材料費②(消費額の計算・予定消費価格・棚卸減耗)

学習のポイント

① 何を学ぶか

前の単元では、材料をいくらで受け入れるか(購入原価)までを学びました。ここでは、受け入れた材料を使ったときの処理を学びます。

扱うのは次の4つです。

  1. 何個使ったのかを求める方法(消費量)
  2. 1個あたりいくらとして使ったことにするか(消費単価)
  3. あらかじめ決めた価格で記帳したときに生じる差(材料消費価格差異)
  4. 帳簿の数量と実際の数量が合わないときの処理(棚卸減耗費)

② 消費量の計算

消費量の求め方には2つあります。

方法 内容
継続記録法 受入れと払出しのつど帳簿に記録し、払出しの記録から消費量を把握する
棚卸計算法 払出しを記録せず、期末に実地棚卸を行って 期首+受入-期末実地数量 で消費量を求める

消費量と棚卸減耗数量の区別

この2つの方法には、帳簿の数量と実際の数量の差をつかめるかどうかという重要な違いがあります。

継続記録法では、払出しの記録から帳簿上の期末数量が分かります。これと実地棚卸の数量を比べれば、差が棚卸減耗数量として把握できます。

帳簿期末数量 - 実地期末数量 = 棚卸減耗数量

棚卸計算法では払出しを記録しないため、期首+受入-実地数量 で求めた数量に消費した分と減った分がまとめて含まれます。両者を分けることはできません。

継続記録法をとった場合、払出数量と棚卸減耗数量は別々のものです。 減耗数量を払出数量に足して消費量としないよう注意してください。二重に数えることになります。

③ 消費単価の計算

同じ材料でも、購入した時期によって単価が違います。どの単価で払い出したことにするかを決める方法が必要です。

先入先出法

先に受け入れたものから順に払い出したと考えます。古い単価の層から順に消費し、使い切ったら次の層へ移ります。期末有高は、払出し後に残った層で構成されます。

平均法

受け入れたものを平均した単価で払い出したと考えます。一定期間の受入れをまとめて平均する方法では、次の式で単価を求めます。

平均単価 = (期首の金額 + 期間中の受入金額)÷(期首の数量 + 期間中の受入数量)

割り切れない場合の端数処理は問題文の指示に従います。

予定価格

あらかじめ決めておいた価格で払い出しを記帳する方法です。実際の単価が確定する前でも一定の予定価格で記帳し、実際価格との差を材料消費価格差異として区分できます。

消費額 = 消費単価 × 消費量

どの方法によるかは問題文で示されます。 必ず確認してください。

④ 材料消費価格差異

予定価格で記帳した場合、実際の価格と一致しないことがあります。一致しないときは、その差を材料消費価格差異として把握します。

材料消費価格差異 = (予定価格 - 実際価格)× 実際消費量

符号 呼び方 材料消費価格差異勘定
正(予定価格のほうが高い) 有利差異 貸方
負(実際価格のほうが高い) 不利差異 借方

予定価格が実際価格より高ければ、予定で記帳した消費額のほうが多かったことになります。材料勘定は予定額で減らしすぎているので、その分を戻します。

有利差異のとき

借方 貸方
材料 材料消費価格差異

不利差異のとき

借方 貸方
材料消費価格差異 材料

この差異は、最終的に売上原価に加減されます。

なお、標準原価計算で扱う価格差異とは別のものです。 ここでの差異は、実際原価計算のなかで予定価格を用いたときに生じるものです。

⑤ 棚卸減耗費

帳簿上の数量と実地棚卸の数量が合わないことがあります。この差を金額に直したものが棚卸減耗費です。

棚卸減耗費 = 適用単価 × (帳簿数量 - 実地数量)

借方 貸方
棚卸減耗費 材料

帳簿より実際が少ないので、材料勘定を減らします。

問題文で正常な範囲とされた棚卸減耗費は、間接費として製造原価に算入されます。

なお、商業簿記で学ぶ棚卸減耗損とは扱いが異なります。ここでは製造原価に算入する点を押さえてください。

⑥ 確かめ方とその限界

計算した金額が正しいかは、次の方法で確かめられます。

  • 数量と金額の両面で 期首 + 購入 = 消費 + 期末 が成り立つか
  • 帳簿有高 = 実地有高 + 棚卸減耗費 が数量と金額で成り立つか
  • 差異の符号が正なら有利・貸方、負なら不利・借方になっているか

ただし、この確かめ方では見つからない誤りがあります。

期末有高を「期首+購入-消費」で求めた場合、その金額を入れれば受払いの照合は定義上必ず成立します。逆算した金額そのものが正しいかどうかは、この確認では分かりません。

また、単価の計算方法を取り違えていても照合は成立します。先入先出法の問題で平均法の単価を使っても、消費額と期末有高の合計は受入総額に一致します。どの方法によるかを問題文に戻って確かめる必要があります。

差異についても同じです。実際価格そのものを誤って求めていれば、そこから計算した差異の符号判定は形として整ってしまいます。

⑦ 次の単元との境界

標準原価計算で扱う価格差異、正常な範囲を超える減耗の処理、減耗に備えて引当金を設ける処理は、いずれもこの単元では扱いません。

⑧ 年度注記

この単元の内容は、2026年度・2027年度のどちらにも共通して適用されます。工業簿記・原価計算の出題区分に年度による変更はありません。


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