訂正仕訳 仕訳問題【全6問】

共通前提

  • 各問とも、誤った仕訳がすでに帳簿へ記録されている状態から出発する。
  • 解答は訂正仕訳1本(差分)とする。誤仕訳の取消しと正しい仕訳を別々に書く形は求めない。
  • 題材となる取引の基礎処理は既習とする。

共通語群(各問、この中から勘定科目を選ぶこと)

水道光熱費 / 通信費 / 売掛金 / 売上 / 仕入 / 買掛金 / 普通預金 / 現金 / 仮払消費税


重要度:A 難易度:初級 論点:勘定科目の誤り(片側は正しい)

問1(初級)

水道光熱費 ¥87,000 を普通預金口座から支払ったが、誤って「(借)通信費 87,000/(貸)普通預金 87,000」と記帳していた。訂正仕訳を行いなさい。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
水道光熱費 87,000 通信費 87,000

解説

手順1 誤仕訳と正しい仕訳を並べる

借方 貸方
誤仕訳 通信費 87,000 普通預金 87,000
正しい仕訳 水道光熱費 87,000 普通預金 87,000

手順2 共通部分を消す

貸方の普通預金 87,000 は両方に同じ形で登場しているので、すでに正しい状態です。動かしません。

手順3 差分を書く

  • 借方:本来計上すべき水道光熱費 87,000 を立てる
  • 貸方:誤って計上した通信費 87,000 を取り消す

訂正後の検算

勘定 誤仕訳の効果 訂正仕訳の効果 合計 本来の正しい効果 一致
通信費 借方 87,000 貸方 87,000 0 0
水道光熱費 0 借方 87,000 借方 87,000 借方 87,000
普通預金 貸方 87,000 0 貸方 87,000 貸方 87,000

誤りとなる処理

  • 普通預金を訂正仕訳に登場させる:すでに正しく記帳されています。動かすと二重になります。
  • 誤仕訳の全取消しと正しい仕訳を2本書く:普通預金が借方と貸方で打ち消し合うため、差分1本で足ります。

重要度:A 難易度:標準 論点:金額の過少記帳(不足額を同じ方向へ追加)

問2(標準)

商品 ¥163,000 を掛けで販売したが、誤って ¥125,000 として「(借)売掛金 125,000/(貸)売上 125,000」と記帳していた。訂正仕訳を行いなさい。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金 38,000 売上 38,000

解説

手順1 方向を確認する

科目(売掛金・売上)も方向(借方・貸方)も合っています。違うのは金額だけです。

手順2 不足額を求める

不足額 = `163,000 − 125,000` = ¥38,000

手順3 同じ方向へ不足分を追加する

すでに借方に売掛金 125,000、貸方に売上 125,000 が記帳されています。同じ方向へ 38,000 を足すだけで、正しい 163,000 になります。

訂正後の検算

勘定 誤仕訳の効果 訂正仕訳の効果 合計 本来の正しい効果 一致
売掛金 借方 125,000 借方 38,000 借方 163,000 借方 163,000
売上 貸方 125,000 貸方 38,000 貸方 163,000 貸方 163,000

誤りとなる処理

  • 正しい金額 163,000 をもう一度そのまま記帳する:すでに 125,000 が記帳済みなので、合計 288,000 になってしまいます。
  • 差額を反対方向へ書く:不足しているので、同じ方向へ追加します。

重要度:A 難易度:標準 論点:金額の過大記帳(超過額を反対方向へ戻す)

問3(標準)

商品 ¥147,000 を掛けで仕入れたが、誤って ¥178,000 として「(借)仕入 178,000/(貸)買掛金 178,000」と記帳していた。訂正仕訳を行いなさい。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
買掛金 31,000 仕入 31,000

解説

手順1 方向を確認する

科目も方向も合っています。違うのは金額だけで、今回は多すぎます。

手順2 超過額を求める

超過額 = `178,000 − 147,000` = ¥31,000

手順3 超過分だけを反対方向へ戻す

  • 借方に多すぎる仕入 31,000 → 貸方で戻す
  • 貸方に多すぎる買掛金 31,000 → 借方で戻す

訂正後の検算

勘定 誤仕訳の効果 訂正仕訳の効果 合計 本来の正しい効果 一致
仕入 借方 178,000 貸方 31,000 借方 147,000 借方 147,000
買掛金 貸方 178,000 借方 31,000 貸方 147,000 貸方 147,000

問2との違い

問2 問3
誤りの型 過少(少なく記帳) 過大(多く記帳)
差額 正しい金額 − 記帳額 記帳額 − 正しい金額
訂正の方向 同じ方向へ追加 反対方向へ戻す

誤りとなる処理

  • 誤った 178,000 を全額反対方向へ戻す:記帳がゼロになり、正しい 147,000 が残りません。
  • 差額を同じ方向へ追加する:多すぎるものをさらに増やすことになります。

重要度:A 難易度:標準 論点:借方・貸方の完全逆記(元の金額の2倍)

問4(標準)

買掛金 ¥62,000 を普通預金口座から支払ったが、誤って「(借)普通預金 62,000/(貸)買掛金 62,000」と、借方・貸方を逆に記帳していた。訂正仕訳を行いなさい。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
買掛金 124,000 普通預金 124,000

解説

手順1 科目ごとに現在と本来を比べる

正しい仕訳は「(借)買掛金 62,000/(貸)普通預金 62,000」です。

勘定 現在(誤仕訳) 本来 必要な訂正
買掛金 貸方 62,000 借方 62,000 貸方分の打消し 62,000 + 借方分の計上 62,000 = 借方 124,000
普通預金 借方 62,000 貸方 62,000 借方分の打消し 62,000 + 貸方分の計上 62,000 = 貸方 124,000

手順2 2倍になる理由

`62,000 × 2` = ¥124,000

打ち消す分と立て直す分が同じ方向に重なるため、元の金額の2倍になります。

訂正後の検算

勘定 誤仕訳の効果 訂正仕訳の効果 合計 本来の正しい効果 一致
買掛金 貸方 62,000 借方 124,000 借方 62,000 借方 62,000
普通預金 借方 62,000 貸方 124,000 貸方 62,000 貸方 62,000

確認ポイント:2倍になるのは、同じ2つの勘定・同じ金額を借方と貸方で完全に逆向きに記帳していた場合です。片側だけが違う場合や金額が違う場合には当てはまりません(02_統合一問一答 問5)。

誤りとなる処理

  • 62,000 のまま訂正する:誤記帳を打ち消しただけで、正しい仕訳が立ちません。
  • すべての訂正で2倍にする:完全逆記に限った話です。

重要度:A 難易度:応用 論点:記帳漏れ(抜けている部分だけを追加する)

問5(応用)

商品 ¥311,000 を掛けで仕入れ、その引取運賃 ¥44,000 を現金で支払ったが、引取運賃の記帳が漏れていた(掛仕入 311,000 のみ「(借)仕入 311,000/(貸)買掛金 311,000」と記帳済み)。必要な仕訳を行いなさい。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 44,000 現金 44,000

解説

手順1 現在と本来を比べる

本来行うべき仕訳は次のとおりです(引取運賃は仕入原価に含めます)。

借方 貸方
仕入 355,000 買掛金 311,000
現金 44,000

本来の仕入 = `311,000 + 44,000` = ¥355,000

手順2 抜けている部分だけを追加する

すでに記帳済みなのは掛仕入 311,000 の部分です。誤った記録は1つもなく、足りないだけです。

したがって、打ち消す仕訳は不要で、漏れていた 44,000 の部分をそのまま追加します。

訂正後の検算

勘定 記帳済みの効果 追加仕訳の効果 合計 本来の正しい効果 一致
仕入 借方 311,000 借方 44,000 借方 355,000 借方 355,000
買掛金 貸方 311,000 0 貸方 311,000 貸方 311,000
現金 0 貸方 44,000 貸方 44,000 貸方 44,000

誤りとなる処理

  • 記帳済みの「仕入 311,000/買掛金 311,000」を取り消してから全額を記帳し直す:記帳済みの部分は正しいので、取り消す必要はありません。
  • 仕入を 355,000 として追加する:すでに 311,000 が記帳済みなので、合計 666,000 になってしまいます。
  • 買掛金を動かす:掛けで仕入れた 311,000 の部分は正しく記帳されています。

確認ポイント「訂正仕訳では必ず誤仕訳を反対仕訳する」とはかぎりません。 記帳漏れでは、打ち消すべき誤った記録が存在しません。


重要度:A 難易度:応用 論点:内訳・配分の誤り(相手科目は正しく、内訳だけを直す)

問6(応用)

商品を掛けで仕入れ、請求書には本体 ¥470,000・消費税 ¥47,000・合計 ¥517,000 と記載されていた。しかし誤って合計額により「(借)仕入 517,000/(貸)買掛金 517,000」と記帳していた。訂正仕訳を行いなさい。なお、消費税は税抜方式による。

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正解

借方科目 金額 貸方科目 金額
仮払消費税 47,000 仕入 47,000

解説

手順1 誤仕訳と正しい仕訳を並べる

借方 貸方
誤仕訳 仕入 517,000 買掛金 517,000
正しい仕訳 仕入 470,000
仮払消費税 47,000
買掛金 517,000

手順2 共通部分を消す

貸方の買掛金 517,000 は両方で一致しています。支払うべき金額そのものは正しく記帳されているので、動かしません。

手順3 借方の内訳だけを直す

仕入の過大分 = `517,000 − 470,000` = ¥47,000

  • 貸方:仕入に含めてしまった 47,000 を取り消す
  • 借方:計上漏れの仮払消費税 47,000 を立てる

訂正後の検算

勘定 誤仕訳の効果 訂正仕訳の効果 合計 本来の正しい効果 一致
仕入 借方 517,000 貸方 47,000 借方 470,000 借方 470,000
仮払消費税 0 借方 47,000 借方 47,000 借方 47,000
買掛金 貸方 517,000 0 貸方 517,000 貸方 517,000

誤りとなる処理

  • 買掛金を訂正仕訳に登場させる:合計額は正しく記帳されています。
  • 仕入と仮払消費税をあらためて全額記帳する:仕入が二重になります。直すのは内訳のずれ 47,000 だけです。

確認ポイント:本問は内訳の金額が問題文に示されているので、消費税額を計算する必要はありません。税抜方式そのものの処理は C08-T05(消費税(税抜方式)) が扱います。



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