B06では、必要死亡保障額の実技CASE、家庭の損害保険の事例判断、事業活動の損害保険設計などが固定Slotに含まれています。

過去問分析マスタでは、S001に接続するEX-B-012、S003に接続するEX-B-013、S006に接続するEX-B-008が、2024~2026 CBT公表分で3回中3回観測され、Past_Exam_Frequency=Aです。

一方、医療・老後の保障設計、顧客層・年齢別の保障ニーズ、事業活動の生命保険設計は`UNVERIFIED`です。これは低頻度や出題なしを意味しません。


まとめ

  • 保険設計は、リスクを確認してから必要な保障を考える。
  • 必要死亡保障額は、将来支出から将来収入・公的保障・既存資産等を差し引く。
  • 医療・介護・老後の民間保険は、公的保障等を踏まえた補完として考える。
  • 家族構成・年齢・ライフステージにより保障ニーズは変わる。
  • 家庭の損害保険は、住宅・自動車・傷害・賠償などのリスクを対応付ける。
  • 事業では、役員・従業員の死亡等だけでなく、財物・休業・賠償リスクにも備える。

練習のしかた

必要死亡保障額では、問題文の数字を「必要な将来支出」と「差し引く将来収入・公的保障・既存資産」に分けて書き出します。

家庭の保険設計では、「死亡」「医療・介護」「住宅」「自動車」「傷害」「賠償」のどのリスクかを先に決めます。

事業では、「人」「財物」「休業」「賠償」の4つに分けると整理しやすくなります。問題で示されたリスクに最も直接対応する保険を選びます。


FP2級へのつながり

FP2級では、必要保障額の算定、ライフステージごとの保障設計、法人・事業向け保険の活用をより詳細に扱います。

FP3級では、高度な税務やシミュレーションに進む前に、リスクと保険の対応関係、必要死亡保障額の基本式、保障見直しの考え方を正確に身につけることが土台です。

関連する問題


コメント

タイトルとURLをコピーしました