この単元で身につけること
この単元では、リスクマネジメントの基本的な考え方を学びます。学習後は、リスクへの対応を「回避・低減・移転・保有」に分けて整理し、個人や企業がどのようなリスクに備える必要があるかを説明できることを目標にします。
また、保険はすべてのリスクを解決する手段ではなく、主に経済的損失を他者へ移転する方法の一つとして位置づけます。
全体像
リスクとは、将来起こるかどうかが確実ではなく、発生すると生活や事業に損失をもたらす可能性のある事象です。
リスクマネジメントでは、まずどのようなリスクがあるかを把握し、その影響を考え、適切な対応方法を選びます。代表的な対応には、危険な行為をやめる「回避」、事故の可能性や損害を小さくする「低減」、保険などで経済的損失を他者に移す「移転」、損失を自分で負担する「保有」があります。
個人では死亡・疾病・傷害などの人的リスク、住宅や家財などの財産リスク、他人へ損害を与える賠償責任リスクなどがあります。企業でも、従業員・役員に関する人的リスク、建物や設備の財物リスク、事故による休業、第三者への賠償責任などが考えられます。
用語の説明
- リスクマネジメント:リスクを把握・評価し、適切な対応方法を選んで管理すること。
- リスクコントロール:リスクの発生可能性や損失の大きさ自体を小さくする対応。回避・低減などが該当する。
- リスクファイナンシング:損失が生じた場合の経済的な手当てを準備する対応。移転・保有などが該当する。
- リスク回避:リスクの原因となる活動そのものを行わないこと。
- リスク低減:事故の発生可能性や損害の大きさを小さくすること。
- リスク移転:損害が生じた場合の経済的負担を保険会社など他者へ移すこと。
- リスク保有:損失が生じた場合に、自分の資金で負担すること。
- 人的リスク:死亡・疾病・傷害など、人に関係するリスク。
- 財産リスク:住宅・家財・建物・設備などの財産が損害を受けるリスク。
- 賠償責任リスク:他人の生命・身体・財物などに損害を与え、賠償責任を負うリスク。
基本ルール
リスクへの対応は、目的に応じて使い分けます。大きくは、回避・低減などのリスクコントロールと、移転・保有などのリスクファイナンシングに整理できます。
「回避」は、危険そのものから離れる方法です。たとえば、非常に危険な活動を行わない判断が該当します。
「低減」は、リスクを完全になくすのではなく、発生確率や損害の程度を小さくします。安全設備の導入や事故防止教育などが代表例です。
「移転」は、損失の経済的負担を他者へ移します。生命保険や損害保険の活用は、代表的なリスク移転の手段です。
「保有」は、発生した損失を自己資金で負担します。小さな損失や、保険を利用するより自分で備える方が合理的なリスクでは、保有という考え方もあります。
重要な数字
このUnitでは、固定して暗記すべき法令数値はありません。
数字ではなく、回避・低減・移転・保有の意味と違い、そして個人・企業の主要リスク分類を正確に区別することが中心です。
具体例
自宅で火災に備える場合を考えます。
火災警報器を設置したり、火の元を日常的に確認したりすることは、事故の発生や損害を小さくする「低減」の考え方です。
一方、火災保険に加入して、火災による経済的損失の一部を保険会社へ移すことは「移転」に当たります。
保険に加入していても事故そのものがなくなるわけではありません。低減と移転を組み合わせることも、リスクマネジメントでは重要です。
計算問題の考え方
FP3-B01の固定Question_Slotには計算問題はありません。
問題では、具体例を読んで、それが回避・低減・移転・保有のどれに当たるか、またはどの種類のリスクに該当するかを判断することが中心です。
間違いやすい点
- 保険加入=リスクをなくすことと考える:保険は主に経済的損失を移転する手段です。
- 回避と低減を混同する:回避は原因となる活動をやめ、低減は発生可能性や損失を小さくします。
- 保有は何もしないことだと考える:損失を自己資金で負担するという対応方法です。
- 個人リスクを死亡・疾病だけで考える:財産や賠償責任のリスクもあります。
- 企業リスクを建物の損害だけで考える:人的・財物・休業・賠償など複数の観点があります。
試験での出題のされ方
B01の固定Question_Slotは、公式試験範囲を補完する設計で、各SlotのPast_Exam_Frequencyは`UNVERIFIED`です。
したがって、「出題されない」「低頻度」と判断するのではなく、保険分野を学ぶ前提知識として、リスクマネジメントの基本概念を確実に整理します。
まとめ
- リスクマネジメントは、リスクを把握・評価し対応する考え方。
- 主な対応は回避・低減・移転・保有。
- 保険は代表的なリスク移転の手段。
- 個人には人的・財産・賠償責任などのリスクがある。
- 企業には人的・財物・休業・賠償などのリスクがある。
- 保険だけでなく、回避・低減・保有も組み合わせて考える。
練習のしかた
具体例を見たら、まず「リスクの種類」と「対応方法」を分けて考えます。
たとえば、安全設備の設置なら低減、保険加入なら移転、危険な活動を中止するなら回避、小さな損害を自己資金で負担するなら保有、と整理します。
FP2級へのつながり
FP2級では、企業のリスク管理や具体的な保険設計をより詳しく扱います。
FP3級では、個人・企業の主要リスクを分類し、回避・低減・移転・保有という基本的な対応手法を区別できることが土台です。

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