圧縮記帳(国庫補助金・工事負担金、直接控除方式) 一問一答 第1問〜第5問

問1

国庫補助金を受け取って建物を取得し、直接控除方式により圧縮記帳を行う。このときの処理の順序と各勘定の役割として正しいものを1つ選びなさい。

A. 補助金の受取時に国庫補助金受贈益を計上し、圧縮時に固定資産圧縮損を計上して建物を直接減額する
B. 補助金の受取時に固定資産圧縮損を計上し、圧縮時に国庫補助金受贈益を計上して建物を直接減額する
C. 補助金の受取時に国庫補助金受贈益を計上し、圧縮時に固定資産圧縮損を計上して建物減価償却累計額を増額する
D. 補助金の受取時に建物を直接減額し、固定資産圧縮損は計上しない

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解答・解説

正答:A

正答理由

直接控除方式では次の順序で処理します。

①受取:普通預金 ×××  /  国庫補助金受贈益 ×××
②取得:建物 ×××      /  普通預金 ×××
③圧縮:固定資産圧縮損 ×××  /  建物 ×××

受贈益は収益(貸方)、固定資産圧縮損は費用(借方)であり、圧縮では建物の勘定そのものを貸方に計上して直接減額します。

誤答理由

  • B:受贈益と圧縮損が入れ替わっています。補助金を受け取ったことによる収益が受贈益、固定資産を減らすための費用が圧縮損です。
  • C:貸方を建物減価償却累計額としている点が誤りです。直接控除方式では固定資産の勘定を直接減らします。累計額を使うのは減価償却の場合です。
  • D:本問の直接控除方式では固定資産圧縮損を計上して建物を直接減額します。また、受贈益と固定資産圧縮損が同額なら、その2項目の当期利益への影響は相殺されます。固定資産圧縮損を省略するDは、この処理に一致しません。

問2

取得原価 ¥1,200,000 の建物を取得し、国庫補助金 ¥300,000 を受け取っている。直接控除方式により圧縮記帳を行う場合の(1)固定資産圧縮損と(2)圧縮後取得原価の組合せとして正しいものを1つ選びなさい。

A. (1) ¥300,000 /(2) ¥900,000
B. (1) ¥900,000 /(2) ¥300,000
C. (1) ¥300,000 /(2) ¥1,200,000
D. (1) ¥1,200,000 /(2) ¥900,000

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解答・解説

正答:A

正答理由

①圧縮損 = 補助金等の額 = ¥300,000
②圧縮後取得原価 = 取得原価 - 圧縮損
              = ¥1,200,000 - ¥300,000 = ¥900,000

検算:圧縮後取得原価 ¥900,000 + 圧縮損 ¥300,000 = ¥1,200,000 = 取得原価 ✓

誤答理由

  • B:圧縮損と圧縮後取得原価が入れ替わっています。圧縮する金額は補助金の額 ¥300,000 であり、残った ¥900,000 が圧縮後取得原価です。
  • C((2) ¥1,200,000):圧縮損は正しいものの、圧縮後取得原価を取得原価のままとしている誤りです。直接控除方式では固定資産が実際に減額されます。
  • D((1) ¥1,200,000):取得原価の全額を圧縮損としています。圧縮するのは補助金の額 ¥300,000 です。

問3

取得原価 ¥1,200,000 の建物を当期首に取得し、国庫補助金 ¥300,000 について直接控除方式により圧縮記帳を行った。残存価額 ¥0、耐用年数10年、定額法により、当期は12か月使用している。当期の減価償却費として正しいものを1つ選びなさい。

A. ¥90,000
B. ¥120,000
C. ¥30,000
D. ¥900,000

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解答・解説

正答:A

正答理由

①圧縮後取得原価 = ¥1,200,000 - ¥300,000 = ¥900,000
②年償却額 =(¥900,000 - ¥0)÷ 10年 = ¥90,000
③当期は12か月使用しているため、月割の調整は不要

検算:¥90,000 × 10年 = ¥900,000 = 圧縮後取得原価 - 残存価額 ✓

誤答理由

  • B(¥120,000):¥1,200,000 ÷ 10年 = ¥120,000。圧縮前の取得原価を基礎に計算した誤りです。減価償却は圧縮後取得原価 ¥900,000 から行います。
  • C(¥30,000):¥300,000 ÷ 10年 = ¥30,000。補助金の額を耐用年数で割った誤りです。償却の対象は圧縮後の固定資産の金額です。
  • D(¥900,000):圧縮後取得原価そのものです。耐用年数で割っていない誤りです。

圧縮記帳を行った以上、その後の減価償却は圧縮後の金額を基礎とします。


問4

工事負担金 ¥300,000 を受け取り、取得原価 ¥1,500,000 の備品を取得して、直接控除方式により圧縮記帳を行った。この取引について正しい記述を1つ選びなさい。

A. 工事負担金受贈益 ¥300,000 と固定資産圧縮損 ¥300,000 は当期の利益に対して相殺され、圧縮後取得原価は ¥1,200,000 となる
B. 国庫補助金受贈益 ¥300,000 と固定資産圧縮損 ¥300,000 は当期の利益に対して相殺され、圧縮後取得原価は ¥1,200,000 となる
C. 工事負担金受贈益 ¥300,000 と固定資産圧縮損 ¥300,000 は当期の利益に対して相殺され、その後の減価償却費を含めても取引全体の利益への影響はゼロとなる
D. 工事負担金受贈益 ¥300,000 のみを計上し、備品は取得原価 ¥1,500,000 のまま据え置く

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解答・解説

正答:A

正答理由

工事負担金を受け取った場合は 工事負担金受贈益 を用います。

①受取:普通預金 300,000  /  工事負担金受贈益 300,000
②取得:備品 1,500,000    /  普通預金 1,500,000
③圧縮:固定資産圧縮損 300,000  /  備品 300,000
④圧縮後取得原価 = ¥1,500,000 - ¥300,000 = ¥1,200,000

受贈益 ¥300,000 と圧縮損 ¥300,000 は同額であるため、この2項目は当期の利益に対して相殺されます。

誤答理由

  • B:金額と圧縮後取得原価は正しいものの、受贈益の勘定が誤りです。工事負担金を受け取った場合は工事負担金受贈益であり、国庫補助金受贈益ではありません。
  • C:「減価償却費を含めても利益への影響がゼロ」とする点が誤りです。相殺されるのは受贈益と圧縮損の2項目であり、減価償却費は圧縮後取得原価を基礎として別に生じる費用です。
  • D:圧縮記帳を行わない扱いです。直接控除方式による圧縮記帳を行う前提であるため、固定資産圧縮損を計上して備品を減額します。

受贈益と圧縮損の相殺は2項目に限られます。 減価償却費はその外側にあります。


問5

次の資料にもとづき、(1)圧縮後取得原価、(2)年償却額、(3)当期の減価償却費、(4)当期末の帳簿価額の組合せとして正しいものを1つ選びなさい。

資料

  • 会計期間:2027年4月1日から2028年3月31日まで
  • 2027年10月1日に建物(取得原価 ¥2,400,000)を取得し、同日から使用を開始した
  • 国庫補助金 ¥600,000 について直接控除方式により圧縮記帳を行った
  • 残存価額 ¥0、耐用年数10年、定額法
  • 当期の使用月数は6か月である

A. (1) ¥1,800,000 /(2) ¥180,000 /(3) ¥90,000 /(4) ¥1,710,000
B. (1) ¥1,800,000 /(2) ¥180,000 /(3) ¥180,000 /(4) ¥1,620,000
C. (1) ¥2,400,000 /(2) ¥240,000 /(3) ¥120,000 /(4) ¥2,280,000
D. (1) ¥1,800,000 /(2) ¥240,000 /(3) ¥120,000 /(4) ¥1,680,000

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解答・解説

正答:A

判断根拠

圧縮後取得原価を確定してから、月割で当期の償却額を求めます。

手順 内容 金額
① 圧縮後取得原価(2,400,000 - 600,000) 1,800,000
② 年償却額(1,800,000 ÷ 10年) 180,000
③ 当期償却額(180,000 × 6か月 ÷ 12か月) 90,000
④ 当期末の帳簿価額(1,800,000 - 90,000) 1,710,000

計算過程

①圧縮後取得原価 = ¥2,400,000 - ¥600,000 = ¥1,800,000
②年償却額 =(¥1,800,000 - ¥0)÷ 10年 = ¥180,000
③当期償却額 = ¥180,000 × 6か月 ÷ 12か月 = ¥90,000
④当期末の帳簿価額 = ¥1,800,000 - ¥90,000 = ¥1,710,000

検証

  • 圧縮後取得原価 ¥1,800,000 + 圧縮損 ¥600,000 = ¥2,400,000 = 取得原価 ✓
  • 使用月数:2027年10月1日〜2028年3月31日 = 6か月(問題文の月数と一致)✓
  • 当期末の帳簿価額 ¥1,710,000 + 当期償却額 ¥90,000 = ¥1,800,000 = 圧縮後取得原価 ✓

誤答理由

  • B((3) ¥180,000):年償却額をそのまま当期の償却額としています。月割計算を行っていない誤りです。当期は6か月しか使用していません。
  • C((1) ¥2,400,000):圧縮記帳を行わずに取得原価のまま計算した誤りです。年償却額 ¥240,000 も圧縮前の金額にもとづいています。
  • D((2) ¥240,000):圧縮後取得原価は正しいものの、年償却額を圧縮前の ¥2,400,000 から計算した誤りです。①と②で異なる金額を使っており、一貫していません。

想定される誤り

第1に、圧縮前の取得原価 ¥2,400,000 を基礎に償却してしまう誤りです(誤答C・D)。圧縮記帳を行った以上、償却の基礎は圧縮後取得原価 ¥1,800,000 です。

第2に、期中取得であるのに月割計算を行わない誤りです(誤答B)。当期の使用月数6か月は問題文に示されています。

第3に、当期末の帳簿価額を圧縮前の取得原価から計算してしまうことです。¥2,400,000 - ¥90,000 = ¥2,310,000 とすると、圧縮損 ¥600,000 が帳簿に反映されません。

「当期末の帳簿価額 + 当期償却額 = 圧縮後取得原価」を確認すると、これらの誤りに気づけます。


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