問1
北都産業株式会社は工場会計を独立させている。次の資料にもとづき、当月末における工場元帳の本社勘定と本社元帳の工場勘定について、借方合計・貸方合計・残高を求めなさい。金額の単位は円とする。
必要資料
- 勘定の配置
- 工場元帳:現金、買掛金、材料、仕掛品、本社
- 本社元帳:現金、製品、広告宣伝費、工場
- 当月首において、本社勘定および工場勘定に残高はない(いずれも0円)。
- 当月中の本社・工場間の取引
- ① 本社が、工場の買掛金600,000円を現金で支払った。
- ② 本社が、工場へ現金150,000円を送付し、工場がこれを受け取った。
- ③ 工場が、完成した製品500,000円を本社へ引き渡した。
- ④ 工場が、本社の負担する広告宣伝費50,000円を工場の現金で立替払いした。
集計式
- 本社勘定(工場元帳)の残高=本社勘定の借方合計-本社勘定の貸方合計
- 工場勘定(本社元帳)の残高=工場勘定の借方合計-工場勘定の貸方合計
- 内部振替は、工場側と本社側で同額・貸借反対に記入する。
解答を見る
計算過程
取引ごとに、照合勘定への記入位置を判定する。
| 取引 | 工場元帳「本社」 | 本社元帳「工場」 |
|---|---|---|
| ① 買掛金の支払 | 貸方 600,000 | 借方 600,000 |
| ② 現金の送付 | 貸方 150,000 | 借方 150,000 |
| ③ 完成品の引渡 | 借方 500,000 | 貸方 500,000 |
| ④ 費用の立替払 | 借方 50,000 | 貸方 50,000 |
- 本社勘定(工場元帳):借方=500,000+50,000=550,000。貸方=600,000+150,000=750,000。残高=550,000-750,000=△200,000、すなわち貸方残高200,000。
- 工場勘定(本社元帳):借方=600,000+150,000=750,000。貸方=500,000+50,000=550,000。残高=750,000-550,000=借方残高200,000。
正答
| 勘定 | 借方合計 | 貸方合計 | 残高 |
|---|---|---|---|
| 本社(工場元帳) | 550,000 | 750,000 | 貸方残高 200,000 |
| 工場(本社元帳) | 750,000 | 550,000 | 借方残高 200,000 |
解説
①と②は、本社が工場のために支出した取引である。工場側では債務の減少や現金の増加が生じ、その相手勘定として本社勘定を貸方に記入する。③と④は、工場が本社のために提供・支出した取引であり、工場側では本社勘定を借方に記入する。本社側の工場勘定は、これと貸借を反対にして記入する。
Validation(検算)
本社勘定の残高(貸方200,000)と工場勘定の残高(借方200,000)は、同額で貸借が反対になっている。また取引単位でも、①600,000、②150,000、③500,000、④50,000が、それぞれ工場側と本社側で同額・貸借反対に記入されている。
検証限界
この検算が示すのは、記入された内部振替が同額・貸借反対に記帳されていることである。勘定の配置、取引の分類、元になった資料の金額の正しさまでは、残高の一致からは確かめられない。両側が同じ誤った金額で記帳された場合にも、残高は一致する。
問2
北都産業株式会社は工場会計を独立させている。次の資料にもとづき、(1)当期末における工場元帳の本社勘定の借方合計・貸方合計・残高、(2)本社元帳で記帳が漏れている取引の仕訳、(3)その記帳後における本社元帳の工場勘定の残高を求めなさい。金額の単位は円とする。
必要資料
- 勘定の配置
- 工場元帳:現金、買掛金、材料、仕掛品、本社
- 本社元帳:現金、製品、広告宣伝費、工場
- 工場元帳の本社勘定は、当期首において貸方残高120,000円である。
- 当期中の本社・工場間の取引
- ① 工場が、完成した製品900,000円を本社へ引き渡した。
- ② 本社が、工場の買掛金450,000円を現金で支払った。
- ③ 本社が、工場へ現金250,000円を送付し、工場がこれを受け取った。
- ④ 工場が、本社の負担する広告宣伝費30,000円を工場の現金で立替払いした。
- 工場元帳には①から④のすべてが記帳されている。本社元帳には④以外が記帳されており、④の記帳が行われていない。
集計式
- 本社勘定(工場元帳)の貸方合計=当期首貸方残高+当期の貸方記入額
- 本社勘定の残高=借方合計-貸方合計
- 記帳漏れの補正後:工場勘定(本社元帳)の残高=本社勘定の残高と同額・貸借反対
解答を見る
計算過程
(1) 工場元帳の本社勘定
| 取引 | 記入位置 | 金額 |
|---|---|---|
| 当期首残高 | 貸方 | 120,000 |
| ① 完成品の引渡 | 借方 | 900,000 |
| ② 買掛金の支払 | 貸方 | 450,000 |
| ③ 現金の送付 | 貸方 | 250,000 |
| ④ 費用の立替払 | 借方 | 30,000 |
- 借方合計=900,000+30,000=930,000
- 貸方合計=120,000+450,000+250,000=820,000
- 残高=930,000-820,000=借方残高110,000
(2) 本社元帳の記帳漏れ
④は、工場が本社の負担する広告宣伝費を立替払いした取引である。広告宣伝費勘定は本社元帳にあるため、本社側では費用の発生を借方に記入し、相手勘定を工場勘定とする。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 30,000 | 工場 | 30,000 |
(3) 記帳後の工場勘定(本社元帳)
| 取引 | 記入位置 | 金額 |
|---|---|---|
| 当期首残高 | 借方 | 120,000 |
| ① 完成品の引渡 | 貸方 | 900,000 |
| ② 買掛金の支払 | 借方 | 450,000 |
| ③ 現金の送付 | 借方 | 250,000 |
| ④ 費用の立替払(補正) | 貸方 | 30,000 |
- 借方合計=120,000+450,000+250,000=820,000
- 貸方合計=900,000+30,000=930,000
- 残高=930,000-820,000=貸方残高110,000
正答
| 項目 | 解答 |
|---|---|
| (1) 本社勘定(工場元帳) | 借方合計930,000/貸方合計820,000/借方残高110,000 |
| (2) 記帳漏れの仕訳 | (借)広告宣伝費 30,000 /(貸)工場 30,000 |
| (3) 記帳後の工場勘定(本社元帳) | 貸方残高110,000 |
解説
当期首の貸方残高120,000円は、本社勘定の貸方に前期からの繰越として置かれている。集計にあたっては、この繰越額を貸方合計に含める。当期の記入は、工場が本社のために提供・支出した①④が借方、本社が工場のために支出した②③が貸方となる。当期は借方の記入額が貸方を上回るため、期首の貸方残高から転じて借方残高となる。本社元帳の工場勘定は、これと貸借を反対にした記入となるため、期首は借方残高120,000円から始まり、④を補正した後は貸方残高110,000円となる。
Validation(検算)
補正後の本社勘定の残高(借方110,000)と工場勘定の残高(貸方110,000)は、同額で貸借が反対になっている。取引単位でも、①900,000、②450,000、③250,000、④30,000が、それぞれ工場側と本社側で同額・貸借反対に記入されている。期首残高についても、工場側の貸方120,000と本社側の借方120,000が対応している。
検証限界
残高の一致が示すのは、記入された内部振替の対応である。勘定の配置、取引の分類、元になった資料の金額までは、この検算から確かめられない。また、両側で同時に同じ記帳漏れが生じていた場合には、残高は一致したままとなり、この検算では検出できない。本問で記帳漏れを発見できたのは、片側だけが未記帳であったためである。
判断根拠
④は費用の負担者が本社であり、支払手段が工場の現金である。費用の勘定と現金の勘定が別の元帳にあるため、照合勘定を用いる取引にあたる。したがって工場側・本社側の双方に記帳が生じ、本社側の記帳が欠けている状態は補正の対象となる。
検証
補正前の工場勘定の残高を求めると、借方820,000-貸方900,000=貸方残高80,000となり、本社勘定の借方残高110,000と貸借反対で同額にならない。差額30,000円は、未記帳である④の金額と一致する。この差額の内容を特定したうえで補正する。
想定される誤り
- 期首の貸方残高120,000円を貸方合計に含めず、当期の記入だけで残高を求めてしまう。
- 記帳漏れの補正を、工場側で行ってしまう。工場元帳には①から④が記帳済みであり、補正が必要なのは本社元帳である。
- 補正仕訳の貸借を逆にし、「工場30,000/広告宣伝費30,000」としてしまう。本社が負担する費用の発生は借方に記入する。
- 差額30,000円を、金額の誤記入によるものと判断してしまう。差額の内容は、未記帳の取引の有無まで確かめて特定する。