ケース1
共通資料
当工場は製造間接費について公式法変動予算を採用し、2分法により差異を分析している。当期の資料は次のとおりである。
| 項目 | 金額・数量 |
|---|---|
| 変動費予算(年間) | 2,400,000円 |
| 固定費予算(年間) | 3,600,000円 |
| 基準直接作業時間 | 20,000時間 |
| 当期の実際直接作業時間 | 18,000時間 |
| 製造間接費の実際発生額 | 5,850,000円 |
問1
(1)変動費率、(2)固定費率、(3)予定配賦率、(4)予算許容額、(5)予定配賦額を求めなさい。
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正答
- (1) 変動費率:120円/時間
- (2) 固定費率:180円/時間
- (3) 予定配賦率:300円/時間
- (4) 予算許容額:5,760,000円
- (5) 予定配賦額:5,400,000円
解説
| 順 | 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 1 | 変動費率 | 2,400,000÷20,000時間 | 120 |
| 2 | 固定費率 | 3,600,000÷20,000時間 | 180 |
| 3 | 予定配賦率 | 120+180 | 300 |
| 4 | 予算許容額 | 120円×18,000時間+3,600,000 | 5,760,000 |
| 5 | 予定配賦額 | 300円×18,000時間 | 5,400,000 |
予算許容額では固定費予算3,600,000円をそのまま足します。 予定配賦額では固定費の部分も180円×18,000時間=3,240,000円として按分されるため、2つの金額は一致しません。
配点
(1)120円、(2)180円、(3)300円、(4)5,760,000円、(5)5,400,000円がすべて示されていれば正答とする。
採点要素
- 変動費率 120円/時間(2,400,000÷20,000時間)
- 固定費率 180円/時間(3,600,000÷20,000時間)
- 予定配賦率 300円/時間(120+180)
- 予算許容額 5,760,000円(120円×18,000時間+固定費予算3,600,000円)
- 予定配賦額 5,400,000円(300円×18,000時間)
部分点
YES
部分点の取扱い
採点要素 の5要素を各1点、計5点満点とする。要素4で固定費部分に固定費率×実際操業度(3,240,000円)を用いた場合は0点とする。要素4で変動費部分に基準操業度20,000時間を用いた場合も0点とする。要素5で基準操業度を掛けて6,000,000円とした場合は0点とする。各要素は指定の金額が示された場合に限り加点する。
問2
(1)予算差異と(2)操業度差異を求め、それぞれ有利差異・不利差異の別および記入側も示しなさい。
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正答
- (1) 予算差異:△90,000円、不利差異であり借方に記入する
- (2) 操業度差異:△360,000円、不利差異であり借方に記入する
解説
| 順 | 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 1 | 予算差異 | 5,760,000-5,850,000 | △90,000 |
| 2 | 操業度差異 | 180円×(18,000-20,000)時間 | △360,000 |
(1) 予算差異は予算許容額と実際発生額を比べます。実際発生額のほうが90,000円多いので負となり、不利差異で借方です。
(2) 操業度差異には固定費率180円を掛けます。予定配賦率300円ではありません。実際操業度が基準操業度を2,000時間下回っているので負となり、不利差異で借方です。
どちらも金額と有利・不利の別、記入側をそろえて示します。
配点
(1)△90,000円・不利差異・借方、(2)△360,000円・不利差異・借方がすべて示されていれば正答とする。
採点要素
- 予算差異の式に 予算許容額5,760,000-実際発生額5,850,000 を用いていること
- 予算差異 △90,000円
- 予算差異が不利差異・借方であること
- 操業度差異の式に 固定費率180円×(18,000-20,000)時間 を用いていること
- 操業度差異 △360,000円
- 操業度差異が不利差異・借方であること
部分点
YES
部分点の取扱い
採点要素 の6要素を各1点、計6点満点とする。要素1で比較相手に予定配賦額5,400,000円を用いた場合は要素1・2をともに0点とする。要素4で予定配賦率300円を掛けた場合は要素4・5をともに0点とする。要素3・6は、金額の符号が負であることと不利差異・借方の双方が示された場合に限り加点する。金額のみを示し有利・不利の別を欠く解答は要素3・6を0点とする。
問3
(1)予算差異と操業度差異の合計を求め、(2)製造間接費配賦差異を予定配賦額と実際発生額から別の経路で求めて、両者が一致することを示しなさい。あわせて(3)有利差異・不利差異の別および記入側を示しなさい。
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正答
- (1) 予算差異と操業度差異の合計:△90,000+(△360,000)=△450,000円
- (2) 製造間接費配賦差異:5,400,000-5,850,000=△450,000円(両者は一致する)
- (3) 不利差異であり借方に記入する
解説
判断根拠
3段階で判断します。
第1に、2つの差異を符号込みで足します。予算差異△90,000円と操業度差異△360,000円はどちらも負なので、合計は△450,000円です。絶対値で足すのではなく、符号を含めて足します。
第2に、別の経路で総差異を求めます。製造間接費配賦差異は 予定配賦額 - 実際発生額 で求まります。5,400,000-5,850,000=△450,000円です。この経路は予算許容額も固定費率も使いません。
第3に、両者が一致することを確かめます。どちらも△450,000円で一致します。負なので不利差異、借方に記入します。
検証
| 検証項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 経路1(分解の合計) | △90,000+(△360,000) | △450,000 |
| 経路2(総差異の定義) | 5,400,000-5,850,000 | △450,000 |
| 両経路の一致 | △450,000=△450,000 | 一致 |
| 符号と有利・不利 | 負 → 不利差異 | 一致 |
| 有利・不利と記入側 | 不利差異 → 借方 | 一致 |
| 予算許容額と予定配賦額の差 | 5,760,000-5,400,000=360,000 | 操業度差異の絶対値に一致 |
この検証の限界:2つの経路は完全に独立ではありません。経路1の予算差異は予算許容額から、経路2は予定配賦額から出発しますが、どちらも同じ変動費率・固定費率・実際操業度・実際発生額に依存しています。
具体的には、費率の計算を誤れば両経路とも同じ誤りを引き継ぎます。仮に固定費率を誤って求めれば、予定配賦率も予算許容額も予定配賦額も連動して変わり、両経路の一致は保たれたまま金額だけが誤ります。
また、操業度差異に予定配賦率300円を掛けて△600,000円としてしまった場合、経路1の合計は△690,000円となり経路2の△450,000円と一致しません。この点では有効な確認です。ただし予算差異のほうを差額で求めていれば、その不一致も消えてしまいます。
予算差異は予算許容額から、操業度差異は固定費率から、それぞれ独立に求めたかを確かめる必要があります。
想定される誤り:ひとつは、2つの差異を絶対値で足して450,000円としながら符号を落としてしまうことです。金額は同じでも有利・不利の別が示されません。ふたつめは、操業度差異に予定配賦率を掛けてしまうことです。三つめは、予算差異の比較相手に予定配賦額5,400,000円を用いてしまうことです。それでは経路2と同じものを計算していることになり、分解の意味がなくなります。
配点
(1)△450,000円、(2)5,400,000-5,850,000=△450,000円、(3)不利差異・借方がすべて示され、両経路の一致が明示されていれば正答とする。
採点要素
- 経路1として △90,000+(△360,000)=△450,000円 を符号込みで算定していること
- 経路2として 予定配賦額5,400,000-実際発生額5,850,000=△450,000円 を算定していること
- 両経路が一致することを示していること
- 不利差異である旨
- 借方に記入する旨
部分点
YES
部分点の取扱い
採点要素 の5要素を各1点、計5点満点とする。要素1で絶対値を足して450,000円とし符号を示さない場合は0点とする。要素2で予算許容額5,760,000円を用いた場合は0点とする。要素3は要素1・2の双方が示された場合に限り加点する。要素4・5は、いずれか一方のみを示した解答では示した側のみ加点する。