共通前提
- 会計期間は×2年4月1日から×3年3月31日までである。決算日は×3年3月31日。
- 当期の法人税等の年税額は問題文で与えられたものを用いる(税率などから税額そのものを計算することはしない)。
共通語群(各問、この中から勘定科目を選ぶこと)
法人税、住民税及び事業税 / 仮払法人税等 / 未払法人税等 / 租税公課 / 未払消費税 / 普通預金
中間納付をしたときの仕訳、決算後に未払法人税等を納付する仕訳は、C08-T04(法人税、住民税及び事業税) で扱っています。ここでは、決算整理前残高試算表を読んで決算整理を行う場面だけを扱います。
重要度:A 難易度:標準 論点:決算整理前残高試算表から仮払法人税等を読み取り、費用の全額計上と未払額の算定を行う
問1(標準)
×3年3月31日 決算にあたり、次の資料にもとづいて法人税等の決算整理仕訳を行いなさい。
資料1 決算整理前残高試算表(一部)
| 勘定科目 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 仮払法人税等 | 161,000 |
資料2 決算整理事項
当期の法人税、住民税及び事業税の年税額は ¥430,000 と確定した。なお、決算整理前残高試算表の仮払法人税等は、当期の中間納付額である。当期分の法人税、住民税及び事業税と未払法人税等は決算整理前には未計上であり、上記以外に法人税等に関する修正事項はない。
解答を見る
正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税 | 430,000 | 仮払法人税等 | 161,000 |
| 未払法人税等 | 269,000 | ||
| 合計 | 430,000 | 合計 | 430,000 |
検算:借方 430,000 = 貸方 161,000 + 269,000 = 430,000 ✓
解説
手順1 資料から2つの金額を読み取る
| 読み取るもの | 資料 | 金額 |
|---|---|---|
| 当期の年税額 | 資料2(決算整理事項) | 430,000 |
| 中間納付済みの金額 | 資料1(決算整理前残高試算表の仮払法人税等) | 161,000 |
本問では、当期分について決算整理前に計上されている法人税等関連の残高は、資料1の仮払法人税等です。当期の費用と未払額は、今回の決算整理で計上する前提です。
手順2 年税額の全額を費用にする
(借)法人税、住民税及び事業税 430,000
未払額の 269,000 ではなく、年税額の全額 430,000 が当期の費用です。中間納付をしたときは、その金額を仮払法人税等という資産として記録しており、費用にはしていません。
手順3 仮払法人税等を取り崩す
(貸)仮払法人税等 161,000
中間納付のときに借方で計上しているので、決算では貸方で取り崩します。
手順4 差額を未払法人税等にする
未払法人税等 = 年税額 − 仮払法人税等 = 430,000 − 161,000 = 269,000
(貸)未払法人税等 269,000
検算:`161,000 + 269,000 = 430,000` ✓
誤りとなる考え方
- 差額の 269,000 を費用にする:中間納付分は費用になっていないため、年税額の全額が当期の費用です。
- 年税額の全額 430,000 を未払法人税等にする:すでに納めた 161,000 まで債務に含めることになり、二重に計上してしまいます。
- 仮払法人税等を借方に置く:中間納付時にすでに借方で計上済みです。決算では貸方で取り崩します。
- 法人税等に租税公課を使う:租税公課は固定資産税・印紙税・自動車税などに使う科目です(C08-T03)。
- 未払法人税等を未払消費税とする:対象の税金が違います(C08-T05・C14-T06)。
- 使用科目:法人税、住民税及び事業税/仮払法人税等/未払法人税等
重要度:A 難易度:初級 論点:中間納付がない場合の決算整理(仮払法人税等を使わない)
問2(初級)
×3年3月31日 決算にあたり、次の資料にもとづいて法人税等の決算整理仕訳を行いなさい。
資料1 決算整理前残高試算表(一部)
| 勘定科目 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| (仮払法人税等の計上はない) |
資料2 決算整理事項
当期の法人税、住民税及び事業税の年税額は ¥260,000 と確定した。なお、当期は中間納付を行っていない。当期分の法人税、住民税及び事業税と未払法人税等は決算整理前には未計上である。
解答を見る
正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税 | 260,000 | 未払法人税等 | 260,000 |
| 合計 | 260,000 | 合計 | 260,000 |
検算:借方 260,000 = 貸方 260,000 ✓
解説
中間納付を行っていないので、仮払法人税等の残高は存在しません。決算整理前残高試算表にも計上がありません。
取り崩すべき残高がないため、この仕訳に仮払法人税等は登場しません。
| 金額 | 理由 | |
|---|---|---|
| 当期の費用 | 260,000 | 年税額の全額 |
| 仮払法人税等の取崩し | なし | 残高が存在しない |
| 未払法人税等 | 260,000 | `260,000 − 0 = 260,000` |
年税額の全額がそのまま未納額になるため、借方の費用と貸方の負債が同額になります。
問1との違い
| 問1 | 問2 | |
|---|---|---|
| 仮払法人税等の残高 | あり(161,000) | なし |
| 貸方の科目 | 仮払法人税等 + 未払法人税等 | 未払法人税等のみ |
| 未払額 | 年税額 − 仮払法人税等 | 年税額の全額 |
| 当期の費用 | 年税額の全額 | 年税額の全額 |
当期の費用が年税額の全額である点は、中間納付の有無にかかわらず同じです。変わるのは、貸方が2つに分かれるかどうかだけです。
誤りとなる考え方
- 決算整理だからと仮払法人税等を貸方に置く:計上されていない資産を減らすことになります。本問では「中間納付を行っていない」と明示されているため、仮払法人税等を取り崩す処理はありません。
- 未払法人税等を借方に置く:負債の増加は貸方です。
- 使用科目:法人税、住民税及び事業税/未払法人税等

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