学習のポイント
① ここまでの修正を1枚の表にまとめる
これまでの単元で、支配獲得日の資本連結、開始仕訳、のれんの償却、子会社の利益と配当、内部取引の相殺、未実現損益の消去を学びました。仕上げとして、それらをまとめて連結財務諸表の形にする作業を行います。
そのための道具が連結精算表です。左から順に、親会社と子会社の個別財務諸表、その合算、連結修正の借方と貸方、そして連結金額が並びます。
| 表示科目 | 個別合算 | 修正消去(借方) | 修正消去(貸方) | 連結金額 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | ××× | ××× | ××× | ××× |
| 売上原価 | ××× | ××× | ××× | ××× |
行ごとに横へ計算していき、最後に縦へ集計します。
② 行の性質で足し引きが変わる
修正欄の借方・貸方をどちらに足すかは、その行がもともと借方に残高を持つのか、貸方に残高を持つのかで決まります。
| 行の性質 | 該当する科目 | 計算 |
|---|---|---|
| 借方残 | 資産・費用 | 連結 = 合算 + 借方 - 貸方 |
| 貸方残 | 負債・純資産・収益 | 連結 = 合算 - 借方 + 貸方 |
たとえば売上高は収益なので貸方残です。内部売上高を消すときは借方に置くので、連結金額は合算額から減ります。売上原価は費用で借方残ですから、同じ内部売上高の消去(貸方に置く)によって連結金額は減ります。
③ 連結損益計算書の並び
連結損益計算書は、当期純利益を出したあと、それを2つに分けるところまで書きます。
| 行 |
|---|
| 売上高 |
| 売上原価 |
| 販売費及び一般管理費 |
| 受取配当金 |
| 固定資産売却益 |
| 当期純利益 |
| 非支配株主に帰属する当期純利益 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 |
当期純利益 = 親会社株主に帰属する当期純利益 + 非支配株主に帰属する当期純利益
子会社からの受取配当金や、企業集団の内部で売買した土地の売却益は、外部に対して実現していないので連結上は残りません。
④ 連結貸借対照表の並び
資産の側では、子会社株式が消えてのれんが現れます。内部の債権債務も消えます。
資産合計 = 負債合計 + 純資産合計
純資産の側は、資本金は親会社の分だけが残ります。子会社の資本金は資本連結で消えているためです。これに連結上の利益剰余金と非支配株主持分が並びます。
貸倒引当金は資産から控除する形で示します。内部債権を消したら、それに対応する引当金も減らします。
⑤ 株主資本等変動計算書との接続
株主資本等変動計算書は、純資産の各項目について当期首残高 → 当期変動額 → 当期末残高の順に並べます。
| 項目 | 当期首残高 | 当期変動額 | 当期末残高 |
|---|---|---|---|
| 資本金 | ××× | — | ××× |
| 利益剰余金 | ××× | +親会社株主に帰属する当期純利益 -配当 | ××× |
| 非支配株主持分 | ××× | +当期の按分額 -配当による減少 | ××× |
利益剰余金の当期末残高 = 当期首残高 + 親会社株主に帰属する当期純利益 - 親会社が外部へ支払った配当
利益剰余金に足すのは親会社株主に帰属する当期純利益です。連結上の当期純利益全体ではありません。差し引く配当も、親会社が企業集団の外部へ支払った分だけです。子会社が親会社へ支払った配当は内部の取引として消えています。
非支配株主持分の当期末残高 = 当期首残高 + 当期の按分額 - 配当による減少
この2つの当期末残高は、そのまま連結貸借対照表の純資産の行になります。表をまたいでつながっている点が、この単元の要になります。
⑥ 作成の手順
- 親会社と子会社の個別財務諸表を合算する
- 開始仕訳の影響を修正欄に置く
- 当期の連結修正を修正欄に置く
- 行ごとに横へ計算して連結金額を出す
- 連結損益計算書・連結貸借対照表・株主資本等変動計算書へ転記する
⑦ 検算とその限界
次の確認ができます。
- 連結貸借対照表で
資産合計 = 負債合計 + 純資産合計になっているか - 連結損益計算書で
当期純利益 = 親会社株主分 + 非支配株主分になっているか - 株主資本等変動計算書の当期末残高が、連結貸借対照表の純資産の行と一致するか
ただし、これらの検算では見つからない誤りがあります。
ひとつは内部売上高の消去を丸ごと落とした場合です。内部売上高は売上高と売上原価の両方から同額を消します。両方とも落とすと、収益も費用も同じだけ多くなるので、当期純利益は正しい金額のまま変わりません。当期純利益だけを見ていては気づけません。
もうひとつは内部の債権債務の相殺を落とした場合です。債権と債務は同額で対応しているので、両方とも残したままでも資産と負債が同じだけ多くなり、貸借対照表は均衡したままです。
さらに、子会社株式の消去と、それに対応する資本の消去を同時に落とした場合も、借方と貸方が同じだけ動くため縦計は合ってしまいます。
つまり合計が合っていることは、消去が行われた証拠にはなりません。
- 売上高と売上原価の行そのものが、内部売上高の分だけ減っているか
- 内部の売掛金・買掛金・電子記録債権・電子記録債務が連結貸借対照表に残っていないか
- 子会社株式が0になり、のれんが計上されているか
といった行の直接確認と、表をまたぐ接続の確認を、合計の確認とは別に行う必要があります。
⑧ ここで扱わない範囲
- 現金の流れをまとめた連結の計算書を作る処理
- 年度の途中で連結財務諸表を作る処理
- 純資産の変動をより広くとらえた利益を表示する処理
- 影響力はあるが支配はしていない会社への投資の処理
- 海外にある子会社の財務諸表を換算する処理
- 支配を獲得したあとに株式を買い足したり売ったりする場合の処理
- 税金の影響を連結上で調整する処理
これらは扱いません。ここでは連結精算表と、連結損益計算書・連結貸借対照表・株主資本等変動計算書の作成だけを考えます。