手形 章末総合問題

【2026年度試験向け】この章末総合問題には受験年度の制限があります

この章末総合問題は、紙媒体の手形を扱う 2026年度試験向けです。

  • 2026年度試験は、2027年3月31日まで実施されます。 それまでに受験する方は、この章末総合問題が対象になります。
  • 2027年4月1日以降に実施される2027年度試験では、紙媒体の手形・小切手に関する出題範囲が改定されるため、この章末総合問題は対象外です。

ご自身の受験日が 2027年3月31日までか、2027年4月1日以降かで判断してください。「2026年12月31日まで」ではありません。


1.この問題のねらい

この章末総合問題では、A01の3単元を1つの取引の流れで総合的に確認します。

確認する内容 対応する単元
商品売買から生じた手形を、受取手形・支払手形として仕訳できる A01-T01「受取手形・支払手形(約束手形)」
金銭の貸付けから生じた手形を、手形貸付金として仕訳できる A01-T02「手形貸付金・手形借入金」
満期の決済まで追いかけて、期末に残っている手形だけを集計できる A01-T01/A01-T03「手形記入帳と証ひょう」
手形取引でどの補助簿に記入するかを判断できる A01-T03「手形記入帳と証ひょう」

当サイトでは、第2問対策を意識した共通資料型の章末総合問題として構成しています。 1つの資料から複数の設問に答える形式に慣れることも、この問題の目的です。

なお、第1問・第2問・第3問という区分は当サイトの演習設計です。 公式に出題形式が固定されているわけではありません。試験全体の構成は C17-T01「本試験形式の全体像」 で扱います。


2.共通前提と語群

共通前提:当社は青森商事株式会社である。勘定科目は次の語群から、最も適当なものを選ぶこと。

共通語群

現金 / 当座預金 / 普通預金 / 受取手形 / 売掛金 / 手形貸付金 / 受取利息 / 仕入 / 支払手形 / 買掛金 / 手形借入金 / 売上


3.共通資料 ×2年10月〜12月の手形に関連する取引

日付 取引
10月5日 弘前商店に商品 ¥300,000 を売り上げ、代金として同店振出の約束手形(満期日12月5日)を受け取った
10月18日 八戸商店に対する売掛金 ¥240,000 の回収として、同店振出の約束手形(満期日翌年1月18日)を受け取った
11月1日 黒石商店に ¥500,000 を貸し付け、同店振出の約束手形を受け取った。なお、利息(年利率3%・貸付期間6か月)を差し引いた残額を普通預金口座から振り込んだ
11月20日 三沢商店から商品 ¥260,000 を仕入れ、代金として約束手形(満期日翌年2月20日)を振り出した
12月5日 10月5日に受け取った約束手形が満期日を迎え、当座預金口座に入金された

4.設問

問1 10月5日・10月18日・11月20日の仕訳を示しなさい。

問2 11月1日の仕訳を示しなさい。

問3 12月5日の仕訳を示しなさい。

問4 12月末時点の①受取手形勘定の残高、②支払手形勘定の残高を求めなさい。

問5 11月20日の取引で記入する補助簿を、次の中からすべて選びなさい。

ア.仕入帳  イ.売上帳  ウ.商品有高帳  エ.買掛金元帳  オ.受取手形記入帳  カ.支払手形記入帳  キ.当座預金出納帳



問1 商品売買から生じた手形の3つの場面

10月5日(売上と同時に手形を受け取った)

借方科目 金額 貸方科目 金額
受取手形 300,000 売上 300,000

10月18日(売掛金を手形で回収した)

借方科目 金額 貸方科目 金額
受取手形 240,000 売掛金 240,000

11月20日(仕入と同時に手形を振り出した)

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 260,000 支払手形 260,000

解説

3件とも、商品売買から生じた手形なので、受取手形・支払手形を使います。

10月18日は、売上を計上する場面ではありません。 売上は掛けで販売した時点ですでに計上済みで、この日は「売掛金という債権が、受取手形という債権に置き換わった」だけです。ここで売上を計上すると、収益の二重計上になります。


問2 金銭の貸付けから生じた手形(利息を差し引く場合)

11月1日

借方科目 金額 貸方科目 金額
手形貸付金 500,000 普通預金 492,500
受取利息 7,500

算定過程

項目 計算 金額
利息 500,000 × 3% × 6か月 ÷ 12か月 7,500
振込額 500,000 − 7,500 492,500

解説

約束手形を受け取っていますが、この取引の原因は商品売買ではなく、金銭の貸付けです。 したがって受取手形ではなく、手形貸付金を使います。この判別が A01-T02 の中心です。

計上額は、貸し付けた金額そのものである ¥500,000 です。実際に振り込んだのは利息を差し引いた ¥492,500 で、その差額 ¥7,500 が受取利息になります。

確認:貸方合計 492,500 + 7,500 = 500,000 で、借方の 500,000 と一致します。


問3 満期の決済

12月5日

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 300,000 受取手形 300,000

解説

10月5日に生じた「代金を受け取る権利」が実現し、消滅します。受取手形(資産)が減るので貸方、当座預金(資産)が増えるので借方です。

受取手形記入帳を作成している場合は、10月5日の行のてん末欄に「12月5日 当座預金に入金」と記入され、その手形が消滅したことが分かる状態になります。手形記入帳の様式と記入方法は A01-T03「手形記入帳と証ひょう」で扱います。


問4 12月末の残高

①受取手形残高:¥240,000  ②支払手形残高:¥260,000

算定過程

①受取手形

日付 内容 増減 残高
10月5日 弘前商店から受取 +300,000 300,000
10月18日 八戸商店から受取 +240,000 540,000
12月5日 満期決済(当座入金) −300,000 240,000

②支払手形

日付 内容 増減 残高
11月20日 三沢商店へ振出 +260,000 260,000

解説

11月1日の ¥500,000 は、受取手形勘定には入りません。 約束手形を受け取っていても、貸付けから生じたものは手形貸付金として別の勘定で管理します。

12月5日に決済された ¥300,000 は、もう手元にありません。 満期を迎えて入金された手形は消滅しているので、残高から差し引きます。

支払手形の満期は翌年2月20日なので、12月末時点ではまだ決済されていません。 したがって ¥260,000 がそのまま残ります。

残高を求めるときは、「増えた分」だけでなく「消えた分」まで追いかけて、期末に生きている手形だけを数えます。


問5 補助簿の選択

正解:ア・ウ・カ

解説

11月20日の仕訳は次のとおりです。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 260,000 支払手形 260,000

この仕訳に登場する要素から、記入する補助簿を判断します。

選択肢 判定 理由
:-:
ア.仕入帳 商品を仕入れたので記入します
イ.売上帳 × 販売ではありません
ウ.商品有高帳 商品が入庫したので記入します
エ.買掛金元帳 × 全額を手形で支払ったため、買掛金は発生していません
オ.受取手形記入帳 × 受け取ったのではなく、振り出しています
カ.支払手形記入帳 約束手形を振り出したので記入します
キ.当座預金出納帳 × この日、当座預金は動いていません

仕訳に出てくる勘定科目と、動いたモノを1つずつ確認していけば、記入する補助簿は決まります。


5.間違いやすいポイント

1.約束手形を受け取れば、いつでも受取手形になるわけではない

判断するのは、その手形が何から生じたかです。

手形が生じた原因 使う勘定科目
商品売買(売上・売掛金の回収など) 受取手形/支払手形
金銭の貸借(貸付け・借入れ) 手形貸付金/手形借入金

理解しやすいように「商品の手形」「お金の手形」と呼び分けることがありますが、これらは正式な勘定科目名ではありません。 解答欄に書く科目は、必ず上の表の勘定科目です。

本問の11月1日を受取手形としてしまうと、問4の受取手形残高が ¥740,000(240,000 + 500,000)になり、誤りとなります。


2.売掛金を手形で回収したときに、売上を計上しない

10月18日のような取引では、売上はすでに計上済みです。債権の中身が売掛金から受取手形へ入れ替わるだけで、収益は発生しません。


3.決済された手形を残高に残さない

問4で12月5日の決済を見落とすと、受取手形残高が ¥540,000(300,000 + 240,000)になり、誤りとなります。

手形は、生じたときと消えたときの両方を追いかけます。 満期日が期末より後の手形だけが、期末に残ります。本問では、10月18日の手形(満期日 翌年1月18日)と11月20日の手形(満期日 翌年2月20日)が該当します。


6.まとめ

設問 確認したこと 答え
問1 商品売買から生じた手形の仕訳(受取・回収・振出) 受取手形300,000/売上300,000 ほか2件
問2 金銭の貸付けから生じた手形と、差し引いた利息 手形貸付金500,000/普通預金492,500・受取利息7,500
問3 満期決済による手形の消滅 当座預金300,000/受取手形300,000
問4 期末に残っている手形の集計 受取手形 240,000/支払手形 260,000
問5 手形取引で記入する補助簿 ア・ウ・カ

手形の問題では、次の2点を順に確認します。

① その手形は、商品売買から生じたのか、金銭の貸借から生じたのか

② その手形は、まだ生きているのか、決済されて消えたのか

この2点が判断できれば、仕訳も残高集計も安定します。

  • 関連する単元:A01-T01「受取手形・支払手形(約束手形)」/A01-T02「手形貸付金・手形借入金」/A01-T03「手形記入帳と証ひょう」

繰り返しになりますが、この章末総合問題は2027年3月31日までの2026年度試験向けです。 2027年4月1日以降の2027年度試験を受験する方は、取り組む必要はありません。


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