標語:期末の経過勘定を期首に逆仕訳し、翌期の日常処理へつなげる。
① このページで学ぶこと
このページでは、前期末の経過勘定から翌期首の再振替、期中の支払・受取、次の期末の決算整理までを時間の流れで整理します。
学習目標は次の5つです。
- 再振替仕訳の意味と行う時期を説明できる
- 前期末の経過勘定の仕訳から翌期首の再振替仕訳を作成できる
- 再振替後の期中取引を、問題条件に沿って費用・収益科目で処理できる
- 毎年同じ時期に12か月分を同額で支払う・受け取る基本例で、決算整理前残高が何か月分かを判断できる
- 前期末→翌期首→期中→次の期末という一巡をつなげて考えられる
② 基礎概念
再振替仕訳とは
再振替仕訳とは、前期末に行った経過勘定の決算整理仕訳について、翌期首に借方と貸方を逆にして戻す仕訳です。
たとえば、前期末に翌期分の保険料12,000円を前払いとして、
(借)前払保険料 12,000 / (貸)保険料 12,000
と処理したなら、翌期首は、
(借)保険料 12,000 / (貸)前払保険料 12,000
とします。
前期の決算整理が誤っていたから取り消すのではありません。前期の損益計算に必要だった期間配分を終えた後、翌期の日常処理へつなげるための処理です。
本単元で扱う4つの経過勘定
| 前期末の調整 | 前期末の代表仕訳 | 翌期首の再振替 |
|---|---|---|
| 費用の前払い | 前払○○/費用 | 費用/前払○○ |
| 費用の未払い | 費用/未払○○ | 未払○○/費用 |
| 収益の未収 | 未収○○/収益 | 収益/未収○○ |
| 収益の前受け | 収益/前受○○ | 前受○○/収益 |
ここで使う「前払○○」「未払○○」「未収○○」「前受○○」は考え方を示す表現です。仕訳では、前払保険料・未払利息・未収利息・前受家賃など、取引に対応する具体的な勘定科目を使います。
決算整理なら何でも再振替するわけではない
本単元で扱う再振替は、経過勘定の期間配分と翌期の日常処理をつなぐものです。減価償却など、別の目的で行う決算整理仕訳まで同じ操作で戻すとは考えません。
③ 仕組み・理由
期末→期首→期中を一つにつなげる
未払利息を例にします。
前期末に未払利息8,000円を計上したとします。
前期末
(借)支払利息 8,000 / (貸)未払利息 8,000
翌期首には反対仕訳をします。
翌期首
(借)未払利息 8,000 / (貸)支払利息 8,000
その後、利払日に前期分と当期分を含む1年分24,000円を支払ったとします。本教材のこの基本例では、再振替を行った後、支払額を支払利息として処理します。
期中の支払
(借)支払利息 24,000 / (貸)普通預金 24,000
すると、支払利息勘定では、期首の貸方8,000円と期中の借方24,000円が組み合わさり、差額16,000円が当期分として残ります。
24,000 − 8,000 = 16,000円
このように、再振替は前期分を翌期の費用・収益から差し引く位置に置き、期中の通常処理へつなぐ役割を持ちます。
取引時点を混同しない
- 前期末:前期の損益を正しくするために期間配分する
- 翌期首:その経過勘定を反対仕訳で戻す
- 期中:実際の支払・受取を記録する
- 次の期末:次期分・未経過分などをあらためて決算整理する
同じ費用・収益が登場しても、時点ごとの目的は異なります。
④ 基本例
例1 前払保険料の再振替
前期末に前払保険料12,000円を計上している。
前期末
(借)前払保険料 12,000 / (貸)保険料 12,000
翌期首
(借)保険料 12,000 / (貸)前払保険料 12,000
例2 未払利息の再振替
前期末に未払利息15,000円を計上している。
前期末
(借)支払利息 15,000 / (貸)未払利息 15,000
翌期首
(借)未払利息 15,000 / (貸)支払利息 15,000
例3 未収利息の再振替
前期末に未収利息10,000円を計上している。
前期末
(借)未収利息 10,000 / (貸)受取利息 10,000
翌期首
(借)受取利息 10,000 / (貸)未収利息 10,000
例4 前受家賃の再振替
前期末に前受家賃48,000円を計上している。
前期末
(借)受取家賃 48,000 / (貸)前受家賃 48,000
翌期首
(借)前受家賃 48,000 / (貸)受取家賃 48,000
⑤ 仕訳例
ここでは、毎年同じ時期に12か月分を同額で支払う基本例を、7つの手順で考えます。
決算日は3月31日。保険料は毎年8月1日に向こう12か月分を同額で支払っており、他の保険料取引はない。前期末の前払分は翌期首に再振替している。当期の決算整理前残高試算表の保険料残高は64,000円である。
手順1 支払日と決算日を確認する
8月1日に12か月分を支払うので、その支払いは8月から翌年7月までを対象とします。
手順2 前期末に前払いとなった月数を確認する
前期末3月31日時点で、翌期分は4月~7月の4か月です。
手順3 期首の再振替分を確認する
前期末に前払いとした4か月分は、翌期首の再振替によって保険料勘定へ戻っています。
手順4 決算整理前残高が何か月分かを組み立てる
この設定では、保険料勘定には、
- 期首に戻った4か月分
- 当期8月1日に支払った12か月分
が含まれます。
4 + 12 = 16か月分
手順5 1か月分を求める
64,000 ÷ 16 = 4,000円
手順6 当期末の前払分を求める
翌期4月~7月の4か月分です。
4,000 × 4 = 16,000円
手順7 決算整理仕訳を作る
(借)前払保険料 16,000 / (貸)保険料 16,000
整理後の保険料残高は、
64,000 − 16,000 = 48,000円
となり、12か月分の48,000円と一致します。
注意:ここで使った「期首に再振替された月数+12」という組み立ては、毎年同じ時期に向こう12か月分を同額で支払い、期首に再振替を行うという本例の条件に基づくものです。支払期間や処理方法などの条件が変われば、問題文から残高の中身を組み立て直します。
⑥ 間違いやすいポイント3つ
1.前期末と同じ向きで仕訳する
再振替は、前期末の経過勘定の決算整理仕訳を反対向きにします。前期末の仕訳をそのまま書き写さないようにします。
2.決算整理前残高を機械的に12か月分とみなす
毎年同額の基本例では、期首の再振替分が費用・収益勘定に残っていることがあります。残高が何か月分かを先に確認してから1か月分を求めます。
3.経過勘定以外の決算整理や前払金・前受金まで同じ扱いにする
再振替の対象かどうかは、取引の性質を確認して判断します。また、商品売買の手付金・内金に使う前払金・前受金と、前払家賃・前払保険料・前受家賃などの期間配分は区別します。
⑦ 問題形式ごとの考え方
第1問
再振替仕訳では、まず前期末の決算整理仕訳を確認し、借方と貸方を逆にします。再振替時点で実際の現金・預金の受払いがないなら、現金や普通預金を追加しません。
第2問
勘定記入や時系列の資料が出た場合は、前期末・翌期首・期中・当期末を分けて整理します。特に、再振替が費用・収益勘定の残高にどう影響したかを追うことが大切です。
第3問
毎年同じ時期に同額を支払う・受け取る設定では、決算整理前残高が何か月分を表しているかを先に判断します。その後、1か月分→翌期分の月数→決算整理仕訳の順で組み立てます。
⑧ まとめ
| 論点 | 判断・処理 |
|---|---|
| 再振替の時期 | 翌期首 |
| 基本操作 | 前期末の経過勘定の決算整理仕訳を反対仕訳にする |
| 前払いの再振替 | 費用/前払○○ |
| 未払いの再振替 | 未払○○/費用 |
| 未収の再振替 | 収益/未収○○ |
| 前受けの再振替 | 前受○○/収益 |
| 再振替後の期中処理 | 問題条件に沿って通常の費用・収益科目で処理する |
| 毎年同額・12か月分の基本例 | 期首再振替分と当期の12か月分を分けて残高の月数を組み立てる |
| 時系列 | 前期末→翌期首→期中→次の期末 |
再振替仕訳は、前期末の処理を単独で暗記するより、翌期の通常処理と次の決算整理まで続く流れとして捉えると理解しやすくなります。
⑨ 関連問題への導線
この単元では、次の問題を用意しています。
- 一問一答:10問 ― 再振替の意味・時期・対象・一巡・毎年同額型の月数判断
- 仕訳問題:8問 ― 4種類の再振替、再振替後の期中処理、毎年同額型の決算整理
学習の流れ:
- 前のテキスト:C09-T05「費用の未払いと収益の未収(見越し)」
- 次の学習:C09-CH「その他収益費用・経過勘定 章末総合問題」
まず一問一答で考え方を確認し、その後に仕訳問題で時系列と金額計算をつなげます。
⑩ 2級への接続
2級以降では、決算整理や月次・期首処理を複数の勘定と組み合わせて追う場面が増えます。
3級で、
- 前期末の期間配分
- 翌期首の再振替
- 期中の通常処理
- 次の期末の再調整
を時系列で整理できるようにしておくと、複数期間にまたがる処理を学ぶ際の土台になります。

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