ケース1
共通資料
青森商事株式会社の当期(2027年4月1日から2028年3月31日まで)の固定資産台帳は次のとおりである。いずれの資産も期首より前から使用しており、当期は12か月使用している。
| 資産 | 取得原価 | 残存価額 | 期首の減価償却累計額 | 償却方法 | 償却の条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建物 | 2,400,000 | 0 | 360,000 | 定額法 | 耐用年数20年 |
| 備品 | 1,200,000 | — | 300,000 | 定率法 | 償却率 年25% |
| 車両運搬具 | 1,500,000 | 0 | 450,000 | 生産高比例法 | 総利用可能量150,000km/当期利用量30,000km |
注記
- 記帳方法は間接法による。
- 生産高比例法では月割計算を行わない。
- 償却率は上記のとおり示されている。
問1
共通資料にもとづき、建物の当期の減価償却費を計算しなさい。
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解答・解説
正答
建物の当期の減価償却費 = ¥120,000
計算過程
年償却額 =(取得原価 - 残存価額)÷ 耐用年数
=(¥2,400,000 - ¥0)÷ 20年
= ¥120,000
当期は12か月使用しているため、月割の調整は不要
検算:¥120,000 × 20年 = ¥2,400,000 = 取得原価 - 残存価額 ✓
解説
建物は定額法によるため、毎期同じ額を償却します。
期首の減価償却累計額 ¥360,000 は、これまでに3年分(¥120,000 × 3)を償却してきたことを示しています。ただし定額法では当期の償却額の計算に累計額を用いません。
累計額を使うのは定率法の場合です。方法によって必要な情報が異なる点に注意してください。
問2
共通資料にもとづき、次を答えなさい。
(1) 備品の当期の減価償却費
(2) 車両運搬具の当期の減価償却費
(3) 3資産の当期の減価償却費の合計
(4) 3資産の減価償却について、間接法による決算整理仕訳
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解答・解説
正答
- 備品の減価償却費 = ¥225,000
- 車両運搬具の減価償却費 = ¥300,000
- 合計 = ¥645,000
- 決算整理仕訳
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 645,000 | 建物減価償却累計額 | 120,000 |
| 備品減価償却累計額 | 225,000 | ||
| 車両運搬具減価償却累計額 | 300,000 |
計算過程
【備品:定率法】 期首帳簿価額 = ¥1,200,000 - ¥300,000 = ¥900,000 当期償却額 = ¥900,000 × 25% = ¥225,000 【車両運搬具:生産高比例法】 利用割合 = 30,000km ÷ 150,000km = 0.2 当期償却額 =(¥1,500,000 - ¥0)× 0.2 = ¥300,000 【合計】 ¥120,000(建物)+ ¥225,000(備品)+ ¥300,000(車両運搬具)= ¥645,000
検算
- 借方 645,000 = 貸方 120,000 + 225,000 + 300,000 = 645,000 ✓
- 備品:期首帳簿価額 ¥900,000 - 償却額 ¥225,000 = 期末帳簿価額 ¥675,000 ✓
- 車両運搬具:償却額 ¥300,000 ÷ 取得原価 ¥1,500,000 = 0.2 = 利用割合 ✓
解説
3資産で償却方法が異なります。 それぞれ必要な情報が違う点を確認してください。
| 資産 | 方法 | 使う情報 |
|---|---|---|
| 建物 | 定額法 | 取得原価・残存価額・耐用年数 |
| 備品 | 定率法 | 取得原価・期首累計額・償却率 |
| 車両運搬具 | 生産高比例法 | 取得原価・残存価額・総利用可能量・当期利用量 |
間接法であるため、貸方は資産ごとに累計額を分けて計上します。 借方の減価償却費は3資産の合計 ¥645,000 を1行にまとめます。
車両運搬具は生産高比例法であるため月割計算を行いません。 当期の利用量 30,000km だけで計算します。
問3
共通資料にもとづき、次を答えなさい。
(1) 3資産それぞれの期末の減価償却累計額
(2) 3資産それぞれの期末帳簿価額
(3) 3資産の期末帳簿価額の合計
(4) 「取得原価の合計 - 期末累計額の合計 = 期末帳簿価額の合計」が成立することを確かめなさい
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解答・解説
正答
| 資産 | 取得原価 | 期首累計額 | 当期償却額 | (1)期末累計額 | (2)期末帳簿価額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建物 | 2,400,000 | 360,000 | 120,000 | 480,000 | 1,920,000 |
| 備品 | 1,200,000 | 300,000 | 225,000 | 525,000 | 675,000 |
| 車両運搬具 | 1,500,000 | 450,000 | 300,000 | 750,000 | 750,000 |
| 合計 | 5,100,000 | 1,110,000 | 645,000 | 1,755,000 | 3,345,000 |
- 期末帳簿価額の合計 = ¥3,345,000
- ¥5,100,000 - ¥1,755,000 = ¥3,345,000 = 期末帳簿価額の合計。成立する
判断根拠
期末累計額と期末帳簿価額は、償却方法によらず同じ関係で求められます。
期末累計額 = 期首累計額 + 当期償却額 期末帳簿価額 = 取得原価 - 期末累計額
当期償却額の求め方だけが方法によって異なります。
計算過程
【期末累計額】 建物 = ¥360,000 + ¥120,000 = ¥480,000 備品 = ¥300,000 + ¥225,000 = ¥525,000 車両運搬具 = ¥450,000 + ¥300,000 = ¥750,000 【期末帳簿価額】 建物 = ¥2,400,000 - ¥480,000 = ¥1,920,000 備品 = ¥1,200,000 - ¥525,000 = ¥675,000 車両運搬具 = ¥1,500,000 - ¥750,000 = ¥750,000 【合計】 期末帳簿価額の合計 = ¥1,920,000 + ¥675,000 + ¥750,000 = ¥3,345,000
検算
- (4) 取得原価の合計 = ¥2,400,000 + ¥1,200,000 + ¥1,500,000 = ¥5,100,000
- 期末累計額の合計 = ¥480,000 + ¥525,000 + ¥750,000 = ¥1,755,000
- ¥5,100,000 - ¥1,755,000 = ¥3,345,000 = 期末帳簿価額の合計 ✓
- 期首累計額の合計 ¥1,110,000 + 当期償却額の合計 ¥645,000 = ¥1,755,000 = 期末累計額の合計 ✓
- 各資産とも期末累計額 ≦ 取得原価 - 残存価額 ✓(建物 480,000≦2,400,000/備品 525,000≦1,200,000/車両運搬具 750,000≦1,500,000)
想定される誤り
第1に、期末帳簿価額を「期首帳簿価額 - 期首累計額」で求めてしまう誤りです。たとえば備品で ¥900,000 - ¥300,000 = ¥600,000 とすると、期首の累計額を二重に差し引くことになります。期末帳簿価額は取得原価から期末累計額を差し引きます。
第2に、車両運搬具に月割計算を適用してしまう誤りです。生産高比例法では月割を行わないため、当期償却額は ¥300,000 のままです。仮に月数で按分すると期末累計額・期末帳簿価額の双方が狂います。
第3に、備品の当期償却額を取得原価に償却率を掛けて求めてしまう誤りです。¥1,200,000 × 25% = ¥300,000 となり、期末累計額が ¥600,000、期末帳簿価額が ¥600,000 となって正しい値と一致しません。定率法では期首帳簿価額 ¥900,000 に掛けます。
(4)の検算「取得原価の合計 - 期末累計額の合計 = 期末帳簿価額の合計」を行うと、いずれの誤りも発見できます。 3資産のいずれか1つでも償却額を誤ると、この等式は成立しますが個別の金額が正しい値と一致しません。したがって資産ごとの検算(期末累計額 ≦ 取得原価 - 残存価額)も併せて行ってください。