定率法、主役は「帳簿価額」です

【2027年度(2027年4月~)受験の方】

定率法は、2027年4月1日以降の試験で出題範囲となる論点です。 しっかり学習してください。

【2026年度(~2027年3月)受験の方】

この単元は出題範囲外です。 C07-T03 の定額法を確実にしてください。


この単元の標語:定額法は取得原価に、定率法は期首の帳簿価額に率を掛ける。各年度を通じて保有していれば、土台が減るぶん年額も減っていく。


① このページで学ぶこと

  • 定率法が定額法と何が違うのかを説明できる
  • 帳簿価額に償却率を掛ける計算ができるようになる
  • 各年度を通じて保有する場合に、年額が減っていく理由を説明できる
  • 期中に取得した資産の月割計算ができるようになる
  • 定額法と定率法が混在する資料から、指定された方法で計算できる

② 基礎概念

定率法とは

定率法は、期首の帳簿価額に一定の償却率を掛けて減価償却費を計算する方法です。

減価償却費 = 期首帳簿価額 × 償却率

期首帳簿価額 = 取得原価 − 期首の減価償却累計額

償却率は問題文で与えられる

3級では、償却率を自分で計算することはありません。 問題文に「償却率 30%」のように示されます。

2級で学ぶ200%定率法の保証率・改定償却率も、3級では扱いません。

定額法との違い

定額法(C07-T03) 定率法(本単元)
計算の土台 取得原価(固定) 期首帳簿価額(毎年変わる)
使う材料 取得原価・耐用年数・残存価額 取得原価・期首累計額・償却率
償却費の推移(通年保有の場合) 毎年同じ 年々減っていく
仕訳の型 (借)減価償却費/(貸)〇〇減価償却累計額 まったく同じ

仕訳の型は定額法と同じです。変わるのは金額の計算だけです。


③ 仕組み・理由

なぜ年額が減っていくのか

定率法では、掛け算の土台となる期首帳簿価額が毎年小さくなるからです。

取得原価 ¥600,000・償却率 30% の備品で見てみます。

年度 期首帳簿価額 計算 減価償却費 期末累計額
1年目 600,000 600,000 × 30% 180,000 180,000
2年目 420,000 420,000 × 30% 126,000 306,000
3年目 294,000 294,000 × 30% 88,200 394,200

率は同じ30%でも、土台が減るので年額が減ります。

この「年々減っていく」という性質は、各年度を通じて保有・使用する場合の話です。取得年度を月割した場合は、翌年度の1年分が取得年度より大きくなることもあります(⑥-3 参照)。

通年で保有している年度どうしを比べて毎年同じ金額が出たら、取得原価に掛け続けている可能性があります。 基本的な確認方法として使ってください。

定率法でも間接法

定率法でも、記帳は間接法です。資産(備品など)を直接減らさず、減価償却累計額という評価勘定に積み上げます。

仕訳の型は定額法とまったく同じなので、新しく覚えることはありません。

期中取得の月割

期中に取得した資産は、当期に使った月数の分だけ計上します。

月割額 = その年度の年額 × 対象月数 ÷ 12

年額を出してから月割するという順序も定額法と同じです。土台となる「年額」が年度によって違う点に注意してください。

年度 年額の計算
取得年度 取得原価 × 償却率(期首にはまだ資産がないため、取得原価が土台になります)
2年目以降 期首帳簿価額(取得原価 − 期首累計額)× 償却率

したがって取得年度は次のようになります。

取得年度の減価償却費 = 取得原価 × 償却率 × 使用月数 ÷ 12

取得後そのまま保有・使用する場合、取得年度は使用月数で月割し、翌年度を1年間保有するなら1年分を計上します。 取得年度の月割額を毎年繰り返すわけではありません。

判断の基準は「当期に何か月使ったか」です。売却・除却などがある年度も、この基準で考えます(C07-T05・T06)。


④ 基本例

青森商事株式会社(決算日3月31日)は、当期首に備品(取得原価 ¥600,000)を取得し、定率法(償却率 30%)により減価償却を行っている。


⑤ 仕訳例:思考の手順つき

場面1:初年度(1年目の決算)

  1. 取引を読む:当期首に取得したので、期首帳簿価額 = 取得原価。
  2. 金額を計算する:600,000 × 30% = ¥180,000
  3. 勘定科目を決める:費用 → 減価償却費/評価勘定 → 備品減価償却累計額
  4. 5要素と増減を確認する:減価償却費(費用)の発生/備品減価償却累計額の増加
  5. 借方・貸方を決める:費用の発生は借方、評価勘定の増加は貸方
  6. 貸借一致を確認する:借方 180,000 = 貸方 180,000
借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却費 180,000 備品減価償却累計額 180,000

場面2:2年目の決算

  1. 期首帳簿価額を出す:600,000 − 180,000 = ¥420,000
  2. 金額を計算する:420,000 × 30% = ¥126,000
借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却費 126,000 備品減価償却累計額 126,000

仕訳の型は場面1と同じです。変わったのは金額だけ——その金額を出す土台が、取得原価から帳簿価額に変わっています。


⑥ 間違いやすいポイント3つ

1.取得原価に償却率を掛け続けてしまう

この論点で最も多い誤りです。

2年目に 600,000 × 30% = ¥180,000 としてしまうと、初年度と同じ金額になります。

まず「期首帳簿価額はいくらか」を出してから、率を掛けてください。

2.耐用年数・残存価額を使ってしまう

1年間保有する基本計算で定率法が使う材料は、取得原価・期首累計額・償却率の3つです。月割する場合は、これに使用月数が加わります。

問題文に耐用年数や残存価額が書かれていても、定率法の計算には使いません。 資料に材料が多く並んでいるときほど、方法の指定に合うものだけを拾ってください。

3.取得年度の月割額を翌年度も繰り返してしまう

月割の判断基準は「当期に何か月使ったか」です。

取得後そのまま保有・使用する場合、取得年度は使用月数で月割し、翌年度を1年間保有するなら1年分を計上します。 取得年度の月割額をそのまま毎年繰り返すわけではありません。

このため、取得年度を月割した資産では、翌年度の1年分が取得年度より大きくなることがあります。 「定率法だから毎年減る」と機械的に考えないでください。


⑦ 試験での問われ方

当サイトの本試験形式では、第1問対策(仕訳問題)第3問対策(決算総合問題)に位置づけています。

第1問対策

決算整理仕訳として、定率法による減価償却が問われます。2年目以降の計算が中心です。

第3問対策

定額法と定率法が混在する資料から、それぞれ指定された方法で計算する形があります。

なお、定率法は2027年度から3級の出題範囲に加わった論点です。


⑧ まとめ

場面 借方 貸方 金額の計算
初年度 減価償却費 〇〇減価償却累計額 取得原価 × 償却率
2年目以降 減価償却費 〇〇減価償却累計額 (取得原価 − 期首累計額)× 償却率
期中取得(初年度) 減価償却費 〇〇減価償却累計額 取得原価 × 償却率 × 使用月数 ÷ 12

定額法は取得原価に、定率法は期首の帳簿価額に率を掛けます。


⑨ 関連問題への導線

  • 一問一答:C07-T04「減価償却の定率法」(全9問)
  • 仕訳問題:C07-T04「減価償却の定率法」(全7問・初級1問/標準4問/応用2問)
  • 計算問題:C07-T04「減価償却の定率法」(全5問・初級2問/標準2問/応用1問)
  • 前のテキスト:C07-T03「減価償却の基本(定額法)」
  • 次のテキスト:C07-T05「固定資産の売却」
  • 決算整理:C14-T04「減価償却の決算整理」

⑩ 2級への接続

2級では、200%定率法生産高比例法が加わります。

200%定率法では、通常の方法で計算した償却額を保証額と比較し、保証額に満たなくなった年度以後は、改定取得価額に改定償却率を掛けて計算する処理へ進みます。計算方法の詳細は2級で学びます。

3級で身につける「土台が毎年変わる」という定率法の考え方が、その理解の出発点になります。


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