この単元の標語:入金伝票は借方が現金、出金伝票は貸方が現金。科目欄の科目は、仕訳では反対側に立つ。
① このページで学ぶこと
- 仕訳日計表が何のために作られるのかを説明できる
- 入金伝票・出金伝票の束を1つの仕訳にまとめられるようになる
- 伝票の科目欄が仕訳のどちら側に立つかを判断できる
- 科目ごとの借方・貸方の金額を集計できるようになる
- 合計転記と個別転記の使い分けを説明できる
② 基礎概念
仕訳日計表とは
仕訳日計表は、1日分の伝票を勘定科目ごとに集計した表です。
伝票を1枚ずつ総勘定元帳へ転記すると、取引が多い会社では転記の回数が膨大になります。そこで1日分をまとめてから転記することで、手間と誤りを減らします。
3つの伝票と現金の位置
| 伝票 | 仕訳での現金の位置 | 科目欄の科目が立つ側 |
|---|---|---|
| 入金伝票 | 借方(現金が増える) | 貸方 |
| 出金伝票 | 貸方(現金が減る) | 借方 |
| 振替伝票 | 現金は登場しない | 伝票に書かれたとおり |
入金伝票・出金伝票では、現金の位置が最初から決まっています。 だから伝票には相手科目(科目欄)と金額だけを書きます。
科目欄の科目は、仕訳では現金の反対側に立ちます。 ここが最も間違えやすい点です。
合計転記と個別転記
| 転記の種類 | 転記元 | 転記先 | 摘要欄 |
|---|---|---|---|
| 合計転記 | 仕訳日計表 | 総勘定元帳 | 「仕訳日計表」 |
| 個別転記 | 各伝票 | 売掛金元帳・買掛金元帳(補助元帳) | 取引の内容 |
「幹には合計、枝には個別」と覚えてください。総勘定元帳(幹)へは日計表から合計で、補助元帳(枝)へは伝票から1枚ずつ転記します。
③ 仕組み・理由
なぜ集計してから転記するのか
1日に伝票が50枚起票される会社では、1枚ずつ転記すると総勘定元帳への記入が50回必要です。
仕訳日計表で科目ごとにまとめれば、科目の数だけの転記で済みます。 10科目なら10回です。転記の回数が減れば、書き誤りも減ります。
なぜ借方と貸方を相殺しないのか
仕訳日計表でも総勘定元帳でも、同じ科目の借方と貸方は相殺しません。
現金が借方 ¥105,000・貸方 ¥55,000 なら、差額の ¥50,000 ではなく両方をそのまま記入します。
その日にいくら入り、いくら出たのかという情報が、相殺すると失われるからです(総額で示すのが原則です)。
なぜ補助元帳へは個別に転記するのか
売掛金元帳は得意先ごとに管理する帳簿です(C05-T01)。
仕訳日計表の売掛金の合計額には、複数の得意先の分が混ざっています。合計を転記しても、どの得意先の分か分かりません。
そこで、補助元帳へは伝票を1枚ずつ見て、得意先ごとに転記します。
借方合計と貸方合計は必ず一致する
仕訳日計表は、すべての伝票を仕訳に戻して集計したものです。すべての仕訳は貸借が一致しているため、集計した合計も一致します。
一致しなければ、集計のどこかに誤りがあります。 探し方は⑥で扱います。
④ 基本例
青森商事株式会社の ×1年7月1日に起票された伝票は、次の7枚である。
| 伝票 | No. | 内容 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 入金伝票 | 101 | 科目欄「売掛金(三沢商店)」 | 50,000 |
| 入金伝票 | 102 | 科目欄「売上」 | 20,000 |
| 入金伝票 | 103 | 科目欄「売掛金(むつ商店)」 | 35,000 |
| 出金伝票 | 201 | 科目欄「買掛金(黒石商店)」 | 45,000 |
| 出金伝票 | 202 | 科目欄「仕入」 | 10,000 |
| 振替伝票 | 301 | 仕入 70,000 / 買掛金(黒石商店)70,000 | 70,000 |
| 振替伝票 | 302 | 売掛金(三沢商店)60,000 / 売上 60,000 | 60,000 |
⑤ 作成の手順
ステップ1:入金伝票の束を1つの仕訳にまとめる
入金伝票は借方がつねに現金です。束の合計がそのまま現金の借方になります。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 105,000 | 売掛金 | 85,000 |
| 売上 | 20,000 |
- 現金 = 50,000 + 20,000 + 35,000 = ¥105,000
- 売掛金 = 50,000 + 35,000 = ¥85,000(科目欄なので貸方)
- 売上 = ¥20,000(同上)
ステップ2:出金伝票の束を1つの仕訳にまとめる
出金伝票は貸方がつねに現金です。ステップ1と鏡の関係になります。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 45,000 | 現金 | 55,000 |
| 仕入 | 10,000 |
ステップ3:振替伝票を加えて科目別に集計する
振替伝票は仕訳がそのまま書かれているので、科目別に足していきます。
| 科目 | 借方 | 貸方 | 内訳 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 105,000 | 55,000 | 入金伝票の束/出金伝票の束 |
| 売掛金 | 60,000 | 85,000 | No.302/No.101・103 |
| 買掛金 | 45,000 | 70,000 | No.201/No.301 |
| 仕入 | 80,000 | - | No.202(10,000)+ No.301(70,000) |
| 売上 | - | 80,000 | No.102(20,000)+ No.302(60,000) |
| 合計 | 290,000 | 290,000 | 一致 ✓ |
入金伝票・出金伝票の科目欄からも、仕入・売上に集計が入る点に注意してください。
ステップ4:転記する
| 転記先 | 方法 | 例 |
|---|---|---|
| 総勘定元帳の現金勘定 | 合計転記(摘要欄は「仕訳日計表」) | 借方 105,000/貸方 55,000 |
| 売掛金元帳の三沢商店 | 個別転記(伝票から1枚ずつ) | No.302 の 60,000 と No.101 の 50,000 |
⑥ 間違いやすいポイント3つ
1.入金伝票の科目欄を借方に集計してしまう
入金伝票の科目欄は、仕訳では貸方です。
「現金が増えた(借方)のだから、相手科目は貸方」と考えれば判断できます。出金伝票はその逆です。
束ごとに「現金はどちら側か」を最初に固定すると、取り違えが防げます。
2.借方合計と貸方合計が一致しないまま先へ進む
一致は集計完了のサインです。不一致のまま転記すると、総勘定元帳まで誤りが広がります。
不一致だったときは、差額の性質から誤りの型に当たりをつけると探しやすくなります。ただし、以下は1か所の集計誤りを想定する場合に、まず疑うための目安であり、これで原因が特定できると決まっているわけではありません。誤りが複数ある場合や、金額そのものを書き誤っている場合は当てはまりません。
| 差額の性質 | まず疑う誤り(目安) |
|---|---|
| 差額と同額の伝票がある | 片側の集計漏れ |
| 差額 ÷ 2 と同額の伝票がある | 貸借を逆に集計(差が2倍になる) |
目安で見つからなければ、伝票を1枚ずつ突き合わせて確認します。
3.合計転記と個別転記を混同する
総勘定元帳へは日計表から合計で、補助元帳へは伝票から個別に転記します。
売掛金の貸方合計 ¥85,000 をそのまま三沢商店の勘定へ転記すると、むつ商店の ¥35,000 が混入します。「幹には合計、枝には個別」です。
⑦ 試験での問われ方
当サイトの本試験形式では、主に第2問対策に位置づけています。
第1問対策
伝票の束を1つの仕訳にまとめる形が問われます。
第2問対策
仕訳日計表を完成させ、総勘定元帳・補助元帳への転記まで求める形があります。空欄の金額を集計で埋めるほか、合計の一致を確認させる形もあります。
本試験形式の一連の問題は E-T07「第2問P06 伝票・仕訳日計表」で扱います。
⑧ まとめ
| 伝票 | 現金の位置 | 科目欄が立つ側 |
|---|---|---|
| 入金伝票 | 借方 | 貸方 |
| 出金伝票 | 貸方 | 借方 |
| 振替伝票 | 登場しない | 伝票のとおり |
| 転記 | 転記元 | 転記先 | 摘要欄 |
|---|---|---|---|
| 合計転記 | 仕訳日計表 | 総勘定元帳 | 「仕訳日計表」 |
| 個別転記 | 各伝票 | 補助元帳 | 取引の内容 |
借方合計と貸方合計は一致します。 一致しなければ集計に誤りがあります。
⑨ 関連問題への導線
- 一問一答:C12-T03「伝票の集計と転記」(全9問)
- 仕訳問題:C12-T03「伝票の集計と転記」(全3問・初級1問/標準2問)
- 計算問題:C12-T03「仕訳日計表」(全5問・初級1問/標準2問/応用2問)
- 前のテキスト:C12-T02(一部現金取引の起票)
- 次のテキスト:C12-T04「証ひょう」
- 伝票の起票:C12-T01「3伝票制」
- 本試験形式:E-T07「第2問P06 伝票・仕訳日計表」
⑩ 2級への接続
2級では、本支店会計で本店・支店の取引を集計して振り替える手続きが登場します。
「1枚ずつではなく、まとめてから転記する」という3級で身につける発想が、その土台になります。

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