前提:会計期間は4月1日から翌年3月31日まで、決算日は3月31日とします。金額はすべて決算整理後のものです。
貸借対照表の役割、表示科目への読み替えの名称(繰越商品→商品・前払家賃→前払費用)、貸倒引当金や減価償却のP/L・B/S反映、当期純利益と繰越利益剰余金の関係、B/Sの検算は C15-T04(決算整理からの財務諸表作成) で確認してください。ここでは、勘定式の貸借対照表という1枚の表を作るときの表示判断に絞ります。
重要度:A 論点:勘定式B/Sの左右とその意味
問1(二択)
勘定式の貸借対照表について、適切な説明はどちらか。
A:左側に資産、右側に負債と純資産を並べる。左右が一致するのは、同じ財政状態を「資産(資金の運用形態)」と「負債・純資産(資金の調達源泉)」の両面から示しているためである B:左側に資産と費用、右側に負債・純資産と収益を並べる。左右が一致するのは、収益と費用が対応しているためである
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正解:A
解説
貸借対照表に載るのは資産・負債・純資産の3つだけです。収益と費用は損益計算書に載ります。
左右の意味は次のとおりです。
| 左側(借方) | 右側(貸方) |
|---|---|
| 資産=資金がどのような形で運用されているか | 負債・純資産=その資金をどのように調達したか |
貸借対照表は、同じ財政状態をこの2つの面から示すため、正しく作成された表では左右の合計が一致します。
B が誤りである理由:収益・費用は貸借対照表には載らないためです。また、左右が一致する理由も収益・費用の対応ではありません。
なお、貸借対照表は決算日という一時点の財政状態を示すので、見出しは「×年×月×日現在」です。損益計算書の「自〜至」(期間)とは異なります。
重要度:A 論点:貸倒引当金・減価償却累計額の控除表示
問2(○×)
貸倒引当金や減価償却累計額は貸方残高の勘定であるため、貸借対照表では負債の区分に表示する。
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正解:×
解説
どちらも貸方残高の勘定ですが、負債ではありません。対象となる資産から差し引いて表示する性質があります。本教材で扱う勘定式の基本様式では、対象資産に対応させて △ を付けて控除する形で示します。実際の位置・表示形式は問題文や答案用紙の指定を優先します。
| 控除するもの | 控除される相手 | 表示区分 |
|---|---|---|
| 貸倒引当金 | 売掛金・電子記録債権など | 流動資産のマイナス |
| 備品減価償却累計額 | 備品 | 有形固定資産のマイナス |
貸倒引当金は売掛金等について貸倒れを見積もった額を控除し、備品減価償却累計額は取得原価のうちこれまで減価償却費として配分された累計額を控除して、差引後の資産額を示します。
たとえば備品の控除表示は次の形になります。
| 資産 | 内訳 | 金額 |
|---|---|---|
| 備品 | 取得原価 | |
| 備品減価償却累計額 | △累計額 | 差引額 |
この考え方が誤りである理由:貸倒引当金を負債側に並べても、合計だけは一致してしまいます。しかし表示としては誤りです。貸借が一致していることは、個別の科目が正しいことを保証しません(問4)。
重要度:A 論点:経過勘定の総称表示(合算と、該当なしの行を作らないこと)
問3(二択)
決算整理後の残高が、前払家賃と前払保険料の2つにあり、未収の残高はなかった。答案用紙に表示科目を自分で記入する形式で、金額0の項目を記載する指定はないものとする。 貸借対照表の表示として適切なのはどちらか。
A:「前払家賃」「前払保険料」をそれぞれ1行ずつ記載し、あわせて「未収収益」の行も金額0で記載する B:2つを合計して「前払費用」1行にまとめ、「未収収益」の行は作らない
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正解:B
解説
本問のように総称表示で記入する形式では、名前を読み替えるだけでなく、同じ表示科目にまとめる残高を合計して1行に記載します。
| 帳簿の勘定科目 | 貸借対照表の表示 |
|---|---|
| 前払家賃・前払保険料・前払利息 など | 前払費用(合計して1行) |
| 未収利息・未収家賃 など | 未収収益 |
| 未払家賃・未払利息・未払給料 など | 未払費用 |
| 前受家賃・前受地代・前受手数料 など | 前受収益 |
また、本問は表示科目を自分で記入し、0円項目の記載指定もないため、未収の残高が0なら「未収収益」の行を新たに作りません。あらかじめ行が印刷されている答案や別の指定がある場合は、その様式に従います。
A が誤りである理由:本問では「前払費用」という総称表示へまとめる形式なのに個別科目のまま並べ、さらに指定のない0円行を追加しているためです。仕訳・元帳の勘定科目と、財務諸表で要求される表示科目は区別してください。
なお、経過勘定をいくら計上するかという期間配分の計算は C14-T07(経過勘定の決算整理) が扱います。ここでは確定した残高の表示だけを扱います。
重要度:A 論点:貸借一致だけでは個別科目の正誤を判断できない
問4(○×)
貸借対照表の資産合計と負債・純資産合計が一致していれば、各科目の分類や表示も正しいと判断してよい。
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正解:×
解説
貸借一致は必要な確認ですが、それだけで個別科目の正しさは保証されません。
たとえば次のような誤りがあっても、合計は一致してしまいます。
| 誤りの例 | 合計への影響 |
|---|---|
| 貸倒引当金を控除表示せず負債の列に並べる | 一致したまま(左右の合計は変わらない) |
| 繰越商品を「商品」へ読み替えず帳簿名のまま書く | 一致したまま(金額は同じ) |
| 総称表示が指定された前払家賃と前払保険料を別々に記載する | 一致したまま(合計額は同じ) |
したがって、確認は次の順で行います。
手順1 科目分類(資産・負債・純資産のどれか) 手順2 表示科目(読み替えが必要か、合算するか) 手順3 金額(控除表示の差引額、繰越利益剰余金の期末残高) 手順4 合計(資産合計 = 負債合計 + 純資産合計)
合計から先に確認すると、表示の誤りを見落とします。 分類・表示・金額を確かめたうえで、最後に合計で全体を点検してください。

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