宅地建物取引士 権利関係 択一式(初級) 第82問〜第84問|賃貸借・借地借家法

重要度:A 論点:賃借権の対抗要件

問82:Aは、Bから甲建物を賃借して引渡しを受け、居住しているが、賃借権の登記はしていない。その後、BはCに甲建物を売却した。この場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • A:Aが賃借権をCに対抗するためには、Bの承諾を得ることが必要である。
  • B:Aは、賃借権の登記をしていないので、賃借権をCに対抗することができない。
  • C:Aは、甲建物の引渡しを受けているので、賃借権をCに対抗することができる。
【第82問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:誤り。対抗力の取得に賃貸人の承諾は不要。承諾が問題になるのは賃借権の譲渡・転貸の場面であり、場面の混同を誘うひっかけ。
・B:誤り。登記がなくても引渡しにより対抗できる。民法の原則(賃借権の登記)だけで判断させるひっかけ。
・C:正しい。建物賃貸借では建物の引渡しが対抗要件となる(借地借家法31条)。【試験対策】対抗要件の整理=「建物賃借権:建物の引渡し」「借地権:借地上の建物の登記(借地権者名義)」「民法の原則:賃借権の登記」。どの場面のどの対抗要件かの入れ替えが定番。


重要度:A 論点:賃貸人の地位の移転

問83:対抗要件を備えた建物賃借人Aがいる甲建物を、賃貸人BがCに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  • A:Cが賃貸人としてAに賃料を請求するには、甲建物について所有権移転登記を備える必要がある。
  • B:賃貸人の地位がCに移転するには、Aの承諾が必要である。
  • C:Bが差し入れを受けていた敷金の返還債務は、Cに承継されない。
【第83問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:正しい。地位の移転を賃借人に対抗する(賃料請求する)には所有権移転登記が必要(令和2年改正で明文化)。【試験対策】「地位の移転=承諾不要」と「賃料請求=登記必要」はセットで出る。二重払いの危険から賃借人を守る趣旨、と理由づけて覚える。
・B:誤り。賃貸人の地位は賃借人の承諾なく当然に移転する。賃貸人が誰でも賃借人の不利益は小さいため。承諾を要求するひっかけ。
・C:誤り。敷金返還債務・費用償還債務は新賃貸人に承継される。承継を否定する結論の向きのひっかけ。


重要度:A 論点:敷金

問84:敷金に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  • A:賃借人は、賃貸借の存続中、敷金を未払賃料に充当するよう賃貸人に請求することができる。
  • B:敷金返還請求権は、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けた時に、未払賃料等を控除した残額について発生する。
  • C:賃借人は、賃貸借終了後、建物の明渡しと引換えでなければ敷金の返還を請求できないのではなく、明渡しよりも先に敷金の返還を請求することができる。
【第84問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:誤り。充当するかどうかは賃貸人の判断であり、賃借人の側から充当を請求することはできない。主体の入れ替え。
・B:正しい。「終了+明渡し」の時点で残額につき発生する(令和2年改正で明文化)。【試験対策】敷金の2大ポイント=「明渡しが先(同時履行なし)」「充当は賃貸人の権利で賃借人は主張不可」。どちらも賃借人に有利な方向へ捻じ曲げる形で誤り肢が作られる。
・C:誤り。明渡しが先履行であり、敷金返還と明渡しは同時履行の関係に立たない。先に敷金返還を請求することはできない。


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