学習のポイント
① 何を学ぶか
この単元では、有形固定資産を取得するときの4つの論点を学びます。
- 取得原価に含める付随費用
- 割賦購入の利息区分
- 建設仮勘定から本勘定への振替
- 資本的支出と収益的支出の区分
また、固定資産を後払いで取得したときの決済科目には2026年度と2027年度で違いがあります。
② 取得原価と付随費用
固定資産の取得原価には、購入代価だけでなく、使用できる状態にするために直接必要な費用を含めます。
たとえば備品について、
- 購入代価 900,000円
- 搬入費 40,000円
- 据付費 60,000円
なら、取得原価は、
900,000 + 40,000 + 60,000 = 1,000,000円
です。
一方、使用開始後に行う通常の維持修繕は、その固定資産の取得原価には含めません。
③ 割賦購入
割賦購入で、現金正価と割賦支払総額の差額が利息部分として示される場合、この単元では定額法で配分します。
利息総額 = 割賦支払総額 - 現金正価
1回当たりの利息 = 利息総額 ÷ 支払回数
たとえば、
- 現金正価 1,200,000円
- 割賦支払総額 1,320,000円
- 4回均等払い
なら、
- 利息総額:120,000円
- 1回当たり利息:30,000円
- 1回支払額:330,000円
- 1回当たり元本:300,000円
です。
この単元では、資産と元本債務を現金正価で認識し、各支払時に元本部分と支払利息を区分します。
備品 1,200,000 / 未払金 1,200,000
1回支払時:
未払金 300,000・支払利息 30,000 / 普通預金 330,000
利息法による配分はこの単元では扱いません。
④ 建設仮勘定
建物などを建設中で、完成前に工事代金を支払った場合は建設仮勘定に集めます。
建設中:
建設仮勘定 / 普通預金・未払金
完成して使用できる状態になったとき:
建物 / 建設仮勘定
完成前の建設仮勘定について、この単元では減価償却額の計算を行いません。減価償却は次の単元で扱います。
⑤ 資本的支出と収益的支出
固定資産の使用開始後の支出は、内容によって処理が分かれます。
資本的支出
- 資産の価値を増加させる
- 耐用年数を延長させる
と問題文で明示される支出は、固定資産の取得原価に加算します。
例:
建物 / 普通預金
収益的支出
- 通常の維持管理
- 元の状態に戻す修繕
- 価値増加や耐用年数延長を伴わない
と明示される支出は、その期の費用として処理します。
例:
修繕費 / 普通預金
問題文の条件を確認し、曖昧な印象だけで判定しません。
⑥ 2026年度の決済科目
2026年度では、固定資産の後払い購入について営業外支払手形を使う問題が出題範囲に含まれます。
例:
備品 / 営業外支払手形
未払金や営業外電子記録債務が問題文で与えられる場合は、その条件に従います。
⑦ 2027年度の決済科目
2027年度では紙媒体の手形が出題範囲から削除されています。
固定資産の後払い購入では、
- 営業外電子記録債務
- 未払金
などを使います。
例:
備品 / 営業外電子記録債務
割賦購入の利息を定額法で区分する計算そのものは、2026年度と2027年度で共通です。
⑧ 処理手順
- 購入代価と直接必要な付随費用を確認する。
- 割賦購入なら現金正価と割賦支払総額の差額を求める。
- 定額法で1回当たり利息を計算する。
- 年度に合った決済科目を使う。
- 建設中なら建設仮勘定へ集め、完成時に本勘定へ振り替える。
- 使用開始後の支出は、価値増加・耐用年数延長か、通常維持かを問題文から確認する。
⑨ 試験での使われ方
この論点は第1問の仕訳形式と第2問の勘定記入形式につながります。
取得原価、債務残高、支払利息、建設仮勘定からの振替を、取引の順序に沿って整理できるようにします。