FP技能士3級 不動産 不動産の見方

この単元で身につけること

このUnitでは、不動産を判断するときに使う基本資料と価格情報を整理します。土地・建物・区分所有建物等の基本類型、不動産登記、法務局の図面、現地調査、公示価格・基準地価格、相続税路線価、固定資産税評価額、不動産鑑定評価の3手法、都市計画図を区別できることを目標とします。

不動産では、1つの資料だけで権利・境界・価格・利用規制のすべてが分かるわけではありません。「何を確認したいか」に応じて資料を選び、必要に応じて現地確認を組み合わせます。

学習では、資料名を単独で暗記するのではなく、「所有権を確認したい」「境界点を確認したい」「公的価格の基準日を確認したい」「用途地域を確認したい」という目的から、適切な資料を選べる状態を目指します。

全体像

不動産の確認は、大きく「権利」「土地・建物の形状や現況」「価格」「利用規制」の4つの視点に分けると整理しやすくなります。

権利関係は登記記録、土地の位置・形状・隣接関係は公図等、地積や境界点は地積測量図、実際の接道・境界・利用状況は現地調査で確認します。

価格についても、地価公示、都道府県地価調査、相続税路線価、固定資産税評価額は目的と基準が異なります。不動産鑑定評価では原価法・取引事例比較法・収益還元法という代表的な3手法があります。

実技では、複数の資料が並んでも、まず「何を読み取る問題か」を決めます。登記記録の問題なら甲区・乙区、公的価格なら基準日、鑑定評価なら価格を求める考え方に注目します。資料に書かれていない専門的な推測を追加しないことも大切です。

また、法務局資料と都市計画図は役割が異なります。登記記録や登記関連図面は権利・物理的状況・地積等の確認に用い、都市計画図は用途地域・建蔽率・容積率等の行政上の都市計画情報を確認します。

用語の説明

  • 土地・建物・区分所有建物:FP3級で扱う不動産の基本類型。
  • 登記記録:不動産の物理的状況や権利関係を記録する公的記録。
  • 表題部:土地・建物の物理的状況等を記録する部分。
  • 権利部甲区:所有権に関する事項を記録する部分。
  • 権利部乙区:抵当権等、所有権以外の権利に関する事項を記録する部分。
  • 公図・地図:土地の位置・形状・隣接関係等の確認に用いる法務局備付図面。
  • 地積測量図:土地の地積や境界点等の確認に用いる登記関連図面。
  • 都市計画図:用途地域・建蔽率・容積率等の都市計画情報を確認する資料。

「登記」「図面」「現地」「価格資料」「都市計画図」は役割が異なります。例えば抵当権は登記記録で確認し、用途地域は都市計画図で確認します。

基本ルール

不動産登記

不動産物権変動は、登記を備えることで第三者に対抗できるのが基本です。一方、登記内容を信頼しただけで権利取得が当然に保護される「公信力」は原則としてありません。

登記記録では、表題部・甲区・乙区の役割を分けます。表題部には土地・建物の物理的状況等、甲区には所有権、乙区には抵当権等の所有権以外の権利が記録されます。

実技で登記事項証明書の抜粋が示されたら、最初に「表題部か権利部か」を確認し、権利部なら甲区か乙区かを見ます。所有者を探すときに乙区だけを見たり、抵当権を表題部だけで判断したりしないようにします。

図面と現地調査

公図等は土地の位置・形状・隣接関係等の確認に使います。地積測量図は地積・境界点等の確認に使います。

ただし、図面資料だけで現況のすべてを確認できるわけではありません。接道、境界、利用状況などは現地確認も重要です。資料上の表示と実際の利用状況が同じとは限らないため、資料と現地を組み合わせて考えます。

「公図があるから現地確認は不要」「地積測量図があれば接道状況も必ず分かる」といった断定は避けます。それぞれの資料には確認しやすい事項があり、現況確認には別の手段も必要です。

地価公示と基準地価格

地価公示は、国土交通省土地鑑定委員会が標準地の正常な価格を公示する制度で、基準日は毎年 1月1日 です。

都道府県地価調査の基準地価格は、基準日が毎年 7月1日 です。名称と基準日を入れ替えないことが重要です。

公的価格の資料では、価格額だけでなく「誰が公表するか」「基準日はいつか」「どの価格制度か」を確認します。地価公示と基準地価格は似た名称の資料として出されやすいため、1月1日と7月1日を対応させます。

路線価と固定資産税評価額

相続税路線価は、相続税・贈与税の土地評価に用いられ、基準日は 1月1日 です。

固定資産税評価額は、土地・家屋について原則 3年ごと に評価替えが行われます。

FP3級の単純な路線価方式では、基本式を 路線価×地積 として確認します。実際の相続税評価では各種補正がありますが、本Unitでは問題文で補正を考慮しないとした単純計算に限定します。

地価公示・路線価・固定資産税評価額はすべて不動産に関する価格情報ですが、同じ目的で使う数字ではありません。相続税路線価を固定資産税の評価替えと混同したり、固定資産税評価額を相続税路線価として計算したりしないことが重要です。

不動産鑑定評価

代表的な3手法を区別します。

  • 原価法:再調達原価を基礎に減価修正等を行って価格を求める。
  • 取引事例比較法:類似不動産の取引事例を比較・補正して価格を求める。
  • 収益還元法:対象不動産が将来生み出す純収益等を基に価格を求める。

FP3級では、各手法の基本的な考え方を事例から識別できることを優先します。建物の再調達原価が中心なら原価法、類似物件の実際の取引が中心なら取引事例比較法、賃貸収益等が中心なら収益還元法、という読み分けが基本です。

重要な数字

項目 基本
地価公示の基準日 1月1日
都道府県地価調査の基準日 7月1日
相続税路線価の基準日 1月1日
固定資産税評価額の評価替え 原則3年ごと
路線価方式の基礎 路線価×地積

公示価格と路線価はどちらも1月1日が関係しますが、利用目的は同じではありません。数字だけでなく「何の価格か」を一緒に確認します。

具体例

路線価が1㎡当たり220,000円、地積が150㎡で、補正を考えない単純例なら、

220,000円×150㎡=33,000,000円

が基礎的な評価額です。

また、賃貸不動産が将来生み出す純収益を基に価格を考える場面では、収益還元法の考え方が中心になります。類似物件の取引事例を比較するなら取引事例比較法、再調達原価を基礎に考えるなら原価法というように、目的と手法を対応させます。

登記記録の例では、甲区に所有者、乙区に抵当権が記録されているなら、所有権と担保権を別の欄から読み取ります。表題部の地積だけを見て、誰が所有者かまで判断しないようにします。

計算のしかた

E01で独立した計算をするのは、路線価×地積の単純計算です。

  1. 路線価の単位を確認する。
  2. 地積を㎡で確認する。
  3. 路線価×地積を計算する。
  4. 問題文が「補正を考慮しない」としている場合、奥行価格補正等を勝手に追加しない。

図面・登記・公的価格の問題では、計算より資料の目的を読み取ることが中心です。実技で複数資料が並んだときも、計算式に入る前にどの資料のどの項目を使うかを決めます。

よくある間違い

  • 甲区と乙区を逆にする。
  • 登記に原則として公信力があると考える。
  • 公図だけで境界や現況のすべてが確定すると考える。
  • 地積測量図と都市計画図の用途を混同する。
  • 地価公示1月1日と基準地価格7月1日を逆にする。
  • 相続税路線価と固定資産税評価額を同じ目的の価格と考える。
  • 固定資産税評価額を毎年必ず全面評価替えすると考える。
  • 原価法・取引事例比較法・収益還元法の考え方を入れ替える。
  • 都市計画図で所有権や抵当権を確認できると考える。

試験での出題のされ方

E01では、S002・S008がEX-E-001に接続し、S005・S007・S011がEX-E-012に接続します。いずれも2024~2026 CBT公表分で3/3、Frequency_Rate 100、Past_Exam_Frequency Aとして管理されています。

S001・S003・S004・S006・S009・S010・S012はUNVERIFIEDです。UNVERIFIEDは当該Question_Slotへ過去問頻度を直接付与していない管理状態であり、出題なし・低頻度を意味しません。

EX-E-012は「不動産資料読解」という広い実技能力枠です。3/3・100という値を、公示価格・登記・鑑定評価の各サブ論点が毎回出題されたという意味へ読み替えません。

実技対策では、過去問の人物名・金額・資料配置を再現するのではなく、「登記のどこを見るか」「どの公的価格か」「どの鑑定手法か」という能力だけを独自の資料で練習します。

まとめ

  • 不動産の基本類型は土地・建物・区分所有建物等。
  • 登記は第三者対抗の基本手段だが、原則公信力はない。
  • 表題部は物理的状況、甲区は所有権、乙区は所有権以外の権利。
  • 公図等と地積測量図は目的が異なり、現地調査も重要。
  • 地価公示は1月1日、基準地価格は7月1日。
  • 相続税路線価は相続税・贈与税の土地評価に用いる。
  • 固定資産税評価額は原則3年ごとに評価替え。
  • 単純な路線価評価は路線価×地積。
  • 鑑定評価の代表3手法は原価法・取引事例比較法・収益還元法。
  • 都市計画図では用途地域・建蔽率・容積率等を確認する。

練習のしかた

  1. 甲区と乙区を説明する。
  2. 登記の対抗力と公信力を区別する。
  3. 公図等と地積測量図の目的を区別する。
  4. 現地調査で確認する代表事項を挙げる。
  5. 公示価格と基準地価格の基準日を答える。
  6. 路線価×地積を計算する。
  7. 3つの鑑定評価手法を事例から選ぶ。
  8. 都市計画図で確認する代表情報を答える。

FP2級へのつながり

FP2級では、価格形成要因、鑑定評価基準、図面・登記のより細かな読み方、相続税評価の各種補正、都市計画・建築規制などを詳しく扱います。

FP3級では、まず資料の目的・代表数値・基本的な読み方を正確に対応させることを優先します。

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