FP技能士3級 リスク管理 実技・事例問題 第1問〜第7問

重要度:A 論点:生命保険

第1問

【事例】

会社員の藤井健一さん(42歳)は、自身が加入している生命保険の保障内容を確認するため、下記の保険証券(一部抜粋)をファイナンシャル・プランナーに示し、死亡した場合に妻の由紀さん(40歳)が受け取れる金額について質問した。

<藤井健一さんの生命保険証券(一部抜粋)>

  • 契約者・被保険者:藤井 健一
  • 死亡保険金受取人:藤井 由紀(妻)
  • 主契約:終身保険 保険金額 500万円
  • 定期保険特約:保険金額 2,000万円
  • 災害死亡特約:保険金額 300万円(不慮の事故等を直接の原因とする死亡の場合に支払う)
  • 入院特約:入院日額 5,000円(病気・けがで所定の入院をした場合)

(前提条件)

  • 保険料の払込みは継続しており、契約は有効に成立している。
  • 記載のない事項は考慮しない。

【設問】

藤井健一さんが2026年中に病気(疾病)により死亡した場合、妻の由紀さんが受け取ることができる死亡保険金の合計額として、最も適切なものはどれか。

  1. 500万円
  2. 2,500万円
  3. 2,800万円
【第1問:正解と解説】

正解:2

  1. 求めるもの:病気による死亡の場合の死亡保険金の合計額
  2. 資料の確認:支払事由に該当するのは、主契約の終身保険(死亡保険金500万円)と定期保険特約(死亡保険金2,000万円)である。
  3. 判定:災害死亡特約(300万円)は「不慮の事故等を直接の原因とする死亡」が支払事由であり、病気による死亡は対象とならない。入院特約は死亡保険金ではない。
  4. 計算:500万円+2,000万円=2,500万円
  5. 正解:2,500万円 → 肢2
  • 肢1の500万円は、主契約のみを数え、定期保険特約の死亡保険金を見落とした誤り。
  • 肢3の2,800万円は、病気死亡では支払事由に該当しない災害死亡特約300万円を加算した誤り。

間違いやすい点

保険証券の読取りでは、①誰が受け取るか(受取人)、②どの契約・特約が支払事由に該当するか、③金額の合計、の順に確認する。特約ごとに支払事由(病気か不慮の事故か)が異なるため、証券に記載された条件を必ず確認してから合算することがポイントである。



重要度:A 論点:生命保険

第2問

【事例】

岡田美穂さん(45歳)は、下記の生命保険契約についてファイナンシャル・プランナーに相談した。この契約に基づき、被保険者である夫の真一さん(47歳)が死亡した場合、長女の彩花さん(19歳)が受け取る死亡保険金の課税関係が知りたいという。

<生命保険契約の内容>

  • 契約者(保険料負担者):岡田 美穂(妻)
  • 被保険者:岡田 真一(夫)
  • 死亡保険金受取人:岡田 彩花(長女)
  • 死亡保険金額:1,000万円

(前提条件)

  • 保険料はすべて美穂さんが負担している。
  • 記載のない事項は考慮しない。

【設問】

真一さんの死亡により彩花さんが受け取る死亡保険金1,000万円に課される税金として、最も適切なものはどれか。

  1. 所得税
  2. 相続税
  3. 贈与税
【第2問:正解と解説】

正解:3

死亡保険金の課税関係は、保険料負担者・被保険者・受取人の組合せで判定する。

  1. 保険料負担者:美穂さん(妻)
  2. 被保険者(死亡した人):真一さん(夫)
  3. 受取人:彩花さん(長女)

保険料負担者・被保険者・受取人の三者がすべて異なるため、死亡保険金は保険料負担者(美穂さん)から受取人(彩花さん)への贈与として、贈与税の課税対象となる。→ 肢3

  • 肢1(不適切):所得税(一時所得)となるのは、保険料負担者と受取人が同一の場合(例:美穂さんが負担し美穂さんが受け取る)である。
  • 肢2(不適切):相続税となるのは、死亡した被保険者が保険料を負担していた場合(例:真一さんが負担していた)である。

間違いやすい点

「死亡保険金=相続税」と決めつける誤りが典型である。判定は必ず「①誰が保険料を負担したか→②誰が死亡したか→③誰が受け取るか」の順に行い、負担者=被保険者なら相続税、負担者=受取人なら一時所得、三者すべて異なれば贈与税、と当てはめる。



重要度:A 論点:生命保険

第3問

【事例】

会社員の内藤大輔さん(38歳)は、2026年分の所得税における生命保険料控除について、ファイナンシャル・プランナーに質問した。内藤さんには5歳の長男(内藤さんの扶養親族に該当)がおり、下記の2つの保険契約の保険料を支払っている。

<内藤さんが保険料を支払っている契約>

契約 締結年 区分 2026年中の支払保険料
終身保険 2015年 一般の生命保険料(新契約) 各区分の控除限度額に達する十分な額
個人年金保険(税制適格特約付) 2020年 新個人年金保険料(新契約) 各区分の控除限度額に達する十分な額

(前提条件)

  • 長男(5歳)は23歳未満の扶養親族に該当する。
  • 介護医療保険料・旧契約の保険料の支払いはない。
  • 記載のない事項は考慮しない。

【設問】

内藤さんの2026年分の所得税における生命保険料控除額の合計として、最も適切なものはどれか。

  1. 8万円
  2. 10万円
  3. 12万円
【第3問:正解と解説】

正解:2

  1. 一般の新生命保険料控除:2026年分は、23歳未満の扶養親族を有する場合、限度額が6万円となる(通常の4万円の特例)。支払保険料は限度額に達する十分な額なので、控除額は6万円。
  2. 新個人年金保険料控除:6万円の特例は一般の新生命保険料控除のみに適用されるため、限度額は4万円のまま。控除額は4万円。
  3. 合計:6万円+4万円=10万円(各控除額の合計の上限12万円の範囲内)→ 肢2
  • 肢1の8万円は、23歳未満の扶養親族がいる場合の6万円特例を見落とし、両区分とも4万円(4万円+4万円)で計算した誤り。
  • 肢3の12万円は、控除の合計上限12万円をそのまま答えた誤り、または6万円特例を個人年金にも適用(6万円+6万円)した誤り。

間違いやすい点

2026年分・2027年分の6万円特例は「一般の新生命保険料控除だけ」に適用される。個人年金・介護医療は4万円のままである点と、合計しても上限12万円を超えられない点の2つを確認してから合算する。



重要度:A 論点:損害保険

第4問

【事例】

※人物・事故・金額・資料配置はすべて新規設計(既存C001~C010と重複なし)


会社員の榎本大輔さん(42歳)は、妻の彩さん(40歳)、長男の悠人さん(9歳)と3人で持家(戸建て)に暮らしている。榎本さんは自宅建物を対象とする火災保険に加入しており、個人賠償責任補償特約を付帯している。

資料:榎本さんが契約する火災保険の契約概要(一部抜粋)

項目 内容
保険種類 住宅総合保険
保険契約者・記名被保険者 榎本 大輔
保険の対象 自宅建物
付帯特約 個人賠償責任補償特約(支払限度額 1億円)
特約の被保険者 記名被保険者およびその同居の親族
特約の補償内容 日常生活上の偶然な事故により、他人にケガをさせたり他人の財物を壊したりして、被保険者が法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償する
特約の主な免責事由 被保険者の故意による損害 ほか

【設問】

榎本さんの家族に次の(ア)~(ウ)の出来事があった場合、資料の個人賠償責任補償特約による補償の対象となるものとして、最も適切なものはどれか。なお、いずれの場合も、記載の事情以外は特約の支払要件を満たしているものとする。

  • (ア)悠人さんが自転車で走行中、誤って歩行者に衝突してケガをさせ、悠人さん側が法律上の損害賠償責任を負った。
  • (イ)榎本さんが模様替えの最中に、誤って自宅リビングの窓ガラスを割ってしまい、交換費用を負担した。
  • (ウ)榎本さんが近隣住民との口論の末、腹を立てて相手の自転車を故意に壊し、法律上の損害賠償責任を負った。
  1. (ア)
  2. (イ)
  3. (ウ)
【第4問:正解と解説】

正解:**1.(ア)**

個人賠償責任補償特約(個人賠償責任保険)は、日常生活上の偶然な事故で他人に法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償するものであり、故意による損害は対象外である。

  • (ア)適切(補償の対象となる)。自転車走行中に誤って歩行者にケガをさせた事故は、日常生活上の偶然な事故であり、他人に対する法律上の損害賠償責任が生じている。資料より特約の被保険者には「記名被保険者およびその同居の親族」が含まれるため、同居の長男・悠人さんの事故も補償の対象となる。
  • (イ)不適切(補償の対象とならない)。壊れたのは榎本さん自身の自宅の窓ガラスであり、「他人」の財物に損害を与えて賠償責任を負ったものではない。賠償責任保険は他人への法律上の賠償責任を補償するものであり、自分の財物の損害は対象外である。
  • (ウ)不適切(補償の対象とならない)。故意に他人の財物を壊した場合の損害は、資料の免責事由(被保険者の故意による損害)に該当し、補償の対象外である。

間違いやすい点

  • (イ)を「偶然な事故だから対象」と考える誤り。偶然性だけでなく「他人に対する法律上の損害賠償責任」が生じていることが必要
  • (ウ)を「他人の財物への損害だから対象」と考える誤り。故意による損害は免責であり、賠償責任保険では補償されない
  • 家族(同居の親族)の事故が対象になるかを迷う点。資料の「特約の被保険者」欄を読み取れば判断できる


重要度:A 論点:第三分野の保険

第5問

【事例】

※人物・金額・証券・表構成はすべて新規設計(既存C001~C011と重複なし)


会社員の柏木誠一さん(48歳)は、2026年2月1日にがん保険(終身型)を契約した。柏木さんは2026年8月1日に初めてがんと診断され、治療のため20日間継続して入院し、入院中に約款所定の手術を1回受けた。

資料:柏木さんが契約するがん保険の保険証券(一部抜粋)

項目 内容
保険種類 がん保険(終身型)
保険契約者・被保険者 柏木 誠一
契約日 2026年2月1日
保障の開始 契約日からその日を含めて90日の待ち期間経過後に保障開始
がん診断給付金 100万円(初めてがんと診断されたとき)
がん入院給付金 日額10,000円(がんの治療を目的とする入院。入院1日目から支払対象)
がん手術給付金 1回につき20万円(がんの治療を目的とする約款所定の手術)

【設問】

柏木さんが上記の診断・入院・手術により受け取ることができる給付金の合計額として、最も適切なものはどれか。なお、給付金の支払要件は資料に記載のとおりであり、記載以外の給付・特約はないものとする。

  1. 400,000円
  2. 1,400,000円
  3. 1,200,000円
【第5問:正解と解説】

正解:**2. 1,400,000円**

まず待ち期間を確認する。契約日は2026年2月1日であり、資料より契約日からその日を含めて90日の待ち期間経過後に保障が開始される。90日の待ち期間は2026年5月初旬に経過しており、2026年8月1日の診断は保障開始後の給付事由に該当する。

次に、資料に記載された給付条件に沿って、該当する給付金を読み取り合計する。

  • がん診断給付金:初めてがんと診断されたため、100万円
  • がん入院給付金:日額10,000円×入院20日=20万円(入院1日目から支払対象)
  • がん手術給付金:約款所定の手術1回につき20万円×1回=20万円

合計:100万円+20万円+20万円=140万円(1,400,000円)

  • 肢1(400,000円)は不適切。診断が待ち期間内であると誤って判断し、がん診断給付金100万円を除外した金額(20万円+20万円)である。待ち期間は診断日より前に経過している。
  • 肢2(1,400,000円)が適切。
  • 肢3(1,200,000円)は不適切。がん手術給付金20万円を読み落とした金額(100万円+20万円)である。証券に記載された給付項目をすべて確認する必要がある。

間違いやすい点

  • 待ち期間の確認を省略する、または待ち期間を診断日以後も継続中と誤認する誤り。契約日と診断日の間隔を必ず確認する
  • 証券に記載された給付項目(診断・入院・手術)の一部を読み落とす誤り
  • 入院給付金の日額と入院日数の掛け算を忘れ、日額のみを計上する誤り


重要度:A 論点:リスク管理と保険設計

第6問

【事例】

会社員の三浦健太さん(38歳)は、妻の美咲さん(36歳)、長女の花音さん(5歳)と3人暮らしである。三浦さんは、自分に万一のことがあった場合に備え、必要死亡保障額を試算することにした。

資料:三浦さんに万一のことがあった場合の試算(見込額)

項目 金額
遺族に必要な将来支出(遺族の生活費・教育費・住居費等の合計) 9,800万円
遺族の将来収入(美咲さんの就労収入等の合計) 4,200万円
公的保障(遺族年金等の受給見込み総額) 3,100万円
既存資産(預貯金等) 900万円

【設問】

上記の資料に基づき、「必要死亡保障額=遺族に必要な将来支出-遺族の将来収入・公的保障・既存資産等」として計算した場合、三浦さんの必要死亡保障額として、最も適切なものはどれか。

  1. 1,600万円
  2. 2,500万円
  3. 8,200万円
【第6問:正解と解説】

正解:**1. 1,600万円**

必要死亡保障額は、遺族に必要な将来支出から、遺族の将来収入・公的保障・既存資産等を差し引いた不足額として計算する。

  1. 何を求めるか:必要死亡保障額
  2. 使用する式:必要死亡保障額=遺族に必要な将来支出-遺族の将来収入・公的保障・既存資産等
  3. 数値代入:差し引く合計=4,200万円+3,100万円+900万円=8,200万円
  4. 計算:9,800万円-8,200万円=1,600万円
  5. 単位確認:万円
  6. 正解:1,600万円
  • 肢1(1,600万円)が適切。
  • 肢2(2,500万円)は不適切。既存資産900万円の差し引きを忘れた金額(9,800万円-4,200万円-3,100万円)である。差し引く要素は将来収入・公的保障・既存資産等のすべてである。
  • 肢3(8,200万円)は不適切。差し引く項目(将来収入・公的保障・既存資産)の合計額であり、必要死亡保障額ではない。

間違いやすい点

  • 既存資産の差し引きを忘れる誤り。「すでに備えられている部分」には預貯金等の資産も含まれる
  • 式の引き算の向きを取り違え、差し引く側の合計を答えてしまう誤り
  • 将来支出9,800万円をそのまま必要死亡保障額とする誤り。求めるのは不足額である


重要度:A 論点:リスク管理と保険設計

第7問

【事例】

佐野家は自己所有の戸建住宅に住んでいる。 ある日、台所から出火し、佐野家自身の住宅建物が焼損した。

前提:

  • 地震・噴火・津波を原因とする火災ではない。
  • 他人への損害賠償や家族のけがは考慮しない。
  • 本問では、焼損した自己所有住宅の建物損害に最も直接対応する保険種類だけを判断する。

【設問】

この住宅建物の損害に最も直接対応する保険はどれか。

  1. 火災保険
  2. 個人賠償責任保険
  3. 生命保険
【第7問:正解と解説】

正解:1

自己所有住宅の建物が火災で損害を受けた場合、その財物損害に対応する基本的な保険は火災保険である。

  • 1:適切。
  • 2:他人に法律上の損害賠償責任を負うリスクに備える保険で、本件の自己住宅損害とは異なる。
  • 3:人の死亡等に備える保険で、本件の建物損害とは異なる。

間違いやすい点

事故が起きたときは、まず「誰の何が損害を受けたか」を確認する。今回は自己所有住宅という財物の損害である。



コメント

タイトルとURLをコピーしました