宅地建物取引士 権利関係 択一式(初級) 第27問〜第29問|物権・登記

重要度:A 論点:二重譲渡と背信的悪意者

問27:Aが自己所有の甲土地をBに売却した後、さらにCにも売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  • A:Cが先に所有権移転登記を備えた場合、CがBへの売却の事実を知っていたとしても、原則としてCはBに対して所有権を主張できる。
  • B:CはBへの売却の事実を知っていた場合、登記を備えてもBに対して所有権を主張することは一切できない。
  • C:Bは、登記を備えていなくても、後から現れたCに対して常に所有権を主張できる。
【第27問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:正しい。単なる悪意者は177条の「第三者」に含まれ、先に登記を備えれば優先する。【試験対策】二重譲渡は「登記の早い者勝ち」が原則で、単なる悪意はセーフ、背信的悪意(欠缺主張が信義則違反)だけがアウト。「悪意なら負ける」と単純化した肢が定番のひっかけ。
・B:誤り。「一切できない」のは背信的悪意者の場合。単なる悪意者は登記を備えれば主張できる。全称表現+概念の混同。
・C:誤り。先に買っただけでは対抗できない。意思主義(176条)と対抗要件主義(177条)の場面の混同を誘うひっかけ。


重要度:A 論点:取消しと登記

問28:AはBの詐欺により甲土地をBに売却し、その後この売買契約を取り消した。取消し後に、BがCに甲土地を転売した場合に関する次の記述のうち、判例によれば、正しいものはどれか。

  • A:Cが詐欺の事実について善意無過失であれば、Cは登記がなくてもAに所有権を対抗できる。
  • B:AとCの関係は対抗関係となり、先に登記を備えた方が優先する。
  • C:取消しにより契約は遡って無効となるため、Cは登記を備えてもAに対抗できない。
【第28問:正解と解説】

正解:B
【解説】
・A:誤り。96条3項(善意無過失の第三者保護)が適用されるのは「取消し前」に現れた第三者。取消し後の第三者には適用されない。前後の場面の入れ替え。
・B:正しい。取消し後の第三者との関係は177条の対抗関係で処理される(判例)。【試験対策】「取消しの前か後か」で構成が変わる=前:96条3項(善意無過失)/後:177条(登記の先後)。時系列を図にして、第三者の登場が取消しの前か後かをまず確定させるのが解法の型。
・C:誤り。遡及的無効を貫くと取引安全を害するため、判例は取消し後の第三者との関係を対抗問題として処理する。理論を機械的に適用させるひっかけ。


重要度:A 論点:共有

問29:A・B・Cが各3分の1の持分で甲建物を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  • A:甲建物の不法占拠者に対し、共有者全員への明渡しを求める請求は、Aが単独で行うことができる。
  • B:甲建物の形状・効用の著しい変更を伴わない軽微な変更は、Aが単独で行うことができる。
  • C:甲建物の大規模な増築(重大な変更)は、持分価格の過半数の同意があれば行うことができる。
【第29問:正解と解説】

正解:A
【解説】
・A:正しい。共有物を権原なく占有する第三者に対し、共有者全員への明渡しを求めることは保存行為であり、各共有者が単独で行うことができる。【試験対策】共有の行為3分類=保存(単独)/管理・軽微変更(持分価格の過半数)/重大変更(全員同意)。令和3年改正で「軽微変更=過半数」が明文化された点は改正論点として狙われやすい。
・B:誤り。軽微変更は単独ではできず、持分価格の過半数の決定が必要。改正で緩和されたのは「全員同意→過半数」であり、「単独」までは緩和されていない。
・C:誤り。重大な変更(形状・効用の著しい変更)は共有者全員の同意が必要。過半数で足りるとするのは軽微変更との入れ替え。


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