有形固定資産の売却・買換え・除却・廃棄 仕訳問題 第6問〜第8問

問6

青森商事株式会社(会計期間は2027年4月1日から2028年3月31日まで)は、2027年9月30日に備品(取得原価 ¥1,200,000、期首の減価償却累計額 ¥840,000)を廃棄した。

  • 償却条件:定額法、年償却額 ¥120,000(廃棄日までの減価償却を計上する)
  • 当期の使用月数は6か月である
  • 見積処分価額は ¥0 である
  • 廃棄費用 ¥40,000 を普通預金口座から支払った
  • 記帳方法は間接法による

この取引の仕訳を示しなさい。

使用可能勘定科目

備品/備品減価償却累計額/減価償却費/固定資産売却益/固定資産売却損/固定資産除却損/貯蔵品/普通預金/未払金

解答を見る

解答・解説

正答

(1) 廃棄日までの減価償却

借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却費 60,000 備品減価償却累計額 60,000

(2) 廃棄

借方科目 金額 貸方科目 金額
備品減価償却累計額 900,000 備品 1,200,000
固定資産除却損 340,000 普通預金 40,000

計算過程

①当期償却額 = ¥120,000 × 6か月 ÷ 12か月 = ¥60,000
②廃棄時点の減価償却累計額 = ¥840,000 + ¥60,000 = ¥900,000
③廃棄時点の帳簿価額 = ¥1,200,000 - ¥900,000 = ¥300,000
④固定資産除却損 = ¥300,000 + ¥40,000(廃棄費用)= ¥340,000

検算

  • (1) 借方 60,000 = 貸方 60,000 ✓
  • (2) 借方 900,000 + 340,000 = 1,240,000 = 貸方 1,200,000 + 40,000 = 1,240,000 ✓
  • 貯蔵品 ¥0 + 除却損 ¥340,000 = ¥340,000 = 帳簿価額 ¥300,000 + 廃棄費用 ¥40,000 ✓

解説

見積処分価額が ¥0 であるため貯蔵品は計上しません。 処分により回収できる価値が残っていないためです。

廃棄費用は損失に加算します。廃棄時の帳簿価額 ¥300,000 に廃棄費用 ¥40,000 を加えた ¥340,000 が固定資産除却損です。

この教材の標準解答では、廃棄の場合も固定資産除却損を用います。


問7

青森商事株式会社は、期首に備品を買い換えた。次の資料にもとづき、この取引の仕訳を示しなさい。

資料

  • 旧備品:取得原価 ¥1,600,000、期首の減価償却累計額 ¥1,120,000
  • 当期の減価償却は不要である
  • 下取価額 ¥520,000(旧備品の売却価額とする)
  • 新備品の現金正価 ¥2,000,000
  • 差額 ¥1,480,000 は月末に支払うこととした
  • 記帳方法は間接法による

使用可能勘定科目

備品/備品減価償却累計額/減価償却費/固定資産売却益/固定資産売却損/固定資産除却損/貯蔵品/普通預金/未払金

解答を見る

解答・解説

正答

※ 当期の減価償却が不要なため、旧備品の売却と新備品の取得を1つの複合仕訳にまとめて示します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
備品減価償却累計額 1,120,000 備品(旧) 1,600,000
備品(新) 2,000,000 固定資産売却益 40,000
未払金 1,480,000

判断根拠

買換えは2つの取引に分解します。

取引 内容 金額
① 旧備品の売却 下取価額が売却価額 520,000
② 新備品の取得 現金正価で計上 2,000,000

下取価額 ¥520,000 は、新備品の代金の一部に充当されます。 したがって現金や預金の動きは生じず、差額 ¥1,480,000 が未払金となります。

計算過程

①旧備品の帳簿価額 = ¥1,600,000 - ¥1,120,000 = ¥480,000
②売却損益 = ¥520,000 - ¥480,000 = +¥40,000(売却益)
③新備品の取得原価 = ¥2,000,000(現金正価)
④未払金 = ¥2,000,000 - ¥520,000 = ¥1,480,000

検算

  • 借方 1,120,000 + 2,000,000 = 3,120,000
  • 貸方 1,600,000 + 40,000 + 1,480,000 = 3,120,000 ✓
  • 売却価額 ¥520,000 = 帳簿価額 ¥480,000 + 売却益 ¥40,000 ✓
  • 新備品の現金正価 ¥2,000,000 = 下取価額 ¥520,000 + 差額決済額 ¥1,480,000 ✓

想定される誤り

第1に、新備品を差額決済額 ¥1,480,000 で計上してしまう誤りです。この場合、新備品が下取価額 ¥520,000 の分だけ過小になります。新資産は現金正価で取得します。 検算「現金正価 = 下取価額 + 差額決済額」で確認できます。

第2に、旧備品の売却損益を計上しない誤りです。下取りは旧資産の売却であるため、下取価額と帳簿価額の差額が損益になります。計上しないと貸借も一致しません。

第3に、貸方の旧備品を帳簿価額 ¥480,000 としてしまう誤りです。貸方は取得原価 ¥1,600,000 の全額であり、借方で累計額を取り消します。

「新資産の現金正価 = 下取価額 + 差額決済額」を確認すると、第1の誤りに気づけます。


問8

青森商事株式会社(会計期間は2027年4月1日から2028年3月31日まで)は、2027年12月31日に備品を買い換えた。次の資料にもとづき、この取引の仕訳を示しなさい。

資料

  • 旧備品:取得原価 ¥2,000,000、期首の減価償却累計額 ¥1,200,000
  • 償却条件:定額法、年償却額 ¥200,000(買換え日までの減価償却を計上する)
  • 当期の使用月数は9か月である
  • 下取価額 ¥600,000(旧備品の売却価額とする)
  • 新備品の現金正価 ¥2,500,000
  • 差額 ¥1,900,000 は月末に支払うこととした
  • 記帳方法は間接法による

使用可能勘定科目

備品/備品減価償却累計額/減価償却費/固定資産売却益/固定資産売却損/固定資産除却損/貯蔵品/普通預金/未払金

解答を見る

解答・解説

正答

(1) 買換え日までの減価償却

借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却費 150,000 備品減価償却累計額 150,000

(2) 買換え(旧備品の売却+新備品の取得)

借方科目 金額 貸方科目 金額
備品減価償却累計額 1,350,000 備品(旧) 2,000,000
備品(新) 2,500,000 未払金 1,900,000
固定資産売却損 50,000

判断根拠

期中の買換えでは、3つの処理を順に行います。

手順 内容 金額
① 買換え日までの減価償却 150,000
② 旧備品の売却(下取価額との差額) 売却損 50,000
③ 新備品の取得(現金正価) 2,500,000

計算過程

①当期償却額 = ¥200,000 × 9か月 ÷ 12か月 = ¥150,000
②買換え時点の減価償却累計額 = ¥1,200,000 + ¥150,000 = ¥1,350,000
③買換え時点の帳簿価額 = ¥2,000,000 - ¥1,350,000 = ¥650,000
④売却損益 = ¥600,000 - ¥650,000 = △¥50,000(売却損)
⑤新備品の取得原価 = ¥2,500,000(現金正価)
⑥未払金 = ¥2,500,000 - ¥600,000 = ¥1,900,000

検算

  • (1) 借方 150,000 = 貸方 150,000 ✓
  • (2) 借方 1,350,000 + 2,500,000 + 50,000 = 3,900,000 = 貸方 2,000,000 + 1,900,000 = 3,900,000 ✓
  • 帳簿価額 ¥650,000 = 下取価額 ¥600,000 + 売却損 ¥50,000 ✓
  • 新備品の現金正価 ¥2,500,000 = 下取価額 ¥600,000 + 差額決済額 ¥1,900,000 ✓
  • 月数:当期使用9か月(2027年4月1日〜12月31日)✓

想定される誤り

第1に、買換え日までの減価償却を計上しない誤りです。期首帳簿価額 ¥800,000 と下取価額 ¥600,000 を比べると売却損が ¥200,000 となり、正しい ¥50,000 と一致しません。期中の買換えでも、まず減価償却を計上します。

第2に、新備品を差額決済額 ¥1,900,000 で計上してしまう誤りです。新備品は現金正価 ¥2,500,000 で取得します。

第3に、下取価額が帳簿価額を下回るのに売却益としてしまう誤りです。本問では下取価額 ¥600,000 が帳簿価額 ¥650,000 を下回るため売却損です。下取価額が帳簿価額を上回る場合とは符号が逆になります。

「帳簿価額 = 下取価額 + 売却損」および「現金正価 = 下取価額 + 差額決済額」の2つを確認すると、これらの誤りに気づけます。


タイトルとURLをコピーしました