この単元で身につけること
このUnitでは、ポートフォリオ運用の基本を学びます。目標は次のとおりです。
- 期待収益率と標準偏差の意味を区別できる
- 相関係数の範囲(-1~+1)と分散効果の関係を判断できる
- 構成比と各資産の期待収益率からポートフォリオ期待収益率を計算できる
- アセットアロケーションとリバランスの役割を説明できる
- ドルコスト平均法の仕組みと平均購入単価を計算できる
全体像
複数の資産を組み合わせて運用することをポートフォリオ運用といいます。リターン(期待収益率)とリスク(標準偏差)を物差しに、分散投資でリスクの低減を図り、資産配分(アセットアロケーション)を管理します。長期・積立・分散は資産形成の基本ですが、収益を保証する方法ではない点に注意が必要です。
用語の説明
- 期待収益率:各シナリオの収益率×各発生確率の合計
- 標準偏差:収益率のばらつきを表す代表的なリスク尺度。大きいほど値動きのばらつきが大きい
- 相関係数:2資産の値動きの関係を示す指標。-1~+1の範囲の値をとる
- アセットアロケーション:資産をどのような配分で組み合わせるかという資産配分
- リバランス:市場変動でずれた資産配分を目標配分へ戻す運用管理
- ドルコスト平均法:価格が変動する商品を一定額ずつ定期的に購入する方法
- 平均購入単価:総投資額÷総購入数量
基本ルール
- 期待収益率は「各シナリオの収益率×発生確率の合計」、標準偏差は「ばらつき=リスクの大きさ」を表します。2つの物差しの役割を混同しないことが第一歩です
- 相関係数は-1~+1の範囲をとり、他の条件が同じなら、相関係数が低い(-1に近い)組合せほど一般に分散効果が高くなります
- ポートフォリオ期待収益率は「各資産の構成比×各資産の期待収益率の合計」(加重平均)で求めます
- リバランスは、値動きでずれた配分を目標へ戻す管理であり、損失を避けることを保証するものではありません
- ドルコスト平均法は一定「額」での定期購入です。価格が低いときに多く、高いときに少なく買うことになりますが、収益が保証されるわけではありません
重要な数字
| 項目 | 式・数値 |
|---|---|
| 期待収益率 | 各シナリオの収益率×各発生確率の合計 |
| 相関係数の範囲 | -1~+1 |
| ポートフォリオ期待収益率 | 各資産の構成比×各資産の期待収益率の合計 |
| 平均購入単価 | 総投資額÷総購入数量 |
具体例
- 例1(分散効果):他の条件が同じなら、相関係数+0.8の2資産より、相関係数-0.5の2資産を組み合わせた方が、一般に分散効果は高い。
- 例2(リバランス):値上がりで目標配分からずれた場合、目標へ戻す調整がリバランスである。
- 例3(ドルコスト平均法):毎月一定額で投資信託を購入すると、基準価額が低い月には多くの口数を、高い月には少ない口数を購入することになる。
計算のしかた
ポートフォリオ期待収益率
- 式:各資産の構成比×各資産の期待収益率の合計
- 例:資産X30%(期待収益率2.0%)、資産Y70%(期待収益率3.0%)の場合。0.3×2.0%+0.7×3.0%=0.6%+2.1%=2.7%
- 単位:%。本例では端数は生じない
平均購入単価
- 式:総投資額÷総購入数量
- 例:総投資額24,000円で総購入数量8単位の場合。24,000円÷8単位=3,000円/単位
- 単位:円/単位。本例では端数は生じない
よくある間違い
- 期待収益率と標準偏差の役割の混同。収益の見込み=期待収益率、ばらつき=標準偏差
- 相関係数の範囲を0~+1と誤る。正しくは-1~+1
- 「相関係数が+1に近いほど分散効果が高い」とする方向の誤り。低い(-1に近い)ほど一般に高い
- ポートフォリオ期待収益率を単純平均で計算する誤り。構成比による加重平均で求める
- ドルコスト平均法を「一定数量ずつの購入」と誤る。一定額ずつの購入である
- 分散投資・ドルコスト平均法・リバランスを収益や損失回避を保証する方法と考える誤り
試験での出題のされ方
2024~2026年のCBT公表分(3セット)の観測では、EX-C-008(ポートフォリオ、三答択一形式)とEX-C-013(実技:金融商品計算)がいずれも3/3回観測、頻度Aです。期待収益率・相関係数・分散効果と、加重平均・積立購入の計算が中心です。
一方、ドルコスト平均法の学科知識とリバランスのPast_Exam_FrequencyはUNVERIFIED(未検証)です。UNVERIFIEDは当該Question_Slotへ過去問頻度を直接付与していない管理状態を示す表示であり、出題可能性の否定ではありません。いずれも公式試験範囲の基本論点として学習しておきましょう。
まとめ
- 期待収益率=収益率×確率の合計、標準偏差=ばらつきのリスク尺度
- 相関係数は-1~+1。低いほど一般に分散効果が高い
- ポートフォリオ期待収益率=構成比×期待収益率の合計(加重平均)
- リバランス=ずれた配分を目標へ戻す管理
- ドルコスト平均法=一定額の定期購入。平均購入単価=総投資額÷総購入数量
- 長期・積立・分散は基本だが、収益を保証するものではない
練習のしかた
- 三答択一(MC3)4問:期待収益率と標準偏差、相関係数と分散効果、ドルコスト平均法、リバランス
- 計算問題(CALC)1問:構成比と期待収益率からポートフォリオ期待収益率を計算
- 実技事例(CASE)1問:一定額積立の購入口数と平均購入単価の計算
05_Numbersの式を確認してから取り組んでください。
FP2級へのつながり
FP2級では、ポートフォリオ理論のより詳細な内容が扱われます。FP3級では、期待収益率・標準偏差・相関係数の意味、加重平均の計算、ドルコスト平均法とリバランスの基本を押さえることが土台になります。

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