ケース2
共通資料
以下の資料は、この問題の4つの設問に共通して用いる。
【2027年度専用】
会計期間は2027年4月1日から2028年3月31日まで、表示単位は円とする。
決算整理前残高試算表(一部)
| 科目 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| その他有価証券 | 3,000,000 | |
| ソフトウェア | 1,800,000 | |
| 繰延税金資産 | 60,000 | |
| 買掛金(うち外貨建て8,000ドル・取引時1ドル110円) | 880,000 |
決算整理事項
未処理・訂正事項はない。
- その他有価証券の期末時価は2,700,000円である。全部純資産直入法により評価し、税効果会計を適用する(法定実効税率30%)。
- 決算日の為替相場は1ドル105円であり、決済日の為替相場も1ドル105円と与えられている。本問では決算換算のみを行う。
- ソフトウェアは2027年4月1日に取得したもので、3年で償却する(残存価額0、定額法、直接法、12か月分)。
- 上記1以外の将来減算一時差異は期首200,000円、期末300,000円である(法定実効税率30%)。決算整理前の繰延税金資産60,000円はこの期首分である。
問1
共通資料にもとづき、(1)ソフトウェア償却、(2)期末のソフトウェアの残高を求めなさい。
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解答・解説
正答
- (1) ソフトウェア償却:600,000円
- (2) 期末のソフトウェア:1,200,000円
解説
償却:1,800,000÷3=600,000円。取得が期首なので12か月分です。直接法により、期末残高は1,800,000-600,000=1,200,000円です。
配点:2つの金額がともに一致すること。
採点要素:ソフトウェア償却 600,000/期末ソフトウェア 1,200,000
部分点:NO
部分点の取扱い:採点要素 がすべて一致した場合のみ正解とする。
問2
共通資料にもとづき、(1)外貨建て買掛金の決算日における円換算額、(2)為替差損益の金額とその区分(差益か差損か)を求めなさい。
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解答・解説
正答
- (1) 円換算額:840,000円
- (2) 為替差損益:40,000円(差益)
解説
8,000×105=840,000円。帳簿価額880,000円との差額40,000円は負債の減少であり、差益です。1ドル110円から105円へ円高になったことによります。
配点:金額2つと区分が一致すること。
採点要素:円換算額 840,000/為替差損益 40,000/区分 差益
部分点:NO
部分点の取扱い:採点要素 がすべて一致した場合のみ正解とする。区分を差損とした場合は不正解。
問3
共通資料にもとづき、その他有価証券の評価に関して、(1)評価差額、(2)繰延税金資産、(3)その他有価証券評価差額金の金額と借貸を求め、決算整理仕訳を示しなさい。
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解答・解説
正答
- (1) 評価差額:△300,000円(時価が取得原価を下回る)
- (2) 繰延税金資産:90,000円
- (3) その他有価証券評価差額金:210,000円(借方)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 繰延税金資産 | 90,000 | その他有価証券 | 300,000 |
| その他有価証券評価差額金 | 210,000 |
判断根拠:評価差額は2,700,000-3,000,000=△300,000円で下落です。全部純資産直入法では下落分も損益ではなく純資産で処理します。税効果は300,000×30%=90,000円で、下落(評価損)は将来の税負担を減らすため繰延税金資産です。残りの210,000円が評価差額金の借方です。
検証:90,000+210,000=300,000円で評価差額と一致します。上昇の場合と対称で、繰延税金負債が繰延税金資産に、評価差額金の貸方が借方に変わります。
想定される誤り:下落なのに繰延税金負債を計上すること、評価損を損益計算書の科目で処理することです。
配点:3つの金額と借貸、および仕訳が正しいこと。
採点要素
- E1 評価差額 △300,000
- E2 繰延税金資産 90,000
- E3 評価差額金 210,000(借方)
- E4 仕訳(借方2科目・貸方1科目の配置と金額)
部分点:YES
部分点の取扱い:E1〜E4 各1点、計4点満点とする。E2 を繰延税金負債とした場合は E2・E4 とも失点とする。
問4
共通資料にもとづき、(1)決算整理後残高試算表における次の科目の残高を示し、(2)税効果の計算を他の整理事項の後に行う理由を、本問の数値を用いて説明しなさい。
対象科目:その他有価証券/買掛金/ソフトウェア/繰延税金資産/その他有価証券評価差額金/法人税等調整額/為替差損益/ソフトウェア償却
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解答・解説
正答
| 科目 | 整理後残高 | 借/貸 |
|---|---|---|
| その他有価証券 | 2,700,000 | 借 |
| 買掛金 | 840,000 | 貸 |
| ソフトウェア | 1,200,000 | 借 |
| 繰延税金資産 | 180,000 | 借 |
| その他有価証券評価差額金 | 210,000 | 借 |
| 法人税等調整額 | 30,000 | 貸 |
| 為替差損益 | 40,000 | 貸 |
| ソフトウェア償却 | 600,000 | 借 |
(2) 繰延税金資産180,000円のうち90,000円は、その他有価証券の評価差額△300,000円が確定してはじめて計算できる。評価差額が確定する前に税効果を計算することはできないため、税効果は有価証券の評価(および外貨換算・償却)の後に置く。
判断根拠:順序は有価証券の評価(5)→無形固定資産の償却(7)→外貨換算(9)→税効果(11)です。繰延税金資産は2つの源泉があります。有価証券の評価差額に係る90,000円(純資産直入・損益を通さない)と、その他の一時差異に係る期末90,000円(期首60,000円からの増加30,000円が法人税等調整額)です。合計180,000円が整理後の残高です。
検証:その他有価証券2,700,000円は時価と一致します。買掛金840,000円は8,000×105と一致します。繰延税金資産の内訳90,000+90,000=180,000円。法人税等調整額30,000円は一時差異の増加100,000×30%と一致します。ソフトウェア1,200,000+償却600,000=1,800,000円で取得原価と一致します。評価差額金210,000+繰延税金資産(有価証券分)90,000=300,000円で評価差額と一致します。
想定される誤り:繰延税金資産の合計を有価証券分を落として90,000円とすること、法人税等調整額に有価証券分を含めて120,000円とすること、為替差損益を差損とすることです。
配点:(1)は8科目の残高と借貸がそれぞれ正しいこと。(2)は繰延税金資産90,000円が評価差額の確定後に計算される旨が数値を用いて説明されていること。
採点要素
- E1 その他有価証券 2,700,000(借)
- E2 買掛金 840,000(貸)
- E3 ソフトウェア 1,200,000(借)
- E4 繰延税金資産 180,000(借)
- E5 その他有価証券評価差額金 210,000(借)
- E6 法人税等調整額 30,000(貸)
- E7 為替差損益 40,000(貸)
- E8 ソフトウェア償却 600,000(借)
- E9 順序の説明(評価差額確定後に税効果)
部分点:YES
部分点の取扱い:E1〜E8 各1点、E9 2点、計10点満点とする。借貸の誤りは当該要素の失点とする。E4 を90,000円とした場合は E4 のみ失点とし、他の要素は独立に採点する。