FP技能士3級 不動産 不動産の取引

この単元で身につけること

このUnitでは、不動産取引を「宅地建物取引業者との取引」「売買契約」「借地」「借家」の4つに分けて整理します。

学習後には、契約成立前の重要事項説明、一般・専任・専属専任媒介契約の基本、宅建業者が自ら売主となる場合の手付、解約手付、契約不適合責任、普通借地権と3種類の定期借地権、普通建物賃貸借と定期建物賃貸借を判断できることを目標とします。

本Unitでは宅建業法の免許制度・罰則、民法上の細かな追完請求や高度な判例論点までは広げません。FP3級で必要な「期間・方式・誰が何をするか」を中心に扱います。

全体像

不動産取引では、似た名称の制度を「誰が」「いつ」「どの期間で」「どの方式により」行うのかで区別することが重要です。

宅地建物取引業者が関与する一定の取引では、契約成立前に宅地建物取引士が重要事項説明を行います。媒介契約には一般媒介、専任媒介、専属専任媒介があり、依頼できる業者数や指定流通機構への登録期限、依頼者への報告頻度などに違いがあります。

売買契約では、宅建業者が自ら売主となり買主が宅建業者でない場合の手付額上限や、解約手付による解除の基本を押さえます。

借地借家法では、普通借地権、一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権、普通建物賃貸借、定期建物賃貸借を区別します。数字だけでなく、契約目的や方式とセットで整理します。

用語の説明

  • 重要事項説明:一定の不動産取引で、契約成立前に宅地建物取引士が重要事項を説明する仕組み。
  • 一般媒介契約:複数の宅地建物取引業者へ重ねて依頼できる媒介契約。
  • 専任媒介契約:有効期間、指定流通機構への登録、依頼者への報告に一定のルールがある媒介契約。
  • 専属専任媒介契約:専任媒介より登録期限・報告頻度が短い媒介契約。
  • 解約手付:相手方が契約の履行に着手するまで、買主は手付放棄、売主は手付倍額の現実の提供により解除できるのが基本。
  • 契約不適合責任:引き渡された目的物が種類・品質・数量等で契約内容に適合しない場合に売主が一定の責任を負う制度。
  • 普通借地権:更新を前提とする借地権の基本類型。
  • 定期借地権:更新を予定しない一定の借地権。
  • 普通建物賃貸借:借地借家法上の更新等の規律が適用される通常の建物賃貸借。
  • 定期建物賃貸借:契約の更新がなく、期間満了で終了することをあらかじめ明確にする建物賃貸借。

基本ルール

重要事項説明

宅地建物取引業者は、一定の取引において契約成立前に重要事項説明を行います。説明を行う者は宅地建物取引士です。

「契約を締結した後に説明すればよい」「宅地建物取引業者の従業者なら資格に関係なく説明できる」と整理しないようにします。

媒介契約

一般媒介契約は、複数の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができます。

専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間は、ともに3か月以内が基本です。

専任媒介契約では、指定流通機構への登録は7日以内、依頼者への業務処理状況の報告は14日に1回以上が基本です。

専属専任媒介契約では、指定流通機構への登録は5日以内、依頼者への報告は7日に1回以上が基本です。

登録期限の具体的な日数計算では、締結日の翌日からの起算や休業日の扱い等が関係します。本Unitでは「専任7日・14日」「専属専任5日・7日」という固定Ruleの比較を中心にし、複雑な日付計算は扱いません。

宅建業者が売主の場合の手付

宅地建物取引業者が自ら売主となり、買主が宅地建物取引業者でない場合、手付額の上限は代金の20%が基本です。

また、一定の手付金等については保全措置が必要となる場合があります。本Unitでは保全措置の全例外までは扱いません。

解約手付

相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して解除できるのが基本です。

同じく相手方が履行に着手するまでは、売主は手付の倍額を現実に提供して解除できるのが基本です。

「自分が履行に着手していなければいつでも解除できる」という意味ではなく、相手方の履行着手が基準になる点に注意します。

公簿取引と契約不適合責任

公簿取引は、登記簿上の地積を基礎として売買対象面積を扱う方式です。実測面積を基礎にする取引とは、契約でどの面積を基準にするかが異なります。

引き渡された目的物が種類・品質・数量等で契約内容に適合しない場合、売主が一定の契約不適合責任を負う制度があります。

売買契約では危険負担も関連する基本論点ですが、本Unitの固定問題では契約不適合責任を中心に扱い、民法上の細かな追完請求や危険移転の例外へ広げません。

普通借地権

普通借地権の当初の存続期間は30年以上です。契約で30年未満と定めても、基本的には30年として扱います。

最初の更新後の期間は20年以上、2回目以後の更新は10年以上が基本です。

したがって、普通借地権は「30・20・10」と順に整理すると覚えやすくなります。

一般定期借地権

一般定期借地権の存続期間は50年以上です。

更新、建物再築による期間延長、建物買取請求を排除する特約は、書面等で行うことが基本です。

事業用定期借地権

事業用定期借地権は、専ら事業用の建物を所有する目的で設定し、存続期間は10年以上50年未満です。

契約は公正証書によって行います。

一般定期借地権の50年以上と、事業用定期借地権の10年以上50年未満を入れ替えないようにします。

建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権は、設定後30年以上経過した日に、借地上の建物を地主に譲渡することにより借地権を消滅させる旨の特約を設ける類型です。

FP3級では30年以上という期間を中心に確認します。

普通建物賃貸借

期間を1年未満と定めた普通建物賃貸借は、期間の定めがないものとみなされます。

また、賃貸人による更新拒絶・解約には正当事由が必要となるのが基本です。本Unitでは正当事由の判例上の詳細までは扱いません。

定期建物賃貸借

定期建物賃貸借は、書面または電磁的記録による契約が必要です。

賃貸人は、契約の更新がなく期間満了で終了する旨をあらかじめ説明する必要があります。

契約の更新はなく、継続して使用する場合は再契約となります。

普通建物賃貸借と定期建物賃貸借は、「1年未満の扱い」「更新」「契約方式」「事前説明」を分けて整理します。

重要な数字

項目 基本
専任媒介の有効期間 3か月以内
専任媒介のREINS登録 7日以内
専任媒介の報告 14日に1回以上
専属専任媒介の有効期間 3か月以内
専属専任媒介のREINS登録 5日以内
専属専任媒介の報告 7日に1回以上
宅建業者売主の手付上限 代金の20%
普通借地権 当初30年以上
普通借地権の最初の更新 20年以上
普通借地権の2回目以後の更新 10年以上
一般定期借地権 50年以上
事業用定期借地権 10年以上50年未満
建物譲渡特約付借地権 30年以上
普通建物賃貸借 1年未満なら期間の定めなし

媒介契約では「7・14」と「5・7」、借地権では「30・20・10」「50以上」「10以上50未満」「30以上」を制度名と対応させます。

具体例

専任媒介契約と専属専任媒介契約を比較します。

専任媒介契約では、指定流通機構への登録が7日以内、依頼者への報告が14日に1回以上です。

専属専任媒介契約では、登録が5日以内、報告が7日に1回以上です。

どちらも有効期間は3か月以内ですが、専属専任の方が登録期限と報告間隔が短いという関係になります。

借地権では、事業用の建物所有を目的とし、25年間、公正証書で契約するという条件なら、期間10年以上50年未満・事業用・公正証書という要件から事業用定期借地権を検討します。

計算のしかた

E02に独立したCALC問題はありません。

数値問題では計算より制度と期間の対応を確認します。

  1. 媒介契約の種類を確認する。
  2. 登録期限か報告頻度かを確認する。
  3. 借地権なら普通借地か定期借地かを確認する。
  4. 定期借地なら一般・事業用・建物譲渡特約付のどれかを確認する。
  5. 借家なら普通か定期か、契約方式・更新の有無を確認する。

手付上限を判断する場合は「宅建業者が自ら売主」「買主が宅建業者ではない」という前提を確認してから20%を適用します。

よくある間違い

  • 重要事項説明を契約成立後に行うと考える。
  • 重要事項説明者を資格のない一般従業者と考える。
  • 一般媒介契約では他の業者に依頼できないと考える。
  • 専任の7日・14日と専属専任の5日・7日を逆にする。
  • 手付上限20%の前提となる売主・買主の属性を無視する。
  • 解約手付で「相手方の履行着手」ではなく「自分の履行着手」だけを見る。
  • 普通借地権の30・20・10年を逆にする。
  • 一般定期借地権と事業用定期借地権の期間を逆にする。
  • 事業用定期借地権を通常の書面だけで設定できると考える。
  • 建物譲渡特約付借地権を20年以上と覚える。
  • 普通建物賃貸借を1年未満で契約すれば、その短期で必ず終了すると考える。
  • 定期建物賃貸借にも当然に更新があると考える。

試験での出題のされ方

E02では、S001・S002・S005・S006がEX-E-006、S009・S012・S013がEX-E-002、S014・S015がEX-E-013に接続します。

EX-E-002、EX-E-006、EX-E-013はいずれも2024~2026 CBT公表分で3/3、Frequency_Rate 100、Past_Exam_Frequency Aとして管理されています。

ただしEX-E-013は、賃貸・借地借家・不動産所得等を具体例に適用する広い実技能力枠です。S014の定期借地権、S015の借家契約という個別サブ論点がそれぞれ毎回出題されたことを意味しません。

S003・S004・S007・S008・S010・S011はUNVERIFIEDです。UNVERIFIEDは、当該Question_Slotへ過去問頻度を直接付与していない管理状態であり、出題なし・低頻度を意味しません。

まとめ

  • 重要事項説明は契約成立前に宅地建物取引士が行う。
  • 一般媒介契約は複数業者へ重ねて依頼可能。
  • 専任は3か月以内・REINS7日・報告14日に1回以上。
  • 専属専任は3か月以内・REINS5日・報告7日に1回以上。
  • 宅建業者売主・買主非業者の手付上限は20%。
  • 解約手付は相手方の履行着手前が基本。
  • 普通借地権は当初30年、最初の更新20年、以後10年以上。
  • 一般定期借地権は50年以上。
  • 事業用定期借地権は10年以上50年未満・公正証書。
  • 建物譲渡特約付借地権は30年以上。
  • 普通建物賃貸借は1年未満なら期間の定めなし。
  • 定期建物賃貸借は書面等・事前説明・更新なし。

練習のしかた

  1. 重要事項説明を行う時期と説明者を答える。
  2. 一般・専任・専属専任媒介契約を比較する。
  3. 専任7日・14日、専属専任5日・7日を区別する。
  4. 手付額20%の前提条件を説明する。
  5. 買主・売主の手付解除方法を説明する。
  6. 普通借地権の30・20・10年を答える。
  7. 3つの定期借地権の期間・方式を区別する。
  8. 普通建物賃貸借1年未満の扱いを答える。
  9. 定期建物賃貸借の方式・事前説明・更新の有無を答える。

FP2級へのつながり

FP2級では、媒介契約の自己発見取引、指定流通機構への登録日数の具体的起算、手付金等の保全措置の詳細、契約不適合責任の救済手段、借地権・借家権の更新拒絶や終了通知などを詳しく扱います。

FP3級では、制度の名称と「期間・方式・主体」を正確に結び付けることを優先します。

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