1.このページで学ぶこと
このページでは、模擬試験を単に「点数を確認する場」にせず、弱点を発見して修正するための使い方を学びます。
学習目標は次の5つです。
- 本試験と同じ 60分を意識して模擬試験を受けられる
- 点数だけでなく、大問別の得点・所要時間を記録できる
- 誤答の原因を分類できる
- 間違えた原因に応じて、戻るべきテキスト・問題を選べる
- 復習後に同じ論点を解き直し、改善したか確認できる
模擬試験で最も重要なのは、
何点だったか
だけではありません。本当に確認したいのは、
なぜその点数になったのか
です。
試験時間が60分であること、商業簿記から3題以内で出題されること、合格基準が70%以上であることは、日本商工会議所が公表している公式の条件です。 一方、このページで例として使う 100点満点の配点や大問別の目安時間は、当サイトの模擬試験の設計であり、公式に定められたものではありません。
2.模擬試験の役割
模擬試験には、大きく2つの役割があります。
- 現在の実戦力を測る
- 次に何を復習すべきか見つける
たとえば合格基準相当の得点だったとしても、
- 知識不足で落とした
- 時間不足で落とした
- 記入を誤って落とした
では、次に行う勉強がまったく違います。
したがって、点数だけで模試を評価してはいけません。
3.○・△・× による復習分類
正解・不正解の2種類だけでは、復習すべき問題を見つけきれません。当サイトでは、復習しやすくするために次の3段階で分類することをすすめています。
| 分類 | 意味 |
|---|---|
| ○ | 根拠を説明できて正解 |
| △ | 正解したが迷った・根拠が弱い |
| × | 不正解 |
これは当サイトの復習用の分類であり、試験の採点制度ではありません。
特に 「△」を放置しないことが重要です。偶然正解した問題は、次に出題されたときも正解できるとは限りません。
4.得点・所要時間の記録
当サイトの模擬試験は100点満点で、第1問〜第3問の構成にしています。模擬試験後は、点数と一緒に次も記録します。
- 第1問に何分かかったか
- 第2問に何分かかったか
- 第3問に何分かかったか
- 見直し時間を確保できたか
C17-T05「本試験の時間配分と見直し」 では、当サイトの学習用目安として次を示しています。
| 区分 | 当サイトの目安時間 |
|---|---|
| 第1問 | 15分 |
| 第2問 | 15分 |
| 第3問 | 25分 |
| 見直し | 5分 |
この配分は当サイトの学習用の目安であり、公式に定められた時間配分ではありません。 得意・不得意には個人差があるため、この配分に必ず合わせなければならないわけではありません。 自分の解答速度に合わせて調整してください。
5.誤答原因の分類
「間違えたから、もう一度解く」だけでは、同じ原因が残ることがあります。そこで、誤答や不安な正解を原因別に分類します。これは学習管理のための分類であり、公式に定められた区分ではありません。
1.知識不足
そもそも勘定科目・処理方法・決算整理のルールを知らなかったケースです。
対策:該当テキストへ戻る
2.論点判定ミス
ルール自体は知っていたものの、
- 買掛金と未払金
- 前払金と前払費用
- 売上と売掛金の回収
など、問題文から適切な論点を選べなかったケースです。
対策:比較問題・仕訳問題へ戻る
3.計算ミス
- 差額を逆にした
- 月割計算を間違えた
- 貸倒引当金の差額補充額を間違えた
- 売上原価の計算を間違えた
などです。
対策:計算式を書き、同型問題を解き直す
4.転記・記入ミス
仕訳は正しかったのに、
- 精算表の反対側へ書いた
- 金額を写し間違えた
- 商品有高帳の数量と金額を取り違えた
などのケースです。
対策:帳簿・表への反映手順を確認する
5.時間不足
知識はあったのに、
- 1問で止まりすぎた
- 第2問に時間を使いすぎた
- 第3問を最後まで処理できなかった
というケースです。
対策:大問別の制限時間を設定した演習を行う
6.年度差の混同
自分が受験する年度では扱わない論点と、扱う論点を取り違えたケースです。
対策:問題や教材に表示された対応年度を確認し、自分が受験する年度に対応した問題へ戻る
受験年度の区切りは次のとおりです。
| 受験する試験 | 期間 |
|---|---|
| 2026年度試験 | 2027年3月31日まで |
| 2027年度試験 | 2027年4月1日から |
大切なのは制度の細かい説明を覚えることではなく、自分の受験年度に対応した教材・問題を使うという学習行動です。
6.模試結果の分析例
当サイトの100点満点の模擬試験で、次の結果だったとします。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 第1問 | 36 / 45点 |
| 第2問 | 12 / 20点 |
| 第3問 | 25 / 35点 |
| 合計 | 73 / 100点 |
| 第1問 所要時間 | 18分 |
| 第2問 所要時間 | 19分 |
| 第3問 所要時間 | 23分 |
| 見直し | 0分 |
上の45点・20点・35点という配点は、当サイトの模擬試験の設計です。 公式に大問別の配点が定められているわけではありません。
点数だけを見ると73点です。しかし、分析すると課題が見えてきます。
第1問
45点中36点なので、当サイトの模試設計では、数問分の失点に相当します。さらに18分かかっているため、当サイトの目安15分を3分超えています。
確認することは、
- 間違えた論点は何か
- 迷った問題はいくつあったか
- 1題に長く使っていないか
です。
第2問
20点中12点で、19分かかっています。点数と時間の両方に課題があります。
この場合、「第2問をもっと速く解く」と考える前に、
- 問題形式を見抜けなかったのか
- 帳簿の仕組みを理解していないのか
- 推定問題で止まったのか
を確認します。
第3問
35点中25点で、23分です。時間は大きく超えていません。失点原因が決算整理1項目の知識不足なら、その論点だけを重点的に戻る方が効率的です。
見直し0分
合計時間は、
18分 + 19分 + 23分 = 60分
です。そのため見直し時間が残りませんでした。次回は、たとえば第1問・第2問で合計5分程度短縮し、見直し時間を確保することが改善目標になります。
7.誤答から復習先を決める例
模擬試験の誤答を、原因分析から復習までつなげる例を確認します。
問題
事務用パソコン 180,000円 を購入し、代金は翌月支払うこととした。
受験者は次のように解答しました。
誤:(借)備品 180,000円 /(貸)買掛金 180,000円
正しい仕訳
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 備品 | 180,000 | 未払金 | 180,000 |
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① 取引を読む | 購入したのは販売目的の商品ではなく事務用パソコン。商品仕入ではない |
| ② 勘定科目を決める | 事業で使用するパソコン → 備品/商品売買以外の未払い → 未払金 |
| ③ 5要素を確認する | 備品 → 資産/未払金 → 負債 |
| ④ 増減・発生を判断する | 備品:資産の増加/未払金:負債の増加 |
| ⑤ 借方・貸方を決める | 資産の増加 → 借方/負債の増加 → 貸方 |
| ⑥ 金額を記入する | (借)備品 180,000 /(貸)未払金 180,000 |
この誤答をどう分析するか
借方の「備品」は正しく、貸方の「買掛金」だけを間違えています。
したがって主な原因は、借方・貸方のルール不足ではありません。
商品売買の掛け = 買掛金
商品売買以外の未払い = 未払金
の区別が不十分だった、論点判定ミスです。
この場合は、C05-T05「未収入金・未払金」 などへ戻って比較を復習します。
このように、正解を見るだけでなく、なぜ自分はその誤答を選んだのかまで分析することが重要です。
8.間違いやすいポイント
1.合格基準相当の点数を取ったら復習しない
模擬試験で合格基準相当(70%以上)の結果でも、
- △が多い
- 時間がぎりぎり
- 第3問の一部を勘で埋めた
- 年度差のある論点が不安
という状態なら、安定した実力とはいえません。模試は合否の目安だけでなく、弱点発見に使います。
2.すべての誤答を同じ方法で復習する
| 原因 | 有効な復習 |
|---|---|
| 知識不足 | テキストへ戻る |
| 計算ミス | 同型計算を繰り返す |
| 時間不足 | 60分演習・大問別演習 |
誤答原因が違えば、復習方法も変えます。
なお、「ケアレスミスだった」で分析を終わらせないでください。「転記を誤った」「金額を写し間違えた」「計算の途中で桁を落とした」「問題文の条件を読み落とした」のように、何を誤ったのかまで具体化すると、次に何を確認すべきかが決まります。
3.答えを覚えた直後に解き直して「できた」と判断する
解説を読んだ直後は、答えを覚えているため正解しやすくなります。本当に理解したか確認するには、
- なぜその勘定科目になるか説明する
- 数字を変えた同型問題を解く
- 少し時間を空けて再度解く
など、答えの記憶だけに頼らない確認が必要です。
9.模試1回の復習サイクル
当サイトの模擬試験では、次の流れで使います。
① 60分で受験
→ ② 採点
→ ③ 大問別得点を記録
→ ④ 大問別時間を記録
→ ⑤ ○・△・× を分類
→ ⑥ 誤答原因を分類
→ ⑦ 該当単元へ戻る
→ ⑧ 同型問題を解く
→ ⑨ 再挑戦する
10.復習記録の残し方
最低限、次を記録すると弱点が見えやすくなります。
| 記録項目 | 例 |
|---|---|
| 模試番号 | 模試3 |
| 問題 | 第1問・問8 |
| 判定 | × |
| 論点 | 買掛金と未払金 |
| 原因 | 論点判定ミス |
| 戻る単元 | C05-T05 |
| 再演習 | 同型仕訳3問 |
| 再確認 | 正解・根拠説明可 |
「△」も記録する
正解していても「買掛金か未払金か最後まで迷った」のであれば、復習対象です。本試験では類題の文章が少し変わるだけで不正解になる可能性があります。
模試の点数は推移で見る
1回だけの点数より、複数回の推移を見ます。
60点 → 68点 → 74点 → 81点
同時に、
- 時間超過が減っているか
- 同じ論点を繰り返し間違えていないか
- △が減っているか
も確認します。
11.まとめ
| 原因 | 主な復習方法 |
|---|---|
| 知識不足 | 該当テキストへ戻る |
| 論点判定ミス | 比較問題・仕訳問題を解く |
| 計算ミス | 計算式を確認し同型問題を解く |
| 転記・記入ミス | 帳簿・表への反映手順を復習 |
| 時間不足 | 大問別の時間制限演習 |
| 年度差の混同 | 教材に表示された対応年度を確認し、受験年度の問題へ戻る |
| △の正解 | 根拠を説明し、類題で再確認 |
模擬試験は、
受ける → 採点する → 原因を分析する → 該当単元へ戻る → 類題を解く → 再度模試で確認する
という循環で使います。
公式に定められているのは、商業簿記から3題以内・60分・合格基準70%以上という条件です。 当サイトの配点や目安時間は、練習を組み立てるための設計として使ってください。
12.次単元への接続
この単元を読み終えたら、模擬試験と弱点補強を繰り返します。
- 本試験形式:60分の模擬試験
- 第1問の復習:仕訳問題
- 第2問の復習:苦手な形式を1パターンずつ
- 第3問の復習:決算整理を含む総合演習
- 弱点補強:誤答した論点のテキストへ戻る
- 再確認:同型問題・類題を解く
- 再挑戦:別の模擬試験を60分で受ける
関連する単元
| 単元 | 内容 |
|---|---|
| C17-T01「本試験形式の全体像」 | 試験全体の構成と当サイトの演習設計 |
| C17-T02「第1問(仕訳問題)の攻略」 | 仕訳問題の解き方 |
| C17-T03「第2問(帳簿・資料問題)の攻略」 | 帳簿・資料問題の解き方 |
| C17-T04「第3問(決算総合問題)の攻略」 | 決算総合問題の解き方 |
| 前のテキスト:C17-T05「本試験の時間配分と見直し」 | 当サイトの目安時間と見直しの方法 |
| 次のテキスト:C17-T07「試験直前の総仕上げ」 | 試験直前期の最終確認 |
次の C17-T07 では、試験直前期の最終確認をどの順番で行うかを整理します。
13.2級への接続
2級でも、模擬試験や総合問題を解いたあとに誤答原因を分類する学習法は有効です。
3級のうちに、間違えた問題を解き直すだけでなく、なぜ間違えたかを特定して学習先を選ぶ習慣を身につけましょう。
この復習サイクルを作っておくと、2級で論点数や計算量が増えても、弱点を効率よく修正しやすくなります。

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