この単元で身につけること
このUnitでは、税金の計算に入る前に、民法上の「贈与」がどのような契約かを整理します。
学習後には、贈与契約の成立、書面によらない贈与の解除、負担付贈与、死因贈与を判断できることを目標とします。
贈与税の基礎控除や税率はF02で扱うため、F01では民法上の契約関係に集中します。
全体像
贈与は、贈与者が財産を無償で相手方に与える意思を示し、受贈者が受諾することで効力を生じる契約です。
贈与者の一方的な意思だけでは足りず、受贈者の受諾が必要です。
また、書面によらない贈与には解除に関する特別なルールがあります。受贈者に一定の負担を課す負担付贈与や、贈与者の死亡で効力を生じる死因贈与も区別します。
用語の説明
- 贈与者:財産を無償で与える側。
- 受贈者:贈与を受ける側。
- 受諾:受贈者が贈与を受ける意思を示すこと。
- 書面によらない贈与:贈与契約書等の書面によらず成立した贈与。
- 負担付贈与:受贈者に一定の給付・負担をさせる内容を伴う贈与。
- 死因贈与:贈与者の死亡によって効力を生じる贈与。
- 遺贈:遺言によって財産を与える行為。
基本ルール
贈与契約の成立
贈与は、当事者の一方が財産を無償で与える意思を表示し、相手方が受諾することで効力を生じます。
したがって、贈与者が「財産を与えたい」と考えただけでは契約は成立しません。贈与者の意思表示と受贈者の受諾の両方を確認します。
書面によらない贈与
書面によらない贈与は、各当事者が解除できます。
ただし、履行が終わった部分については解除できません。
例えば、口頭で複数回に分けて財産を与える約束をし、その一部だけ履行済みの場合、書面によらない贈与の解除ルールは履行済み部分には及びません。
FP3級では、履行済み部分と未履行部分を区別する基本だけを押さえ、判例の詳細には広げません。
書面による贈与
書面による贈与には、民法550条の「書面によらない贈与」に認められる任意解除のルールは適用されません。
試験ではまず、書面の有無を確認し、書面によらない贈与なら履行が終わった部分かどうかを確認します。
負担付贈与
負担付贈与は、受贈者に一定の給付や負担をさせる内容を伴う贈与です。
単に財産を無償で与えるだけではなく、受贈者にも一定の負担がある点が特徴です。
民法では、その性質に反しない限り双務契約に関する規定を準用しますが、FP3級では「受贈者に一定の負担を課す贈与」という基本を優先します。
死因贈与
死因贈与は、贈与者の死亡によって効力を生じる贈与です。
死因贈与は、贈与者と受贈者の合意によって成立する契約です。
一方、遺贈は遺言による単独行為です。どちらも死亡をきっかけに財産が移ることがありますが、契約か遺言による単独行為かで区別します。
重要な数字
このUnitで固定暗記する金額・税率はありません。
覚える中心は次の4点です。
- 贈与:贈与意思+受諾
- 書面によらない贈与:履行済み部分を除き解除可能
- 負担付贈与:受贈者に一定の負担
- 死因贈与:贈与者死亡で効力を生じる契約
具体例
AさんがBさんに「この時計を無償であげる」と申し出て、Bさんが「受け取ります」と受諾した場合、贈与契約は成立します。
Aさんが心の中でBさんに財産を与えようと考えただけで、Bさんが受諾していなければ、贈与契約の成立要件を満たしません。
また、口頭の贈与でまだ履行が終わっていない部分については、書面によらない贈与の解除ルールを検討します。
計算のしかた
F01に計算問題はありません。
判断は次の順序で行います。
- 贈与者の無償で与える意思表示があるか。
- 受贈者が受諾しているか。
- 書面によらない贈与なら、履行済みか未履行か。
- 受贈者に一定の負担を課しているか。
- 贈与者の死亡で効力を生じる契約か。
よくある間違い
- 贈与者の一方的な意思だけで契約が成立すると考える。
- 受贈者の受諾が不要と考える。
- 書面によらない贈与は一切解除できないと考える。
- 書面によらない贈与なら履行済み部分も解除できると考える。
- 負担付贈与を、受贈者に負担のない贈与と考える。
- 死因贈与と遺贈を同じ成立方法と考える。
- 民法上の贈与と贈与税計算を混在させる。
試験での出題のされ方
F01の4 Question_SlotはすべてPast_Exam_FrequencyがUNVERIFIEDです。
UNVERIFIEDは「当該Question_Slotへ過去問頻度を直接付与していない」管理状態であり、出題なし・低頻度を意味しません。
F01には直接接続されたExam_Slot_IDがないため、観測系列5列も全Slotで空欄にします。
まとめ
- 贈与は、無償で与える意思表示と受贈者の受諾で効力を生じる契約。
- 書面によらない贈与は、履行済み部分を除き各当事者が解除できる。
- 負担付贈与は、受贈者に一定の負担を課す贈与。
- 死因贈与は、贈与者の死亡で効力を生じる契約。
- 死因贈与は契約、遺贈は遺言による単独行為。
- 贈与税計算はF02で扱う。
練習のしかた
- 贈与契約の成立に必要な意思を2つ答える。
- 書面によらない贈与で履行済み部分を解除できるか判断する。
- 受贈者に一定の負担を課す贈与の名称を答える。
- 贈与者の死亡で効力を生じる契約の名称を答える。
- 死因贈与と遺贈の違いを説明する。
FP2級へのつながり
FP2級では、書面によらない贈与の解除、負担付贈与への双務契約規定の準用、死因贈与への遺贈規定の準用などを詳しく扱います。
FP3級では、贈与の成立と代表的な類型を正確に区別することを優先します。

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