ケース1
共通資料
当社は材料について継続記録法を採用し、消費単価の計算には先入先出法を用いている。また払出しの記帳には予定価格125円/kgを用いている。
当月の受払記録は次のとおりである。
| 日付 | 摘要 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 5月1日 | 前月繰越 | 200kg | 100円 | 20,000円 |
| 5月8日 | 受入 | 400kg | 120円 | 48,000円 |
| 5月15日 | 払出 | 450kg | — | — |
| 5月20日 | 受入 | 300kg | 125円 | 37,500円 |
| 5月25日 | 払出 | 250kg | — | — |
月末に実地棚卸を行ったところ、実地数量は185kgであった。この減耗は正常な範囲のものである。
使用可能勘定科目:材料/材料消費価格差異/棚卸減耗費
問1
先入先出法により、(1)当月の実際払出額、(2)実際の消費単価、(3)帳簿上の月末数量と月末有高を求めなさい。
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正答
- (1) 当月の実際払出額:80,500円
- (2) 実際の消費単価:115円/kg
- (3) 帳簿上の月末数量:200kg/月末有高:25,000円
解説
5月15日の払出450kg
先入先出法なので古い層から順に払い出します。
| 層 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 前月繰越 | 200kg | 100円 | 20,000円 |
| 5/8受入 | 250kg | 120円 | 30,000円 |
| 計 | 450kg | 50,000円 |
5月25日の払出250kg
5/8受入の残り150kg(@120円)から先に払い出し、足りない分を5/20受入から充てます。
| 層 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 5/8受入の残り | 150kg | 120円 | 18,000円 |
| 5/20受入 | 100kg | 125円 | 12,500円 |
| 計 | 250kg | 30,500円 |
(1) 50,000+30,500=80,500円
(2) 払出数量の合計は450+250=700kg。実際の消費単価は 80,500÷700=115円/kg
(3) 月末数量は 200+400+300-700=200kg。残っているのは5/20受入の@125円の層なので、月末有高は 200×125=25,000円
配点
(1)80,500円、(2)115円/kg、(3)200kg・25,000円がすべて示されていれば正答とする。
採点要素
- 5/15払出を 200kg@100円+250kg@120円=50,000円 と層別に算定
- 5/25払出を 150kg@120円+100kg@125円=30,500円 と層別に算定
- 実際払出額 80,500円
- 実際の消費単価 115円/kg(80,500÷700kg)
- 帳簿月末数量 200kg
- 帳簿月末有高 25,000円(200kg×125円)
部分点
YES
部分点の取扱い
採点要素 の6要素を各1点、計6点満点とする。要素3は要素1・2がともに正しい場合に加点する。要素4は実際の消費単価115円/kgが示された場合に限り加点する。総平均法の単価で計算した場合は要素1・2・3をいずれも0点とする。月末有高に@100円や@120円を用いた場合は要素6を0点とする。実地数量185kgを用いて月末数量とした場合は要素5を0点とする。
問2
(1)予定価格による当月の払出額、(2)材料消費価格差異の金額と有利差異・不利差異の別を求め、(3)材料消費価格差異を計上する仕訳を示しなさい。
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正答
- (1) 予定価格による払出額:87,500円
- (2) 材料消費価格差異:7,000円の有利差異
- (3) 仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 材料 | 7,000 | 材料消費価格差異 | 7,000 |
解説
判断根拠
3段階で判断します。
第1に、予定価格による払出額を求めます。予定価格125円に払出数量700kgを掛けて 125×700=87,500円です。掛けるのは払出数量であって、実地数量や月末数量ではありません。
第2に、差異を求めます。実際の消費単価は Q01 で求めた115円/kgです。
材料消費価格差異 = (予定価格 - 実際価格)× 実際消費量 = (125-115)×700kg = +7,000円
予定価格のほうが10円高いので値は正、すなわち有利差異です。
第3に、記入側を決めます。正なので材料消費価格差異勘定には貸方に記入します。予定で記帳した払出額87,500円は実際の80,500円より多く、材料勘定を減らしすぎているので、その分を借方に戻します。
検証
| 検証項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 別経路による差異 | 予定払出額87,500-実際払出額80,500 | 7,000(一致) |
| 符号と有利・不利 | 正 → 有利差異 | 一致 |
| 有利・不利と記入側 | 有利差異 → 材料消費価格差異は貸方 | 一致 |
| 仕訳の貸借 | 7,000=7,000 | 一致 |
| 掛けた数量 | 700kg(払出数量) | 実地数量185kgではない |
この検証の限界:別経路による確認は、実際払出額80,500円が正しいことを前提にしています。80,500円は先入先出法で層別に計算した結果なので、単価の計算方法を取り違えていれば別の金額になり、そこから求めた差異も同じ誤りを引き継ぎます。両方の経路が同じ実際払出額に依存しているため、独立した確認にはなっていません。
また符号と記入側の対応も、実際の消費単価そのものが誤っていれば意味をなしません。Q01 の層別計算に戻って確かめる必要があります。
想定される誤り:ひとつは、掛ける数量に実地数量185kgや月末数量200kgを用いることです。差異は消費した分について生じるので、払出数量700kgを掛けます。ふたつめは、差異の式を「実際価格-予定価格」と逆にして不利差異としてしまうことです。三つめは、材料消費価格差異を借方に記入してしまうことです。有利差異は貸方です。
配点
(1)87,500円、(2)7,000円の有利差異、(3)借方 材料7,000/貸方 材料消費価格差異7,000 がすべて示されていれば正答とする。
採点要素
- 予定払出額 87,500円(125円×700kg)
- 差異の式に(125-115)×700kg を用いていること
- 差異の金額 7,000円
- 有利差異である旨の明示
- 仕訳 借方 材料7,000/貸方 材料消費価格差異7,000
部分点
YES
部分点の取扱い
採点要素 の5要素を各1点、計5点満点とする。掛ける数量に185kgまたは200kgを用いた場合は要素1・2をともに0点とする。要素3は、要素2の式が正しい場合にのみ加点する。要素4を欠き金額のみを示した解答は要素4を0点とする。仕訳の貸借を逆にした場合は要素5を0点とする。要素5は、借方 材料7,000/貸方 材料消費価格差異7,000が示された場合に限り加点する。
問3
(1)棚卸減耗数量と棚卸減耗費、(2)月末の実地有高を求め、(3)棚卸減耗を認識する仕訳を示しなさい。あわせて(4)数量と金額の両面で照合を行いなさい。
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正答
- (1) 棚卸減耗数量:15kg/棚卸減耗費:1,875円
- (2) 月末の実地有高:23,125円
- (3) 仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 棚卸減耗費 | 1,875 | 材料 | 1,875 |
- (4) 数量:帳簿200kg=実地185kg+減耗15kg/金額:帳簿25,000円=実地23,125円+減耗1,875円
解説
判断根拠
3段階で判断します。
第1に、帳簿月末数量と実地数量を比べます。Q01 で求めた帳簿月末数量は200kg、実地数量は185kgなので、差は15kgです。この15kgは払出数量700kgとは別のものです。 加えて715kgとしてはいけません。
第2に、適用単価を決めます。月末に帳簿上残っているのは5/20受入の@125円の層です。減耗した15kgもこの層から生じているので、単価は125円を適用します。@100円や@120円の層はすでに払い出されており、月末には残っていません。
第3に、金額を求めます。125×15=1,875円です。実地有高は 185×125=23,125円です。
棚卸減耗費 = 適用単価 × (帳簿数量 - 実地数量) = 125×(200-185) = 1,875円
正常な範囲の減耗なので、間接費として製造原価に算入されます。
検証
| 検証項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 数量の照合 | 帳簿200kg=実地185kg+減耗15kg | 一致 |
| 金額の照合 | 帳簿25,000円=実地23,125円+減耗1,875円 | 一致 |
| 受払全体の数量照合 | 200+400+300=700+200 | 900=900 一致 |
| 受払全体の金額照合 | 20,000+48,000+37,500=80,500+25,000 | 105,500=105,500 一致 |
| 払出数量と減耗数量の分離 | 700kgに15kgを含めていない | 確認 |
| 仕訳の貸借 | 1,875=1,875 | 一致 |
この検証の限界:数量と金額の照合は、減耗を「帳簿-実地」から求めた以上定義上必ず成立します。また適用単価を誤っていても成立します。仮に@120円を適用すれば減耗費1,800円・実地有高22,200円となり、合計は24,000円で「帳簿有高」とも一致してしまいます(帳簿有高自体を誤って24,000円としていた場合)。単価が月末に残っている層のものかどうかを、受払記録に戻って確かめる必要があります。
さらに、減耗数量を払出数量に含めてしまった場合にも照合は成立します。払出715kg・帳簿月末185kgとすれば実地数量との差がゼロになり、数量の照合は通りますが棚卸減耗費が計上されません。
想定される誤り:ひとつは、減耗15kgを払出数量に加えて715kgとすることです。ふたつめは、適用単価に@100円や@120円を用いることです。月末に残っているのは@125円の層です。三つめは、帳簿月末有高25,000円をそのまま実地有高としてしまうことです。減耗分1,875円を差し引いた23,125円が実地有高です。
配点
(1)15kg・1,875円、(2)23,125円、(3)借方 棚卸減耗費1,875/貸方 材料1,875、(4)数量と金額の両方の照合がすべて示されていれば正答とする。
採点要素
- 棚卸減耗数量 15kg(帳簿200kg-実地185kg)
- 適用単価 125円(月末に残る5/20受入の層)
- 棚卸減耗費 1,875円
- 月末の実地有高 23,125円
- 仕訳 借方 棚卸減耗費1,875/貸方 材料1,875
- 数量の照合 200kg=185kg+15kg かつ 金額の照合 25,000円=23,125円+1,875円
部分点
YES
部分点の取扱い
採点要素 の6要素を各1点、計6点満点とする。減耗数量を払出数量に加えた場合は要素1を0点とし、以降の要素も0点とする。適用単価に@100円または@120円を用いた場合は要素2〜5を0点とする。要素3・4はそれぞれ1,875円・23,125円、要素5は借方 棚卸減耗費1,875/貸方 材料1,875が示された場合に限り加点する。要素6は数量と金額の両方が示された場合にのみ加点し、一方のみは0点とする。