製造間接費の予算と配賦差異の分析 計算問題 第6問〜第8問

問6

次の資料にもとづき、(1)予算許容額、(2)予定配賦額、(3)予算差異、(4)操業度差異、(5)製造間接費配賦差異を求め、差異には有利・不利の別も示しなさい。

必要資料

当工場は製造間接費について公式法変動予算を採用し、2分法により差異を分析している。

  • 変動費予算:1,920,000円
  • 固定費予算:2,880,000円
  • 基準直接作業時間:16,000時間
  • 当期の実際直接作業時間:12,000時間
  • 製造間接費の実際発生額:4,200,000円
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解答・解説

正答

  • (1) 予算許容額:4,320,000円
  • (2) 予定配賦額:3,600,000円
  • (3) 予算差異:+120,000円(有利差異)
  • (4) 操業度差異:△720,000円(不利差異)
  • (5) 製造間接費配賦差異:△600,000円(不利差異)

計算過程

順 項目 計算 金額
1 変動費率 1,920,000÷16,000時間 120
2 固定費率 2,880,000÷16,000時間 180
3 予定配賦率 120+180 300
4 予算許容額 120円×12,000時間+2,880,000 4,320,000
5 予定配賦額 300円×12,000時間 3,600,000
6 予算差異 4,320,000-4,200,000 +120,000
7 操業度差異 180円×(12,000-16,000)時間 △720,000
8 製造間接費配賦差異 3,600,000-4,200,000 △600,000

解説

実際操業度が基準操業度を4,000時間下回っているため、操業度差異は大きな不利差異になります。一方、予算差異は許される予算より実際の発生額が少なく済んだため有利差異です。

符号が逆の2つを足して△600,000円となります。絶対値で足すと840,000円で誤ります。

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
合計の検証 +120,000+(△720,000) △600,000(総差異に一致)
予算許容額と予定配賦額の差 4,320,000-3,600,000 720,000(操業度差異の絶対値に一致)
符号 予算差異 正/操業度差異 負 混在

この検証の限界:合計が一致することは、符号を正しく付けている場合にのみ意味があります。仮に予算差異を負と誤れば合計は△840,000円となり総差異に一致しませんが、その場合でも総差異のほうを差額で求めていれば一致してしまいます。総差異を 予定配賦額-実際発生額 から独立に求めたうえで照合してください。


問7

次の資料にもとづき、(1)固定予算による予算差異・操業度差異・総差異と、(2)公式法変動予算(2分法)による予算差異・操業度差異・総差異をそれぞれ求め、(3)両者を比較しなさい。差異には有利・不利の別も示しなさい。

必要資料

  • 製造間接費の総予算:4,800,000円(うち変動費予算1,920,000円、固定費予算2,880,000円)
  • 基準直接作業時間:16,000時間
  • 当期の実際直接作業時間:12,000時間
  • 製造間接費の実際発生額:4,200,000円
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解答・解説

正答

(1) 固定予算

  • 予算差異:+600,000円(有利差異)
  • 操業度差異:△1,200,000円(不利差異)
  • 総差異:△600,000円(不利差異)

(2) 公式法変動予算(2分法)

  • 予算差異:+120,000円(有利差異)
  • 操業度差異:△720,000円(不利差異)
  • 総差異:△600,000円(不利差異)

(3) 比較:予算差異と操業度差異の内訳は異なるが、総差異はいずれも△600,000円で一致する。

計算過程

(1) 固定予算

順 項目 計算 金額
1 予定配賦率 4,800,000÷16,000時間 300
2 予定配賦額 300円×12,000時間 3,600,000
3 予算差異 4,800,000-4,200,000 +600,000
4 操業度差異 300円×(12,000-16,000)時間 △1,200,000
5 総差異 3,600,000-4,200,000 △600,000

(2) 公式法変動予算(2分法)

順 項目 計算 金額
1 変動費率 1,920,000÷16,000時間 120
2 固定費率 2,880,000÷16,000時間 180
3 予定配賦率 120+180 300
4 予算許容額 120円×12,000時間+2,880,000 4,320,000
5 予定配賦額 300円×12,000時間 3,600,000
6 予算差異 4,320,000-4,200,000 +120,000
7 操業度差異 180円×(12,000-16,000)時間 △720,000
8 総差異 3,600,000-4,200,000 △600,000

解説

判断根拠

3段階で判断します。

第1に、総差異が方式によらないことを確かめます。総差異は 予定配賦額 - 実際発生額 です。予定配賦率はどちらの方式でも300円、実際操業度も実際発生額も同じなので、総差異は必ず一致します。

第2に、予算差異の比較相手の違いを見ます。固定予算では固定予算額4,800,000円、公式法変動予算では予算許容額4,320,000円です。実際操業度が基準操業度を下回っているため、予算許容額のほうが480,000円小さくなります。この差がそのまま予算差異の違い(600,000-120,000=480,000円)です。

第3に、操業度差異に掛ける率の違いを見ます。固定予算では予定配賦率300円、公式法変動予算では固定費率180円です。差は変動費率120円分で、120円×(12,000-16,000)時間=△480,000円。これが操業度差異の違い(△1,200,000-△720,000=△480,000円)です。

予算差異が480,000円小さくなり、操業度差異が480,000円大きくなる(不利が減る)ので、合計は変わりません。 2つの差異の間で480,000円が振り替わっているだけです。

検証

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
固定予算の合計 +600,000+(△1,200,000) △600,000(一致)
変動予算の合計 +120,000+(△720,000) △600,000(一致)
総差異の別経路 3,600,000-4,200,000 △600,000(両方式に一致)
予算差異の差 600,000-120,000 480,000
操業度差異の差 △720,000-(△1,200,000) +480,000
振替の相殺 480,000-480,000 0(総差異は不変)

この検証の限界:各方式の合計が総差異に一致することは、一方の差異を差額で求めれば定義上必ず成立します。ここでは4つの差異をすべて式から独立に求めているため確認になっていますが、掛ける率や比較相手を取り違えていれば、その誤りは合計の一致では検出できません。

また「差が480,000円で相殺される」という関係も、変動費率×(実際操業度-基準操業度) という同じ量を2箇所から見ているだけであり、代数的に必ず成立します。方式ごとに、予算差異の比較相手と操業度差異の率を式に戻って確かめる必要があります。

想定される誤り:ひとつは、公式法変動予算の予算差異の比較相手に固定予算額を用いてしまうことです。ふたつめは、公式法変動予算の操業度差異に予定配賦率300円を掛けて△1,200,000円としてしまうことです。三つめは、方式が違えば総差異も違うと考えてしまうことです。


問8

次の資料にもとづき、(1)固定費予算、(2)予定配賦率、(3)予算許容額、(4)製造間接費の実際発生額、(5)予定配賦額、(6)操業度差異、(7)製造間接費配賦差異を求め、差異には有利・不利の別も示しなさい。

必要資料

当工場は製造間接費について公式法変動予算を採用し、2分法により差異を分析している。

  • 変動費率:120円/時間
  • 固定費率:180円/時間
  • 基準直接作業時間:20,000時間
  • 当期の実際直接作業時間:17,000時間
  • 予算差異:+90,000円(有利差異)
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解答・解説

正答

  • (1) 固定費予算:3,600,000円
  • (2) 予定配賦率:300円/時間
  • (3) 予算許容額:5,640,000円
  • (4) 製造間接費の実際発生額:5,550,000円
  • (5) 予定配賦額:5,100,000円
  • (6) 操業度差異:△540,000円(不利差異)
  • (7) 製造間接費配賦差異:△450,000円(不利差異)

計算過程

順 項目 計算 金額
1 固定費予算 180円×20,000時間 3,600,000
2 予定配賦率 120+180 300
3 予算許容額 120円×17,000時間+3,600,000 5,640,000
4 実際発生額 5,640,000-90,000 5,550,000
5 予定配賦額 300円×17,000時間 5,100,000
6 操業度差異 180円×(17,000-20,000)時間 △540,000
7 製造間接費配賦差異 5,100,000-5,550,000 △450,000

解説

判断根拠

4段階で判断します。

第1に、固定費予算を逆算します。固定費率は 固定費予算 ÷ 基準操業度 で求まるので、固定費予算は 固定費率 × 基準操業度 です。180円×20,000時間=3,600,000円。予算許容額に足すのは固定費予算そのものなので、この逆算が必要です。

第2に、予算許容額を求めます。変動費率120円×実際操業度17,000時間=2,040,000円に固定費予算3,600,000円を足して5,640,000円です。

第3に、予算差異から実際発生額を逆算します。予算差異 = 予算許容額 - 実際発生額 を移項すると 実際発生額 = 予算許容額 - 予算差異 です。予算差異が+90,000円(有利差異)なので、5,640,000-90,000=5,550,000円。有利差異は実際発生額が予算許容額より少ないことを意味するので、差し引く向きになります。

第4に、残りを順に求めます。予定配賦額は300円×17,000時間=5,100,000円、操業度差異は固定費率180円×(17,000-20,000)時間=△540,000円、総差異は5,100,000-5,550,000=△450,000円です。

検証

Validation(検証)

検証項目 計算 結果
合計の検証 +90,000+(△540,000) △450,000(総差異に一致)
固定費率の逆算 3,600,000÷20,000時間 180円(一致)
予定配賦率の検算 120+180 300(一致)
予算差異の逆算 5,640,000-5,550,000 +90,000(与件に一致)
予算許容額と予定配賦額の差 5,640,000-5,100,000 540,000(操業度差異の絶対値に一致)

この検証の限界:この設問は逆算を含むため、検証が特に成立しやすくなっています。

実際発生額を「予算許容額-予算差異」で求めた以上、予算差異の逆算(予算許容額-実際発生額)は定義上必ず与件に戻ります。独立した確認にはなりません。同じく固定費予算を「固定費率×基準操業度」で求めた以上、固定費率の逆算も必ず一致します。

合計の検証も、操業度差異と総差異を独立に求めているため一定の確認にはなりますが、予算許容額そのものを誤っていれば、実際発生額も総差異も連動して誤り、合計は一致したままです。

予算許容額の固定費部分に固定費予算を用いたか、操業度差異に固定費率を用いたかを、式に戻って確かめる必要があります。

想定される誤り:ひとつは、予算許容額の固定費部分に固定費率×実際操業度(180円×17,000時間=3,060,000円)を用いてしまうことです。それでは予定配賦額と同じ形になります。ふたつめは、実際発生額を逆算するときに予算差異を足してしまうことです。有利差異なので差し引きます。三つめは、操業度差異に予定配賦率300円を掛けて△900,000円としてしまうことです。


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