重要度:A 論点:債権
問37:A会社の被用者Bが、A会社の事業の執行について、Cに損害を加えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- A:A会社は、Bの選任及びその事業の監督について相当の注意をしたことを証明しても、使用者責任を免れることはできない。
- B:Cに対して損害賠償をしたA会社は、Bに対して求償権を行使することが一切できない。
- C:A会社が使用者責任に基づき損害賠償をした場合、信義則上相当と認められる限度において、Bに対して求償することができる。
- D:使用者責任が成立するためには、BのCに対する行為がA会社の事業の執行についてされたものであることに加え、A会社とBとの間に雇用契約が締結されていることが必要である。
【第37問:正解と解説】
正解:C
・A
【選択肢解説】誤り。使用者は、被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたこと等を証明したときは、使用者責任を免れる(715条1項ただし書)。
・B
【選択肢解説】誤り。民法715条3項は使用者から被用者への求償を認めており、判例上、その求償は損害の公平な分担の見地から信義則上相当と認められる限度に制限される。したがって、「一切できない」という点が誤り。
・C
【論点】使用者責任と求償権の制限(715条・判例)。【考え方】使用者が被用者に対して行う求償は、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度に制限される(最判昭51.7.8)。【選択肢解説】正しい。これが正解肢。
・D
【選択肢解説】誤り。判例上、使用者責任における使用関係は雇用契約の存在を必須とせず、実質的な指揮監督関係があれば足りるとされる。
重要度:A 論点:債権
問38:AはBに対して300万円の貸金債権(弁済期到来済み)を有し、BはAに対して200万円の売買代金債権(弁済期未到来)を有している。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- A:Aは、自己の債権(自働債権)の弁済期が到来していれば、Bの債権(受働債権)の弁済期が未到来であっても、相殺をすることができる。
- B:相殺の意思表示には、条件または期限を付することができる。
- C:Aが相殺の意思表示をした場合、相殺の効力は意思表示をした時から将来に向かって生じる。
- D:相殺をするためには、両当事者が相殺契約を締結しなければならず、一方的な意思表示によってすることはできない。
【第38問:正解と解説】
正解:A
・A
【論点】相殺適状の要件(505条)。【考え方】自働債権は弁済期が到来している必要がある。受働債権の期限は債務者の利益のために定められたものと推定され、相殺をするAは、相手方Bの利益を害しない限り、その期限の利益を放棄できるため、受働債権の弁済期が未到来でも相殺できる(136条、505条)。【選択肢解説】正しい。これが正解肢。
・B
【選択肢解説】誤り。相殺の意思表示には、条件または期限を付することができない(506条1項後段)。
・C
【選択肢解説】誤り。相殺の効力は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時(相殺適状時)に遡って生じる(506条2項)。
・D
【選択肢解説】誤り。相殺は当事者の一方的な意思表示によってすることができる単独行為であり、契約(合意)を要しない(506条1項)。

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