前提:会計期間は4月1日から翌年3月31日まで、決算日は3月31日とします。商品売買は三分法によります。
試算表そのものの意味(合計試算表・残高試算表・貸借一致による検算)は C13-T01(試算表の基本)、8桁精算表は C15-T01(精算表)、損益振替と繰越試算表は C15-T06(帳簿の締切り) で確認してください。ここでは、決算整理後残高試算表(ATB)がどの時点の表で、何が載っているかに絞ります。
重要度:A 論点:ATB を作成する時点
問1(二択)
決算整理後残高試算表(ATB)を作成する時点として適切なのはどちらか。
A:決算整理仕訳をすべて総勘定元帳へ反映したあとで、収益・費用を損益勘定へ振り替える前 B:収益・費用を損益勘定へ振り替え、帳簿を締め切ったあと
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正解:A
解説
本教材で扱う基本的な決算の流れは次のとおりです。
決算整理前残高試算表 ↓ 決算整理仕訳 → 総勘定元帳へ反映 ↓ ★ATB★ ↓ 損益計算書・貸借対照表の作成 ↓ 損益振替・帳簿締切 ↓ 繰越試算表
ATB は、決算整理を反映し終えた直後の残高一覧です。
B が誤りである理由:帳簿を締め切ったあとの残高一覧は繰越試算表であり、別の段階の資料だからです(C15-T06)。繰越試算表には収益・費用が残りません。
| ATB | 繰越試算表 | |
|---|---|---|
| 時点 | 損益振替の前 | 損益振替と締切のあと |
| 収益・費用 | 残っている | 残っていない |
| 繰越利益剰余金 | 当期純損益を反映する前 | 反映した後 |
重要度:A 論点:ATB には収益・費用が残る(損益振替は後の段階)
問2(○×)
決算整理後残高試算表では、決算整理を終えているため、売上・仕入・支払家賃・減価償却費などの収益・費用勘定はすでに消えている。
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正解:×
解説
収益・費用が消えるのは、損益勘定へ振り替えたときです。それは帳簿締切の処理であり、ATB より後の段階です(C15-T06)。
したがって ATB には、売上・仕入・支払家賃・減価償却費などの収益・費用が残っています。むしろ、それらが残っているからこそ、ATB から損益計算書を作ることができます。
同じ理由で、当期純利益を繰越利益剰余金へ加えるのも ATB の段階では行いません。ATB の繰越利益剰余金は、当期純損益を反映する前の残高です。
| ATB に載っているか | 例 |
|---|---|
| 載っている | 売上・仕入・支払家賃・減価償却費・貸倒引当金繰入・法人税、住民税及び事業税 |
| 載っている(反映前の残高) | 繰越利益剰余金 |
| 載っていない | 当期純利益(収益と費用の差として潜在するだけ) |
この考え方が誤りである理由:「決算整理後」と「帳簿締切後」を同じ段階と考えている点です。2つは別の時点です。
重要度:A 論点:新しく生じる勘定と、修正後のもとの科目が両方載ること
問3(○×)
支払家賃のうち翌期分を前払家賃へ振り替えた場合、決算整理後残高試算表には、前払家賃と、修正後の支払家賃の両方が記載される。
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正解:○
解説
決算整理によって、決算整理前残高試算表には存在しなかった勘定が新しく現れることがあります。前払家賃はその一例です。
このとき、もとの科目の残高も変わります。
| 勘定科目 | ATB での扱い |
|---|---|
| 前払家賃(資産) | 新しく現れる(借方) |
| 支払家賃(費用) | 振り替えた分だけ減った残高が残る(借方) |
前払家賃だけを書いて支払家賃をそのままにしたり、逆に支払家賃だけを直して前払家賃を書き落としたりすると、貸借が一致しません。
決算整理で新しく生じる主な勘定は次のとおりです。
| 決算整理 | 新しく現れる勘定 | 側 |
|---|---|---|
| 減価償却 | 減価償却費 | 借方 |
| 経過勘定(前払・未収) | 前払家賃・未収利息 など | 借方 |
| 経過勘定(未払・前受) | 未払利息・前受地代 など | 貸方 |
| 貸倒引当金の設定 | 貸倒引当金繰入 | 借方 |
なお、経過勘定をいくら計上するかという期間配分の計算は C14-T07(経過勘定の決算整理) が扱います。
重要度:A 論点:ATB は帳簿の勘定科目で記載する(表示科目への読み替えは財務諸表作成時)
問4(二択)
決算整理後残高試算表に記載する科目名として適切なのはどちらか。
A:帳簿の勘定科目のまま記載する。繰越商品は「繰越商品」、仕入は「仕入」と書く B:財務諸表の表示科目へ読み替えて記載する。繰越商品は「商品」、仕入は「売上原価」と書く
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正解:A
解説
ATB は帳簿の勘定残高の一覧です。したがって、記載するのは帳簿の勘定科目です。
表示科目への読み替えが必要になるのは、ATB から財務諸表を作る段階です。
| 帳簿の勘定科目(ATB) | 財務諸表の表示 |
|---|---|
| 繰越商品 | 商品(貸借対照表・C15-T03) |
| 仕入 | 売上原価(損益計算書・C15-T02) |
| 売上 | 売上高(損益計算書・C15-T02) |
| 前払家賃 など | 前払費用(貸借対照表・C15-T03) |
B が誤りである理由:読み替えの時点を1段階早めているためです。ATB は財務諸表ではありません。
同じ理由で、備品と備品減価償却累計額は ATB では別々の勘定として残ります。貸借対照表では、取得原価・減価償却累計額・差引額などを問題所定の様式に従って表示します(C15-T03)。貸倒引当金も ATB では独立した貸方残高として並べます。

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