帳簿 章末総合問題

1.この章末問題のねらい

この章末問題では、同じ取引が複数の帳簿にどう記録されるかを、1組の取引で横断的に確認します。

確認する内容 対応する単元 設問
取引から仕訳を組み立てる/総勘定元帳の勘定残高を求める C11-T01「主要簿(仕訳帳と総勘定元帳・転記)」 設問1・設問5
仕入帳を締め切り、総仕入高・仕入戻し高・純仕入高を求める C11-T02「補助記入帳(現金/当座/小口現金出納帳・仕入帳・売上帳)」 設問3
買掛金元帳(人名勘定)の記入と、総勘定元帳との突合せ C11-T03「補助元帳(売掛金元帳・買掛金元帳・商品有高帳・固定資産台帳)」 設問4・設問5
取引ごとに記入する補助簿を判断する C11-T04「補助簿の選択」 設問2

この問題の核心は、

同じ取引でも、帳簿ごとに載る金額が変わることがある

という点です。7月4日の取引ひとつでも、仕入帳には ¥123,000(引取運賃を含む)、買掛金元帳には ¥120,000(掛けの部分だけ)、現金出納帳には ¥3,000(運賃だけ)と、3つの帳簿で3つの金額になります。

当サイトでは、第2問(帳簿)対策を意識した章末問題として構成しています。 なお、第1問・第2問・第3問という区分は当サイトの演習設計です。 公式に出題形式や配点が固定されているわけではありません。試験全体の構成は C17-T01「本試験形式の全体像」 で扱います。


2.共通資料

青森商事株式会社の7月の商品売買等に関する取引は次のとおりである。

なお、7月1日時点の買掛金残高は ¥180,000(内訳:弘前商店 ¥110,000十和田商店 ¥70,000)であり、仕入先はこの2店のみである。

日付 取引
7月4日 弘前商店から A品50個(@¥2,400)¥120,000 を仕入れ、代金は掛けとした。なお、引取運賃 ¥3,000 は現金で支払った。
7月9日 4日に仕入れた A品のうち 10個を品違いのため返品した(掛代金から控除)。
7月15日 八戸商店へ商品を ¥260,000 で売り上げ、代金のうち ¥60,000 は現金で受け取り、残額は掛けとした。
7月22日 弘前商店に対する買掛金 ¥150,000 を普通預金口座から支払った。
7月28日 十和田商店から商品 B品30個(@¥3,000)¥90,000 を仕入れ、代金は当座預金口座から支払った。

3.設問

設問1 7月4日・7月15日・7月28日の仕訳を示しなさい。

設問2 7月の各取引について、記入する補助簿を次の表にまとめなさい(該当欄に○)。該当するものはすべて選ぶこと。

対象補助簿:現金出納帳・当座預金出納帳・仕入帳・売上帳・売掛金元帳・買掛金元帳・商品有高帳・固定資産台帳

設問3 7月の仕入帳を締め切り、総仕入高・仕入戻し高・純仕入高を求めなさい。

設問4 買掛金元帳の弘前商店勘定の記入を完成させ、次月繰越額を求めなさい。

設問5 7月31日時点の総勘定元帳の買掛金勘定の残高を求め、買掛金元帳の各人名勘定の残高の合計と一致することを確認しなさい。



設問1 仕訳

7月4日

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 123,000 買掛金 120,000
現金 3,000

7月15日

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 60,000 売上 260,000
売掛金 200,000

7月28日

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 90,000 当座預金 90,000

算定過程

項目 計算 金額
7/4 の仕入 120,000 + 引取運賃 3,000 123,000(貸方合計と一致)
7/15 の売掛金 260,000 − 60,000 200,000(借方合計 260,000 = 貸方)
7/28 の仕入 @¥3,000 × 30個 90,000

解説

  • 引取運賃は仕入原価に含めます。 したがって 7/4 の仕入は ¥123,000 です。ただし、運賃 ¥3,000 は弘前商店へ支払う義務ではないため、買掛金は ¥120,000 のままです。この差が、あとの設問3と設問4で効いてきます。
  • 7/28 は掛けではなく当座預金払いです。ここに印を付けておいてください。
  • 補助簿の選択も帳簿の記入も、出発点はすべて仕訳です。

主論点:取引の仕訳(仕入諸掛の算入・一部現金決済) 使用科目:仕入/買掛金/現金/売掛金/売上/当座預金


設問2 補助簿の選択

取引 現金出納帳 当座預金出納帳 仕入帳 売上帳 売掛金元帳 買掛金元帳 商品有高帳 固定資産台帳
:-: :-: :-: :-: :-: :-: :-: :-:
7/4
7/9
7/15
7/22
7/28

判定の手順

① 仕訳を書く → ② 仕訳に出てきた科目と動いたモノを、対応する帳簿へ置き換える

取引 仕訳 記入する補助簿
7/4 仕入 123,000/買掛金 120,000・現金 3,000 仕入帳・買掛金元帳・現金出納帳、加えて商品が入庫したので商品有高帳 → 4冊
7/9 買掛金 24,000/仕入 24,000 仕入帳(戻し)・買掛金元帳、商品が出ていくので商品有高帳 → 3冊
7/15 現金 60,000・売掛金 200,000/売上 260,000 売上帳・現金出納帳・売掛金元帳、商品が出庫するので商品有高帳 → 4冊
7/22 買掛金 150,000/普通預金 150,000 買掛金元帳 → 1冊
7/28 仕入 90,000/当座預金 90,000 仕入帳・当座預金出納帳・商品有高帳 → 3冊

解説

  • 1つの取引に対して、記入する補助簿は1冊とは限りません。 本問では 7/4 と 7/15 が4冊、7/9 と 7/28 が3冊、7/22 が1冊です。該当するものをすべて選びます。
  • 判定の急所は3つです。
取引 注意点
7/22 対象の補助簿に普通預金の専用帳簿はありません。したがって買掛金元帳の1冊だけです。
7/28 仕入れですが、買掛金元帳には載りません。 当座預金払いであり、仕訳に買掛金が出てこないためです。
商品有高帳 商品が動いた取引すべて(7/4・7/9・7/15・7/28 の4回)に登場します。
  • 「現金が動いたから現金出納帳だけ」と判断してはいけません。 取引の原因(商品の仕入か、売上か、掛代金の決済か)と決済方法(現金・当座預金・普通預金・掛け)の両方を確認します。
  • 固定資産台帳は、7月中に固定資産の取引がないためすべて空欄です。

主論点:取引ごとの補助簿の判定(複数該当あり)


設問3 仕入帳の締切り

項目 金額
総仕入高 213,000
仕入戻し高 24,000
純仕入高 189,000

算定過程

項目 計算 金額
総仕入高 123,000(7/4)+ 90,000(7/28) 213,000
仕入戻し高 10個 × @¥2,400 24,000
純仕入高 213,000 − 24,000 189,000

解説

  • 仕入帳には、引取運賃を含めた金額で記入します。 したがって 7/4 は ¥123,000 です。
  • 仕入戻し高は、返品した10個分の掛代金 ¥24,000 です。
  • 間違いやすいところ:総仕入高を ¥210,000 としてしまう誤り(7/4 の引取運賃 ¥3,000 の落ち)。

主論点:仕入帳の締切り(総仕入高・仕入戻し高・純仕入高)


設問4 買掛金元帳・弘前商店勘定

日付 摘要 借方 貸方 残高
7/1 前月繰越 110,000 110,000
7/4 仕入れ 120,000 230,000
7/9 返品 24,000 206,000
7/22 支払い 150,000 56,000
7/31 次月繰越 56,000 0

次月繰越額:¥56,000

算定過程

項目 計算 金額
次月繰越額 110,000 + 120,000 − 24,000 − 150,000 56,000
締切りの検算 借方合計 24,000 + 150,000 + 56,000 = 230,000/貸方合計 110,000 + 120,000 = 230,000 一致

解説

  • この勘定に載るのは、弘前商店との掛けの増減だけです。
  • 7/4 は ¥120,000 です(¥123,000 ではありません)。 引取運賃 ¥3,000 は弘前商店への支払義務ではないためです。同じ ¥3,000 が、仕入帳では「含める」・買掛金元帳では「含めない」 ——ここがこの章の総まとめです。
  • 買掛金は負債なので、増えれば貸方、減れば借方です。返品(7/9)と支払い(7/22)は、いずれも買掛金が減るので借方に記入します。
  • 間違いやすいところ:返品 ¥24,000 を貸方に書いてしまう誤り。返品は買掛金を減らすので借方です。

主論点:人名勘定の記入と次月繰越額


設問5 総勘定元帳と補助元帳の突合せ

買掛金勘定(総勘定元帳)の7月31日残高:¥126,000

縦(総勘定元帳の時系列)

項目 金額
7/1 前月繰越 180,000
7/4 掛仕入 +120,000
7/9 返品 △24,000
7/22 支払い △150,000
7/31 残高 126,000

横(買掛金元帳の人名勘定の合計)

得意先・仕入先 残高
弘前商店(設問4より) 56,000
十和田商店 70,000
合計 126,000

縦 ¥126,000 = 横 ¥126,000 → 一致

解説

  • 総勘定元帳の買掛金は、仕入先ごとの内訳をまとめた勘定です。 買掛金元帳の各人名勘定の残高を合計すると、必ず総勘定元帳の買掛金残高と一致します。
  • 十和田商店は7月中に動きがありませんが、前月繰越 ¥70,000 がそのまま残高として合計に参加します。
  • 7/28 の仕入 ¥90,000 は買掛金に影響しません。 当座預金払いだからです。
  • 間違いやすいところ:十和田商店の ¥70,000 を「動きがないから」と合計から外す誤り。
  • 縦と横の2つの経路で同じ金額に着地すれば、その月の記帳が整合していることを自分で確認できます。

主論点:総勘定元帳(統制勘定)と補助元帳(人名勘定)の一致確認


5.帳簿の役割の整理

帳簿は、主要簿補助簿に分かれます。

区分 帳簿 役割
主要簿 仕訳帳 取引を日付順に記録する
主要簿 総勘定元帳 取引を勘定科目ごとに分類して記録する
補助簿(補助記入帳) 現金出納帳・当座預金出納帳・小口現金出納帳・仕入帳・売上帳 特定の種類の取引を詳しく記録する
補助簿(補助元帳) 売掛金元帳・買掛金元帳・商品有高帳・固定資産台帳 総勘定元帳の1つの勘定をさらに詳しく管理する

仕訳帳と総勘定元帳は主要簿であり、補助簿ではありません。

転記とは、仕訳帳に記録した内容を総勘定元帳へ移すことです。新しい取引を追加で記録することではありません。転記するときは、

仕訳の借方は元帳でも借方へ、仕訳の貸方は元帳でも貸方へ

記入します。左右を入れ替えてはいけません。

本問の買掛金でいえば、7/4 の仕訳の貸方 ¥120,000 が総勘定元帳の買掛金勘定の貸方へ、7/9 と 7/22 の仕訳の借方が買掛金勘定の借方へ転記され、その結果が設問5の残高 ¥126,000 になります。


6.間違いやすいポイント

1.1つの取引に対して、補助簿は1冊とは限らない

本問では、記入する補助簿の数が取引ごとに違います。

取引 冊数
:-:
7/4・7/15 4冊
7/9・7/28 3冊
7/22 1冊

「該当するものをすべて」選ぶ問題では、代表的な1冊だけを答えてはいけません。


2.決済方法だけで判断しない

見るべきこと
取引の原因 商品の仕入か、売上か、掛代金の決済か
決済方法 現金か、当座預金か、普通預金か、掛けか

7/28 は「仕入れなのに買掛金元帳に載らない」例です。仕入れであっても、掛けでなければ買掛金元帳には記入しません。

また、7/22 のように専用の補助簿が用意されていない決済方法(本問の普通預金)もあります。対象として示された帳簿の中から選びます。


3.同じ取引でも、帳簿によって金額が変わることがある

7月4日の引取運賃 ¥3,000 の扱いは、帳簿ごとに次のとおりです。

帳簿 7/4 に載る金額 運賃の扱い
仕入帳 123,000 含める(仕入原価に算入)
買掛金元帳 120,000 含めない(仕入先への債務ではない)
現金出納帳 3,000 運賃のみ

「この取引はいくらか」ではなく、「この帳簿は何を記録する帳簿か」から考えます。


7.まとめ

この章末問題で確認したことを整理します。

設問 確認したこと 答え
設問1 取引の仕訳(仕入諸掛の算入・一部現金決済) 仕入 123,000/買掛金 120,000・現金 3,000 ほか
設問2 記入する補助簿の判定(複数該当あり) 7/4・7/15=4冊、7/9・7/28=3冊、7/22=1冊
設問3 仕入帳の締切り 総仕入高 213,000/仕入戻し高 24,000/純仕入高 189,000
設問4 人名勘定の記入と次月繰越額 次月繰越 56,000
設問5 総勘定元帳と補助元帳の一致確認 買掛金残高 126,000(縦=横)

帳簿の問題では、次の順序で考えると安定します。

① まず仕訳を書く

② 仕訳の科目と動いたモノを、それぞれの帳簿へ置き換える

③ 帳簿ごとに「何を記録する帳簿か」を思い出して金額を決める

④ 合計(総勘定元帳)と内訳(補助元帳)を突き合わせて確かめる

  • 関連する単元:C11-T01「主要簿(仕訳帳と総勘定元帳・転記)」/C11-T02「補助記入帳」/C11-T03「補助元帳」/C11-T04「補助簿の選択」

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