本試験形式の全体像

1.このページで学ぶこと

このページは、本試験対策セクションの地図です。新しい会計処理を学ぶページではありません。

  • 日商簿記3級の公式試験仕様を確認できる
  • 公式仕様と、当サイトの演習設計を区別できる
  • 当サイトの第1問・第2問・第3問で、それぞれ主にどのような力を確認するのかがわかる
  • これまで単元ごとに学んだ論点が、総合問題では一つにつながることを理解できる
  • 解答後の検算には複数の観点があり、貸借一致だけでは足りないことを理解できる

各大問を具体的にどう解くかは、このページの後に続く単元がそれぞれ扱います。ここでは全体の見取り図をつかんでください。


2.日商簿記3級の公式試験仕様

日本商工会議所が公表している日商簿記3級の試験仕様は、次のとおりです。

項目 公式仕様
試験科目 商業簿記
出題数 3題以内
試験時間 60分
合格基準 70%以上

出典:日本商工会議所「簿記 試験科目・注意事項」(https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class3/exam /確認日 2026年8月25日)

「3題以内」は「必ず3題」という意味ではありません。 公式に示されているのは上限であり、題数が3題で固定されると公表されているわけではありません。学習を進めるときは、この表現をそのまま覚えてください。


3.公式仕様と当サイトの演習設計を分ける

本試験対策を学ぶときは、次の3つを混ぜないことが大切です。

内容
A 公式仕様 日本商工会議所が公表している事実 商業簿記/3題以内/60分/70%以上
B 当サイトの演習設計 当サイトが演習を作るために決めた設定 第1問・第2問・第3問という3区分、45点・20点・35点の配点
C 学習上の推奨 教材として提案する解き方・考え方 論点を見抜く、処理段階を確認する、検算する

Bは当サイトの設定であって、公式仕様ではありません。 公式試験について説明するときは、必ずAだけを根拠にしてください。


4.当サイトの本試験形式の構成

当サイトでは、演習を安定して作るために、当サイトの本試験形式・模擬試験で使用する演習設計として次の構成を採用しています。

区分 当サイトの演習設計における配点
第1問 45点
第2問 20点
第3問 35点
合計 100点

この配点は当サイトの演習設計です。 公式に「第1問45点・第2問20点・第3問35点」と定められているわけではなく、将来にわたり公式試験でこの配点が固定されると考えてはいけません。当サイトの模擬試験・本試験形式の各ページにも、同じ趣旨の注記があります。

なお、大問ごとにどれだけ時間を使うかという設計は、C17-T05「本試験の時間配分と見直し」が扱います。このページでは配点の構成までを確認してください。


5.本試験形式では個別論点をつなげる

これまでの学習では、商品売買・現金預金・債権債務・固定資産・純資産・税金・費用収益・帳簿・決算整理などを、単元ごとに学んできました。

本試験形式では、どの論点の問題なのかが問題文に明示されているとは限りません。

問題文を読んで、

  • これは売掛金の回収である
  • これは備品の購入なので未払金である
  • これは決算整理として減価償却を計算する場面である

というように、自分で論点を見抜く必要があります。単元名を手がかりにできない、という点が個別問題との最大の違いです。


6.第1問で主に確認する力

当サイトの第1問で主に確認するのは、取引を正しい仕訳へ変換する力です。

取引を読み、勘定科目を決め、5要素を確認し、増減を判定して借方・貸方を決める——という判断の順序を崩さないことが土台になります。

第1問の具体的な解答手順、語群の使い方、問題ごとの見直し方法、第1問専用の時間の使い方は、C17-T02「第1問(仕訳問題)の攻略」が扱います。


7.第2問で主に確認する力

当サイトの第2問で主に確認するのは、帳簿・資料・勘定記入を読み取る力です。

仕訳だけでなく、帳簿や資料という形で示された情報を読み解き、答案として求められているものを完成させます。問題形式が変わっても、元になっているのはこれまで学んだ簿記の基本です。

勘定記入・固定資産台帳・補助簿の選択・商品有高帳・伝票・仕訳日計表・推定問題といった各形式の解き方、および「何を完成させる問題か」を判定する具体的な手順は、C17-T03「第2問(帳簿・資料問題)の攻略」が扱います。


8.第3問で主に確認する力

当サイトの第3問で主に確認するのは、決算を総合的に処理する力です。

決算整理を積み重ねて最終的な数値へつなげます。第3問では、1つの決算整理の誤りが複数の欄へ影響することがあります。

8桁精算表・財務諸表作成・決算整理後残高試算表それぞれの攻略手順、未処理事項と決算整理事項の処理順、依存関係のある決算整理の扱い、第3問専用の検算順序は、C17-T04「第3問(決算総合問題)の攻略」が扱います。


9.日常仕訳から財務諸表までの大きな流れ

簿記の記録は、次の順に積み上がっていきます。

日常仕訳 → 元帳 → 試算表 → 決算整理 → 財務諸表

これらは別々の作業ではなく、すべて同じ帳簿記録の続きを見ています。日常の仕訳が元帳へ転記され、元帳の残高が試算表に集まり、そこへ決算整理を加えたものが財務諸表になります。

本試験形式の問題は、この流れのどこかを切り取って出題されます。流れ全体が頭に入っていると、切り取られた場面が全体のどこにあたるのかを判断できます。


10.「今どの処理段階か」を確認する

問題文を読むときは、次のどの段階の話なのかを確認します。

  • 日常取引の仕訳をする段階か
  • 帳簿へ記入する段階か
  • 決算整理前か
  • 決算整理後か
  • 帳簿を締め切る段階か

同じ勘定科目が出てきても、処理段階によって求められる処理が変わることがあります。 たとえば「備品」という語が出ていても、備品を購入した日常取引なのか、決算整理として減価償却を計算する場面なのかで、答えはまったく別のものになります。


11.個別論点が一つの総合問題でつながる例

一つの取引が決算までつながる様子を、簡単な例で確認します。ここで確認したいのは処理のつながりであり、貸倒引当金の計算方法そのものを学ぶ場面ではありません。

資料

  1. 1月20日、商品 322,000円を掛けで販売した
  2. 決算日は3月31日である
  3. 決算日において、この売掛金 322,000円は未回収である
  4. 売掛金の期末残高に対して3%の貸倒引当金を設定する
  5. 決算整理前の貸倒引当金残高は0円である

1月20日(日常取引)

(借)売掛金 322,000 / (貸)売上 322,000

3月31日(決算整理)

貸倒引当金の設定額 = `322,000 × 3%` = 9,660円

(借)貸倒引当金繰入 9,660 / (貸)貸倒引当金 9,660

この例でつながっているもの

要素 段階 つながる先
売掛金 322,000 1月20日の日常取引 決算日まで残れば貸倒引当金の設定対象
貸倒引当金 9,660 決算整理 貸借対照表で売掛金の評価に関係する
貸倒引当金繰入 9,660 決算整理 損益計算書へつながる費用

日常取引・決算整理・財務諸表という複数の単元が、一つの取引の中で結び付いています。このつながりを理解していると、複数の論点が組み合わさる問題を整理しやすくなります。

なお、貸倒引当金そのものの処理は C06系および C14-T03「貸倒引当金の決算整理」が、財務諸表での表示は C15系が扱います。ここでは再学習しません。


12.検算は複数の観点で行う

答案ができたら、次のような観点で検算します。観点は一つではありません。

検算の観点 内容
仕訳 借方合計と貸方合計が一致しているか
試算表 借方合計と貸方合計が一致しているか
精算表 各欄の貸借が一致しているか
貸借対照表 資産=負債+純資産 になっているか
損益計算書 収益と費用から求めた利益が、他の欄の結果と整合しているか

それぞれの検算の具体的なやり方は、該当する単元が扱います。ここでは検算に複数の観点があることを押さえてください。


13.貸借一致だけでは発見できない誤り

貸借一致は重要な検算ですが、

貸借が一致している = 内容まで必ず正しい

という意味ではありません。

次のような誤りは、貸借が一致したままでも起こります

誤りの種類 貸借はどうなるか
借方と貸方を同じ金額で誤った 一致したまま
借方と貸方の勘定科目を両方誤った 一致したまま
取引そのものを丸ごと記帳し忘れた 一致したまま

確認ポイント

貸借一致が確認できたら検算が終わり、と考えないでください。金額が合っているかだけでなく、勘定科目が正しいか、処理すべき取引をすべて拾えているかまで確認する必要があります。だからこそ、第12節のように複数の観点で確認します。


14.この単元で扱わないこと

このページは全体像です。次の内容は、それぞれの単元が扱います。

内容 扱う単元
第1問の解答手順・語群の使い方・仕訳演習 C17-T02「第1問(仕訳問題)の攻略」
第2問の各形式の解き方・「何を完成させる問題か」の判定 C17-T03「第2問(帳簿・資料問題)の攻略」
第3問の各形式の攻略手順・決算整理の処理順・第3問の検算順序 C17-T04「第3問(決算総合問題)の攻略」
大問ごとの時間配分・後回しの基準・見直しの順序 C17-T05「本試験の時間配分と見直し」
模擬試験の受け方・誤答原因の分類・復習サイクル C17-T06「模擬試験の受け方と復習法」
直前期に何を優先するか・前日と当日の確認 C17-T07「試験直前の総仕上げ」
貸借対照表・損益計算書の役割と5要素の振り分け C01-T04「貸借対照表と損益計算書」
決算整理・精算表・財務諸表の作成そのもの C15系
訂正仕訳の考え方 C16-T01「訂正仕訳」

15.後続の学習導線

このページを読み終えたら、大問ごとの攻略単元へ進み、最後に模擬試験で通して確認します。

順序 単元
1 C17-T02「第1問(仕訳問題)の攻略」
2 C17-T03「第2問(帳簿・資料問題)の攻略」
3 C17-T04「第3問(決算総合問題)の攻略」
4 C17-T05「本試験の時間配分と見直し」
5 C17-T06「模擬試験の受け方と復習法」
6 C17-T07「試験直前の総仕上げ」

模擬試験は、点数を確認して終わりにするものではありません。誤った原因をたどって、該当する単元へ戻るという使い方をします。その具体的な進め方は C17-T06 が扱います。


16.まとめ

区分 当サイトで主に確認する力
第1問 取引を正しい仕訳へ変換する力
第2問 帳簿・資料・勘定記入を読み取る力
第3問 決算を総合的に処理する力

確認ポイント

  1. 公式仕様は 商業簿記・3題以内・60分・70%以上。「3題以内」を「必ず3題」と言い換えない。
  2. 45点・20点・35点は当サイトの演習設計であり、公式の固定配点ではない。
  3. 総合問題では、問題文から自分で論点を見抜く必要がある。
  4. 記録は 日常仕訳 → 元帳 → 試算表 → 決算整理 → 財務諸表とつながっている。
  5. 同じ勘定科目でも、処理段階によって求められる処理が変わることがある
  6. 検算には複数の観点があり、貸借一致だけでは科目の誤りや記帳もれを発見できない

17.2級への接続

2級でも、個別論点を理解したうえで、複数論点が組み合わさった総合問題へ対応するという流れは変わりません。

3級の段階で、論点を見抜く → 正しく処理する → 検算するという基本動作を身につけておくと、処理量が増える2級でもそのまま役立ちます。


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