共通前提
- 会計期間は×2年4月1日から×3年3月31日までである。決算日は×3年3月31日。
- 各問の決算整理事項は、すべて同じ決算日に処理する(問5を除く)。
共通語群(各問、この中から勘定科目を選ぶこと)
現金過不足 / 雑損 / 雑益 / 通信費 / 受取手数料 / 仮払金 / 旅費交通費 / 仮受金 / 売掛金 / 当座預金 / 当座借越 / 現金 / 買掛金
現金過不足の発見と期中の原因判明は C04-T01、概算払いと期中の精算は C05-T08、当座借越の期中処理と借越状態の口座への入金は C04-T03 で扱っています。ここでは、決算日に残ってしまった残高の整理に絞ります。
重要度:A 難易度:標準 論点:現金過不足の決算整理(借方残・一部判明+原因不明額を雑損へ)
問1(標準)
タグ:決算整理
×3年3月31日(決算日) 現金過不足勘定の借方残高 ¥7,100 について原因を調査したところ、¥2,200 は通信費の記帳漏れと判明したが、残額は原因不明であった。決算整理仕訳を行いなさい。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 2,200 | 現金過不足 | 7,100 |
| 雑損 | 4,900 | ||
| 合計 | 7,100 | 合計 | 7,100 |
検算:借方 2,200 + 4,900 = 7,100 = 貸方 7,100 ✓
解説
手順1 残高の側を確認する
現金過不足は借方残高です。つまり、帳簿の現金残高より実際有高が少なかった(現金が足りなかった)状態です。
手順2 判明分を本来の科目へ振り替える
¥2,200 は通信費の記帳漏れだったので、通信費(費用)を借方に計上します。
手順3 残額を求めて雑損へ
`7,100 − 2,200 = ¥4,900`
残額は原因不明です。借方残高なので雑損(費用)へ振り替えます。
手順4 現金過不足を空にする
借方残高を消すため、現金過不足を貸方に ¥7,100 記入します。判明分と不明分を合わせた全額です。
誤りとなる処理
- 判明分の ¥2,200 だけを処理して、残額 ¥4,900 を放置する:本問では決算日の原因不明残額も雑損へ振り替え、現金過不足の残高を全額消します。
- 雑損ではなく雑益にする:借方残高は現金が足りなかった状態なので費用です。残高が貸方なら雑益です。
- 現金勘定を動かす:現金の金額は、過不足を発見した時点ですでに実際有高へ合わせてあります。
- 使用科目:通信費/雑損/現金過不足
重要度:A 難易度:標準 論点:現金過不足の決算整理(貸方残・一部判明+原因不明額を雑益へ)
問2(標準)
タグ:決算整理
×3年3月31日(決算日) 現金過不足勘定の貸方残高 ¥9,100 について原因を調査したところ、¥2,700 は受取手数料の記帳漏れと判明したが、残額は原因不明であった。決算整理仕訳を行いなさい。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金過不足 | 9,100 | 受取手数料 | 2,700 |
| 雑益 | 6,400 | ||
| 合計 | 9,100 | 合計 | 9,100 |
検算:借方 9,100 = 貸方 2,700 + 6,400 = 9,100 ✓
解説
問1の反対側です。
手順1 残高の側を確認する
現金過不足は貸方残高です。実際有高が帳簿より多かった(現金が多かった)状態です。
手順2 判明分を本来の科目へ振り替える
¥2,700 は受取手数料の記帳漏れだったので、受取手数料(収益)を貸方に計上します。
手順3 残額を求めて雑益へ
`9,100 − 2,700 = ¥6,400`
貸方残高なので雑益(収益)へ振り替えます。
手順4 現金過不足を空にする
貸方残高を消すため、現金過不足を借方に ¥9,100 記入します。
問1との違い
| 問1 | 問2 | |
|---|---|---|
| 現金過不足の残高 | 借方 | 貸方 |
| 現金の状態 | 足りなかった | 多かった |
| 現金過不足を消す側 | 貸方 | 借方 |
| 判明分の科目 | 通信費(費用)=借方 | 受取手数料(収益)=貸方 |
| 原因不明額 | 雑損(費用) | 雑益(収益) |
残高がある側と反対側で消すという規則は共通で、費用側になるか収益側になるかが入れ替わります。
誤りとなる処理
- 雑損と雑益を取り違える:借方残高なら雑損、貸方残高なら雑益です。
- 判明分だけを処理する:残額も同時に処理し、現金過不足を空にします。
- 使用科目:現金過不足/受取手数料/雑益
重要度:A 難易度:標準 論点:決算整理前残高試算表に残った仮払金・仮受金を正式科目へ振り替える
問3(標準)
タグ:決算整理
×3年3月31日(決算日) 次の資料にもとづき、決算整理仕訳を行いなさい。
資料1 決算整理前残高試算表(一部)
| 勘定科目 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 仮払金 | 37,000 | |
| 仮受金 | 49,000 |
資料2 決算整理事項
- 仮払金は、全額が従業員の出張に係る旅費交通費であることが判明した。
- 仮受金は、全額が得意先からの売掛金の回収額であることが判明した。
なお、支払時・入金時の現金および預金の増減は、いずれも記帳済みである。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 37,000 | 仮払金 | 37,000 |
| 仮受金 | 49,000 | 売掛金 | 49,000 |
| 合計 | 86,000 | 合計 | 86,000 |
検算:借方 37,000 + 49,000 = 86,000 = 貸方 37,000 + 49,000 = 86,000 ✓
解説
決算整理前残高試算表に仮払金・仮受金が残っているということは、その中身がまだ帳簿上は確定していないということです。資料2で内容が判明したので、正式な科目へ振り替えます。
取り崩す側は分類で決まります。
| 勘定科目 | 分類 | 決算整理前の残高 | 取り崩す側 |
|---|---|---|---|
| 仮払金 | 資産 | 借方 | 貸方 |
| 仮受金 | 負債 | 貸方 | 借方 |
1(仮払金):出張旅費と判明したので、旅費交通費(費用)を借方に計上し、仮払金を貸方で取り崩します。
2(仮受金):売掛金の回収と判明したので、仮受金を借方で取り崩し、売掛金(資産)を貸方で減らします。得意先に対する代金請求権が回収によって消えたことを表します。
現金や預金を動かさない理由:支払い・入金そのものは取引時にすでに記帳済みです。決算整理で行うのは、相手科目の置き換えだけです。
誤りとなる処理
- 仮払金を借方に置く:資産をさらに増やすことになります。取り崩すのは貸方です。
- 仮受金を貸方に置く:負債をさらに増やすことになります。取り崩すのは借方です。
- 入金額を普通預金などで再度計上する:同じ入金を二重に記録することになります。
- 問題文に内容の説明がないのに振り替える:振替先は、判明した内容からしか決まりません。
科目を区別するポイント:仮払金は内容が確定していない支出に使う科目で、商品などの手付金に使う前払金とは異なります。同様に仮受金と前受金も異なります(C05-T08)。
- 使用科目:旅費交通費/仮払金/仮受金/売掛金
重要度:A 難易度:応用 論点:支払額から貸方残高を算定し、当座借越へ振り替える
問4(応用)
タグ:決算整理
×3年3月31日(決算日) 当座預金勘定の残高は ¥42,000 であったが、その後に買掛金 ¥61,000 を当座預金口座から支払い、この支払いは記帳済みである。そのまま決算日を迎えた。当座借越契約を結んでおり、貸方残高は当座借越へ振り替えるものとする。決算整理仕訳を行いなさい。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 19,000 | 当座借越 | 19,000 |
| 合計 | 19,000 | 合計 | 19,000 |
検算:借方 19,000 = 貸方 19,000 ✓
解説
手順1 決算日の当座預金残高を求める
`42,000 − 61,000 = △19,000`
支払額が残高を上回っているので、当座預金は ¥19,000 の貸方残高になっています。
手順2 振り替えるのは「貸方残高」であって「支払額」ではない
ここが本問の要点です。
| 金額 | 意味 | 振替の対象 |
|---|---|---|
| 61,000 | 買掛金の支払額 | 対象外(すでに記帳済み) |
| 42,000 | 支払前の当座預金残高 | 対象外 |
| 19,000 | 決算日の貸方残高 | これを振り替える |
手順3 負債へ振り替える
貸方残高になっている当座預金を借方に記入して0に戻し、借りている状態を当座借越(負債)として貸方に計上します。
誤りとなる処理
- 支払額の ¥61,000 を振り替える:振り替えるのは決算日の貸方残高だけです。支払いの記帳はすでに済んでいます。
- 借方と貸方を逆にする:貸方残高となっている当座預金を貸方でさらに増やす向きになり、決算時の振替方向が逆です。
- 買掛金の支払仕訳をもう一度書く:支払いは記帳済みであり、決算整理で行うのは振替だけです(支払時の処理は C04-T03)。
本教材の公開正答では、使用勘定科目マスタのA列正式科目である 当座借越 に表記を統一します。
- 使用科目:当座預金/当座借越
重要度:A 難易度:標準 論点:翌期首の再振替(決算整理仕訳の反対仕訳)
問5(標準)
タグ:決算整理
×3年3月31日(前期末)の決算にあたり、当座預金の貸方残高 ¥23,000 について次の仕訳を行っていた。
(借)当座預金 23,000 /(貸)当座借越 23,000
×3年4月1日(翌期首)に行う再振替仕訳を示しなさい。
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正解
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座借越 | 23,000 | 当座預金 | 23,000 |
| 合計 | 23,000 | 合計 | 23,000 |
検算:借方 23,000 = 貸方 23,000 ✓
解説
再振替とは、前期末に行った決算整理仕訳を取り消す処理です。したがって、借方と貸方を入れ替えた反対仕訳を行います。
| 時点 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 前期末(決算整理) | 当座預金 23,000 | 当座借越 23,000 |
| 翌期首(再振替) | 当座借越 23,000 | 当座預金 23,000 |
- 借方の理由:前期末に計上した当座借越(負債)を減らすためです。
- 貸方の理由:当座預金を再び ¥23,000 の貸方残高に戻すためです。
戻す理由:翌期の入出金を、当座預金勘定1本で続けて処理できる状態にするためです。再振替をしておけば、その後に入金があったときに、通常どおり当座預金の増加として記帳するだけで借越状態が解消されていきます(入金時の処理は C04-T03)。
誤りとなる処理
- 前期末と同じ向きで仕訳する:当座借越という負債が二重に計上されます。
- 本教材のように、翌期も当座預金勘定1本で期中処理を続ける前提なのに再振替をしない:前期末の表示振替が残り、翌期の期中処理の前提と整合しません。
- 使用科目:当座借越/当座預金

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