共通前提
- 各問とも、誤った仕訳がすでに帳簿へ記録されている状態から出発する。
- 解答は訂正仕訳1本(差分)とする。誤仕訳の取消しと正しい仕訳を別々に書く形は求めない。
- 題材となる取引の基礎処理は既習とする。
共通語群(各問、この中から勘定科目を選ぶこと)
水道光熱費 / 通信費 / 売掛金 / 売上 / 仕入 / 買掛金 / 普通預金 / 現金 / 仮払消費税
重要度:A 難易度:初級 論点:勘定科目の誤り(片側は正しい)
問1(初級)
水道光熱費 ¥87,000 を普通預金口座から支払ったが、誤って「(借)通信費 87,000/(貸)普通預金 87,000」と記帳していた。訂正仕訳を行いなさい。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 水道光熱費 | 87,000 | 通信費 | 87,000 |
解説
手順1 誤仕訳と正しい仕訳を並べる
| 借方 | 貸方 | |
|---|---|---|
| 誤仕訳 | 通信費 87,000 | 普通預金 87,000 |
| 正しい仕訳 | 水道光熱費 87,000 | 普通預金 87,000 |
手順2 共通部分を消す
貸方の普通預金 87,000 は両方に同じ形で登場しているので、すでに正しい状態です。動かしません。
手順3 差分を書く
- 借方:本来計上すべき水道光熱費 87,000 を立てる
- 貸方:誤って計上した通信費 87,000 を取り消す
訂正後の検算
| 勘定 | 誤仕訳の効果 | 訂正仕訳の効果 | 合計 | 本来の正しい効果 | 一致 |
|---|---|---|---|---|---|
| 通信費 | 借方 87,000 | 貸方 87,000 | 0 | 0 | ✓ |
| 水道光熱費 | 0 | 借方 87,000 | 借方 87,000 | 借方 87,000 | ✓ |
| 普通預金 | 貸方 87,000 | 0 | 貸方 87,000 | 貸方 87,000 | ✓ |
誤りとなる処理
- 普通預金を訂正仕訳に登場させる:すでに正しく記帳されています。動かすと二重になります。
- 誤仕訳の全取消しと正しい仕訳を2本書く:普通預金が借方と貸方で打ち消し合うため、差分1本で足ります。
重要度:A 難易度:標準 論点:金額の過少記帳(不足額を同じ方向へ追加)
問2(標準)
商品 ¥163,000 を掛けで販売したが、誤って ¥125,000 として「(借)売掛金 125,000/(貸)売上 125,000」と記帳していた。訂正仕訳を行いなさい。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 38,000 | 売上 | 38,000 |
解説
手順1 方向を確認する
科目(売掛金・売上)も方向(借方・貸方)も合っています。違うのは金額だけです。
手順2 不足額を求める
不足額 = `163,000 − 125,000` = ¥38,000
手順3 同じ方向へ不足分を追加する
すでに借方に売掛金 125,000、貸方に売上 125,000 が記帳されています。同じ方向へ 38,000 を足すだけで、正しい 163,000 になります。
訂正後の検算
| 勘定 | 誤仕訳の効果 | 訂正仕訳の効果 | 合計 | 本来の正しい効果 | 一致 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売掛金 | 借方 125,000 | 借方 38,000 | 借方 163,000 | 借方 163,000 | ✓ |
| 売上 | 貸方 125,000 | 貸方 38,000 | 貸方 163,000 | 貸方 163,000 | ✓ |
誤りとなる処理
- 正しい金額 163,000 をもう一度そのまま記帳する:すでに 125,000 が記帳済みなので、合計 288,000 になってしまいます。
- 差額を反対方向へ書く:不足しているので、同じ方向へ追加します。
重要度:A 難易度:標準 論点:金額の過大記帳(超過額を反対方向へ戻す)
問3(標準)
商品 ¥147,000 を掛けで仕入れたが、誤って ¥178,000 として「(借)仕入 178,000/(貸)買掛金 178,000」と記帳していた。訂正仕訳を行いなさい。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 31,000 | 仕入 | 31,000 |
解説
手順1 方向を確認する
科目も方向も合っています。違うのは金額だけで、今回は多すぎます。
手順2 超過額を求める
超過額 = `178,000 − 147,000` = ¥31,000
手順3 超過分だけを反対方向へ戻す
- 借方に多すぎる仕入 31,000 → 貸方で戻す
- 貸方に多すぎる買掛金 31,000 → 借方で戻す
訂正後の検算
| 勘定 | 誤仕訳の効果 | 訂正仕訳の効果 | 合計 | 本来の正しい効果 | 一致 |
|---|---|---|---|---|---|
| 仕入 | 借方 178,000 | 貸方 31,000 | 借方 147,000 | 借方 147,000 | ✓ |
| 買掛金 | 貸方 178,000 | 借方 31,000 | 貸方 147,000 | 貸方 147,000 | ✓ |
問2との違い
| 問2 | 問3 | |
|---|---|---|
| 誤りの型 | 過少(少なく記帳) | 過大(多く記帳) |
| 差額 | 正しい金額 − 記帳額 | 記帳額 − 正しい金額 |
| 訂正の方向 | 同じ方向へ追加 | 反対方向へ戻す |
誤りとなる処理
- 誤った 178,000 を全額反対方向へ戻す:記帳がゼロになり、正しい 147,000 が残りません。
- 差額を同じ方向へ追加する:多すぎるものをさらに増やすことになります。
重要度:A 難易度:標準 論点:借方・貸方の完全逆記(元の金額の2倍)
問4(標準)
買掛金 ¥62,000 を普通預金口座から支払ったが、誤って「(借)普通預金 62,000/(貸)買掛金 62,000」と、借方・貸方を逆に記帳していた。訂正仕訳を行いなさい。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 124,000 | 普通預金 | 124,000 |
解説
手順1 科目ごとに現在と本来を比べる
正しい仕訳は「(借)買掛金 62,000/(貸)普通預金 62,000」です。
| 勘定 | 現在(誤仕訳) | 本来 | 必要な訂正 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 貸方 62,000 | 借方 62,000 | 貸方分の打消し 62,000 + 借方分の計上 62,000 = 借方 124,000 |
| 普通預金 | 借方 62,000 | 貸方 62,000 | 借方分の打消し 62,000 + 貸方分の計上 62,000 = 貸方 124,000 |
手順2 2倍になる理由
`62,000 × 2` = ¥124,000
打ち消す分と立て直す分が同じ方向に重なるため、元の金額の2倍になります。
訂正後の検算
| 勘定 | 誤仕訳の効果 | 訂正仕訳の効果 | 合計 | 本来の正しい効果 | 一致 |
|---|---|---|---|---|---|
| 買掛金 | 貸方 62,000 | 借方 124,000 | 借方 62,000 | 借方 62,000 | ✓ |
| 普通預金 | 借方 62,000 | 貸方 124,000 | 貸方 62,000 | 貸方 62,000 | ✓ |
確認ポイント:2倍になるのは、同じ2つの勘定・同じ金額を借方と貸方で完全に逆向きに記帳していた場合です。片側だけが違う場合や金額が違う場合には当てはまりません(02_統合一問一答 問5)。
誤りとなる処理
- 62,000 のまま訂正する:誤記帳を打ち消しただけで、正しい仕訳が立ちません。
- すべての訂正で2倍にする:完全逆記に限った話です。
重要度:A 難易度:応用 論点:記帳漏れ(抜けている部分だけを追加する)
問5(応用)
商品 ¥311,000 を掛けで仕入れ、その引取運賃 ¥44,000 を現金で支払ったが、引取運賃の記帳が漏れていた(掛仕入 311,000 のみ「(借)仕入 311,000/(貸)買掛金 311,000」と記帳済み)。必要な仕訳を行いなさい。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 44,000 | 現金 | 44,000 |
解説
手順1 現在と本来を比べる
本来行うべき仕訳は次のとおりです(引取運賃は仕入原価に含めます)。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕入 355,000 | 買掛金 311,000 現金 44,000 |
本来の仕入 = `311,000 + 44,000` = ¥355,000
手順2 抜けている部分だけを追加する
すでに記帳済みなのは掛仕入 311,000 の部分です。誤った記録は1つもなく、足りないだけです。
したがって、打ち消す仕訳は不要で、漏れていた 44,000 の部分をそのまま追加します。
訂正後の検算
| 勘定 | 記帳済みの効果 | 追加仕訳の効果 | 合計 | 本来の正しい効果 | 一致 |
|---|---|---|---|---|---|
| 仕入 | 借方 311,000 | 借方 44,000 | 借方 355,000 | 借方 355,000 | ✓ |
| 買掛金 | 貸方 311,000 | 0 | 貸方 311,000 | 貸方 311,000 | ✓ |
| 現金 | 0 | 貸方 44,000 | 貸方 44,000 | 貸方 44,000 | ✓ |
誤りとなる処理
- 記帳済みの「仕入 311,000/買掛金 311,000」を取り消してから全額を記帳し直す:記帳済みの部分は正しいので、取り消す必要はありません。
- 仕入を 355,000 として追加する:すでに 311,000 が記帳済みなので、合計 666,000 になってしまいます。
- 買掛金を動かす:掛けで仕入れた 311,000 の部分は正しく記帳されています。
確認ポイント:「訂正仕訳では必ず誤仕訳を反対仕訳する」とはかぎりません。 記帳漏れでは、打ち消すべき誤った記録が存在しません。
重要度:A 難易度:応用 論点:内訳・配分の誤り(相手科目は正しく、内訳だけを直す)
問6(応用)
商品を掛けで仕入れ、請求書には本体 ¥470,000・消費税 ¥47,000・合計 ¥517,000 と記載されていた。しかし誤って合計額により「(借)仕入 517,000/(貸)買掛金 517,000」と記帳していた。訂正仕訳を行いなさい。なお、消費税は税抜方式による。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仮払消費税 | 47,000 | 仕入 | 47,000 |
解説
手順1 誤仕訳と正しい仕訳を並べる
| 借方 | 貸方 | |
|---|---|---|
| 誤仕訳 | 仕入 517,000 | 買掛金 517,000 |
| 正しい仕訳 | 仕入 470,000 仮払消費税 47,000 |
買掛金 517,000 |
手順2 共通部分を消す
貸方の買掛金 517,000 は両方で一致しています。支払うべき金額そのものは正しく記帳されているので、動かしません。
手順3 借方の内訳だけを直す
仕入の過大分 = `517,000 − 470,000` = ¥47,000
- 貸方:仕入に含めてしまった 47,000 を取り消す
- 借方:計上漏れの仮払消費税 47,000 を立てる
訂正後の検算
| 勘定 | 誤仕訳の効果 | 訂正仕訳の効果 | 合計 | 本来の正しい効果 | 一致 |
|---|---|---|---|---|---|
| 仕入 | 借方 517,000 | 貸方 47,000 | 借方 470,000 | 借方 470,000 | ✓ |
| 仮払消費税 | 0 | 借方 47,000 | 借方 47,000 | 借方 47,000 | ✓ |
| 買掛金 | 貸方 517,000 | 0 | 貸方 517,000 | 貸方 517,000 | ✓ |
誤りとなる処理
- 買掛金を訂正仕訳に登場させる:合計額は正しく記帳されています。
- 仕入と仮払消費税をあらためて全額記帳する:仕入が二重になります。直すのは内訳のずれ 47,000 だけです。
確認ポイント:本問は内訳の金額が問題文に示されているので、消費税額を計算する必要はありません。税抜方式そのものの処理は C08-T05(消費税(税抜方式)) が扱います。

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