社会保険労務士 労働基準法 択一式(初級) 第16問〜第18問|労働契約

重要度:A 論点:前借金相殺の禁止

問16:労基法17条(前借金相殺の禁止)に関する記述として、正しいものはどれか。

  • A:使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない
  • B:使用者は、労働者の福利厚生のための貸付金であっても、賃金から控除することは一切できない
  • C:労使協定を締結すれば、使用者は、労働することを条件とする前借金の債権を賃金と相殺することができる
【第16問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:正しい(労基法17条)。【試験対策】17条が禁じるのは、使用者が「労働することを条件とする」前貸債権を賃金と相殺し、労働者の退職の自由を拘束すること。労働者の便宜のための福利厚生的貸付けで、身分的拘束を伴わないものは17条に抵触しないが、賃金からの控除については24条の全額払原則を別途検討する。
・B:誤り。労働者の便宜のための福利厚生的な貸付けで、返済前でも退職の自由が制約されないなど身分的拘束を伴わないものは、17条に抵触しない。賃金から控除する場合は、24条1項ただし書の書面による労使協定等が別途問題となる。
・C:誤り。労使協定を締結しても、労働することを条件とする前借金の債権を使用者が賃金と相殺することは、17条により禁止される。


重要度:B 論点:労働条件の明示

問17:有期労働契約に関する労働条件の明示について、正しいものはどれか。

  • A:更新上限の明示は、有期労働契約を初めて締結するときにのみ必要である
  • B:有期労働契約の締結及び更新のたびに、更新上限の有無と内容を明示しなければならない
  • C:無期転換申込機会の明示は、有期労働契約を初めて締結するときに行えば足りる
【第17問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:誤り。締結時だけでなく、更新のたびに明示が必要である。
・B:正しい(労基則5条1項1号の2)。【試験対策】有期労働契約の締結及び更新のたびに、更新上限の有無と内容を明示する。更新上限を新設し、又は短縮しようとする場合には、あらかじめその理由を労働者に説明しなければならない。令和6年4月改正の有期契約関係は「更新上限の明示」「無期転換申込機会の明示」「無期転換後の労働条件の明示」を区別する。
・C:誤り。無期転換申込機会は、その契約期間内に無期転換申込権を行使できることとなる有期労働契約を締結する時に明示しなければならない(労基則5条5項・6項)。


重要度:B 論点:解雇制限

問18:解雇制限の適用に関する記述として、正しいものはどれか。

  • A:通勤災害により療養のため休業する期間及びその後30日間も、解雇制限が及ぶ
  • B:療養開始後3年を経過しても治らない場合、使用者は当然に解雇することができる
  • C:業務上の負傷により療養している場合であっても、休業していないときは解雇制限は及ばない
【第18問:正解と解説】

正解:C
【解説】
・A:誤り。19条の解雇制限は業務上の負傷・疾病に限られ、通勤災害には及ばない。
・B:誤り。療養開始後3年を経過しただけでは足りない。使用者が打切補償を支払うか、療養開始後3年を経過した日に傷病補償年金を受けている場合はその日に、同日後に受給することとなった場合はその受給開始日に、打切補償を支払ったものとみなされることが必要である。
・C:正しい。19条の解雇制限は「療養のため休業する期間」に及ぶものであり、療養しながら就労している場合には及ばない。【試験対策】19条の要件は「業務上」かつ「療養のため休業」の2つ。どちらか一方でも欠ければ解雇制限は及ばない。なお、通勤災害による療養のための休業には解雇制限が及ばない点も、労災保険法との横断で頻出。


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