第3問B 財務諸表作成

1.問題メタデータ

重要度:A 難易度:応用

  • 大問:第3問
  • 形式:B.財務諸表作成
  • 当サイト配点:35点
  • 採点設計:3点×10か所+繰越利益剰余金5点=35点
  • 出題方針:未処理事項・決算整理事項を反映して決算整理後残高を確定し、必要な表示科目への読み替えを行って損益計算書と貸借対照表を完成する
  • 配点について:35点は当サイトの本試験形式・模擬試験用の設計で、公式の将来配点を示すものではありません。

2.問題

青森商事株式会社の会計期間は、×3年4月1日から×4年3月31日までです。消費税は税抜方式(税率10%)で記帳しています。

次の決算整理前残高試算表と未処理事項・決算整理事項に基づき、損益計算書と貸借対照表を作成しなさい。 財務諸表では、必要に応じて帳簿上の勘定科目を財務諸表上の表示科目へ読み替えるものとします。

決算整理前残高試算表(×4年3月31日)

勘定科目 借方 貸方
現金 268,000円
普通預金 2,340,000円
売掛金 810,000円
繰越商品 320,000円
仮払消費税 412,000円
仮払法人税等 95,000円
建物 2,400,000円
備品 600,000円
現金過不足 5,000円
買掛金 640,000円
借入金 800,000円
仮受消費税 668,000円
貸倒引当金 6,000円
建物減価償却累計額 720,000円
備品減価償却累計額 144,000円
資本金 2,800,000円
繰越利益剰余金 331,000円
売上 6,680,000円
受取地代 105,000円
仕入 4,120,000円
給料 1,310,000円
通信費 92,000円
保険料 108,000円
支払利息 14,000円
合計 12,894,000円 12,894,000円

未処理事項・決算整理事項

  1. 売掛金10,000円が普通預金口座に振り込まれていましたが、未記帳でした。
  2. ×4年3月1日に支払った建物の修繕代金40,000円が、誤って備品勘定に計上されていました。この修繕は現状維持のための収益的支出です。
  3. 現金過不足5,000円(借方残高)の原因を調査したところ、通信費4,000円の記入漏れが判明しました。残額は原因不明として処理します。
  4. 期末商品棚卸高は380,000円です。売上原価は仕入勘定で算定します。
  5. 未処理事項1を反映した後の売掛金残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法で設定します。
  6. 建物は定額法、耐用年数30年、残存価額0円で減価償却します。備品は定額法、耐用年数5年、残存価額0円で減価償却します。備品のうち240,000円は×3年12月1日に取得したものであり、月割計算を行います。それ以外の備品については、未処理事項2の修正を反映した後の金額からこの240,000円を除いた額を通年分として償却します。
  7. 通信費として処理済みの郵便切手のうち、期末未使用分6,000円を貯蔵品へ振り替えます。
  8. 仮受消費税と仮払消費税を精算します。
  9. 保険料のうち27,000円は次期分です。受取地代のうち15,000円は次期分です。また、借入金利息の未払分が7,000円あります。
  10. 当期の法人税、住民税及び事業税は170,000円です。仮払法人税等を控除した残額を未払法人税等として計上します。

3.決算整理の確認

① 未処理の売掛金回収

(借)普通預金 10,000円 / (貸)売掛金 10,000円

  • 普通預金:2,340,000+10,000=2,350,000円
  • 売掛金:810,000-10,000=800,000円

② 修繕代金の誤計上訂正

(借)修繕費 40,000円 / (貸)備品 40,000円

備品の修正後残高は、

600,000-40,000=560,000円

です。

③ 現金過不足

(借)通信費 4,000円、雑損 1,000円 / (貸)現金過不足 5,000円

④ 商品棚卸

(借)仕入 320,000円 / (貸)繰越商品 320,000円

(借)繰越商品 380,000円 / (貸)仕入 380,000円

売上原価となる仕入勘定の整理後残高は、

320,000+4,120,000-380,000=4,060,000円

です。

⑤ 貸倒引当金

修正後の売掛金800,000円に2%を設定します。

800,000×2%=16,000円

決算整理前の貸倒引当金6,000円との差額は、

16,000-6,000=10,000円

です。

(借)貸倒引当金繰入 10,000円 / (貸)貸倒引当金 10,000円

⑥ 減価償却

建物:

2,400,000÷30年=80,000円

備品のうち、未処理事項2の修正後の既存分:

560,000-240,000=320,000円

320,000÷5年=64,000円

×3年12月1日取得の備品:

240,000÷5年×4か月÷12か月=16,000円

したがって、当期の減価償却費は、

80,000+64,000+16,000=160,000円

です。

(借)減価償却費 160,000円 / (貸)建物減価償却累計額 80,000円、備品減価償却累計額 80,000円

⑦ 貯蔵品

(借)貯蔵品 6,000円 / (貸)通信費 6,000円

通信費の整理後残高は、

92,000+4,000-6,000=90,000円

です。

⑧ 消費税

668,000-412,000=256,000円

(借)仮受消費税 668,000円 / (貸)仮払消費税 412,000円、未払消費税 256,000円

⑨ 経過勘定

保険料:

(借)前払保険料 27,000円 / (貸)保険料 27,000円

受取地代:

(借)受取地代 15,000円 / (貸)前受地代 15,000円

支払利息:

(借)支払利息 7,000円 / (貸)未払利息 7,000円

整理後残高は、

  • 保険料:108,000-27,000=81,000円
  • 受取地代:105,000-15,000=90,000円
  • 支払利息:14,000+7,000=21,000円

です。

⑩ 法人税等

(借)法人税、住民税及び事業税 170,000円 / (貸)仮払法人税等 95,000円、未払法人税等 75,000円


4.主要な決算整理後残高

勘定科目 決算整理後残高
現金 借方268,000円
普通預金 借方2,350,000円
売掛金 借方800,000円
貸倒引当金 貸方16,000円
繰越商品 借方380,000円
建物 借方2,400,000円
建物減価償却累計額 貸方800,000円
備品 借方560,000円
備品減価償却累計額 貸方224,000円
買掛金 貸方640,000円
借入金 貸方800,000円
売上 貸方6,680,000円
受取地代 貸方90,000円
仕入 借方4,060,000円
給料 借方1,310,000円
通信費 借方90,000円
保険料 借方81,000円
支払利息 借方21,000円
修繕費 借方40,000円
雑損 借方1,000円
貸倒引当金繰入 借方10,000円
減価償却費 借方160,000円
貯蔵品 借方6,000円
前払保険料 借方27,000円
前受地代 貸方15,000円
未払利息 貸方7,000円
未払消費税 貸方256,000円
法人税、住民税及び事業税 借方170,000円
未払法人税等 貸方75,000円

仮払消費税、仮受消費税、仮払法人税等、現金過不足は決算整理後残高が0円となるため、財務諸表には残りません。


5.表示科目への読み替え

財務諸表では、帳簿上の科目を次のように表示します。

帳簿上の科目 財務諸表上の表示
仕入 売上原価
売上 売上高
繰越商品 商品
前払保険料 前払費用
前受地代 前受収益
未払利息 未払費用
貸倒引当金 売掛金から控除して表示
建物減価償却累計額 建物から控除して表示
備品減価償却累計額 備品から控除して表示

6.損益計算書

青森商事株式会社 自×3年4月1日 至×4年3月31日

費用 金額 収益 金額
売上原価 4,060,000円 売上高 6,680,000円
給料 1,310,000円 受取地代 90,000円
通信費 90,000円
保険料 81,000円
修繕費 40,000円
貸倒引当金繰入 10,000円
減価償却費 160,000円
支払利息 21,000円
雑損 1,000円
法人税、住民税及び事業税 170,000円
当期純利益 827,000円
合計 6,770,000円 合計 6,770,000円

収益6,770,000円から当期純利益を除く費用5,943,000円を差し引くと、

6,770,000-5,943,000=827,000円

となります。


7.貸借対照表

青森商事株式会社 ×4年3月31日

資産 内訳 金額 負債・純資産 金額
現金 268,000円 買掛金 640,000円
普通預金 2,350,000円 借入金 800,000円
売掛金 800,000円 未払消費税 256,000円
貸倒引当金 △16,000円 784,000円 未払費用 7,000円
商品 380,000円 前受収益 15,000円
貯蔵品 6,000円 未払法人税等 75,000円
前払費用 27,000円 資本金 2,800,000円
建物 2,400,000円 繰越利益剰余金 1,158,000円
減価償却累計額 △800,000円 1,600,000円
備品 560,000円
減価償却累計額 △224,000円 336,000円
合計 5,751,000円 合計 5,751,000円

期末の繰越利益剰余金は、

331,000+827,000=1,158,000円

です。


8.採点基準

# 採点箇所 正解 配点
1 売上原価(P/L) 4,060,000円 3点
2 修繕費(P/L) 40,000円 3点
3 通信費(P/L) 90,000円 3点
4 貸倒引当金繰入(P/L) 10,000円 3点
5 減価償却費(P/L) 160,000円 3点
6 当期純利益(P/L) 827,000円 3点
7 売掛金の差引額(B/S) 784,000円 3点
8 備品の差引額(B/S) 336,000円 3点
9 未払消費税(B/S) 256,000円 3点
10 未払法人税等(B/S) 75,000円 3点
11 繰越利益剰余金(B/S) 1,158,000円 5点
合計 35点

配点検算:3点×10+5点=35点


9.解答する順序

  1. 未処理の売掛金回収と修繕代金の誤計上を修正する。
  2. 修正後の売掛金・備品残高を確定し、後続の貸倒引当金・減価償却の計算基礎を確定する。
  3. 現金過不足を処理する。
  4. 商品棚卸を反映して売上原価と期末商品を確定する。
  5. 貸倒引当金・減価償却・貯蔵品を処理する。
  6. 消費税、経過勘定、法人税等を処理する。
  7. 各勘定の決算整理後残高を確認する。
  8. 仕入→売上原価、売上→売上高、繰越商品→商品など、財務諸表上の表示へ読み替える。
  9. 収益・費用を損益計算書へ集計し、当期純利益を求める。
  10. 資産・負債・純資産を貸借対照表へ集計し、当期純利益を繰越利益剰余金へ反映して貸借一致を確認する。

未処理事項が後続の率計算や減価償却額の基礎へ影響する場合は、先に未処理事項を反映してから計算基礎を確定します。本問では、売掛金と備品の修正が後続計算に影響します。


10.検算

決算整理前残高試算表

借方12,894,000円=貸方12,894,000円

売上原価

320,000+4,120,000-380,000=4,060,000円

貸倒引当金

800,000×2%=16,000円

16,000-6,000=貸倒引当金繰入10,000円

減価償却

80,000+64,000+16,000=160,000円

損益計算書

収益6,770,000円-費用5,943,000円=当期純利益827,000円

貸借対照表

資産合計:

5,751,000円

負債・純資産合計:

5,751,000円

繰越利益剰余金

331,000+827,000=1,158,000円

P/Lの差額827,000円と、期末繰越利益剰余金の増加額827,000円が一致します。


11.確認ポイント

本問では、決算整理後残高の確定財務諸表表示への読み替えを別工程として扱うことが重要です。

たとえば、決算整理仕訳では `前払保険料`・`前受地代`・`未払利息`という具体科目を使用しますが、貸借対照表ではそれぞれ `前払費用`・`前受収益`・`未払費用`として表示します。

また、貸倒引当金と減価償却累計額は負債ではなく、対象となる資産から控除して表示します。


コメント

タイトルとURLをコピーしました