定期預金と受取利息|元本は収益ではない、を確実にする

① このページで学ぶこと

このページでは、定期預金と、預金から生じる受取利息の処理を学びます。

  • 定期預金とは何か、なぜ資産なのか
  • 定期預金が増えたとき・減ったときの記録方向
  • 普通預金から定期預金へ預け替えたときの仕訳
  • 受取利息とは何か、なぜ収益なのか
  • 利息だけを受け取ったときの仕訳
  • 元本と利息を分けて考える
  • 満期に元本と利息をまとめて受け取ったときの仕訳
  • 元本・年利率・期間から受取利息を計算する

この単元でいちばん大切なのは、次の一点です。

預けた元本が戻ってくることは収益ではない。新たに増えた利息の部分だけが収益になる。


② 定期預金とは

定期預金とは、あらかじめ預入期間や満期を定めて銀行などへ預ける預金です。原則として随時入出金できる普通預金とは、預入れの条件や払戻しの条件が異なります。

定期預金は、会社が銀行に対して持っている預金ですから、資産です。したがって記録方向は、他の資産と同じです。

勘定科目 5要素 増えたとき 減ったとき
普通預金 資産 借方 貸方
定期預金 資産 借方 貸方
現金 資産 借方 貸方

「定期」という言葉に特別な意味を読み込む必要はありません。簿記の扱いとしては、普通預金と同じ資産の勘定です。


③ 普通預金から定期預金へ預け替える

会社が普通預金 300,000円を定期預金へ預け替えたとします。

借方科目 金額 貸方科目 金額
定期預金 300,000 普通預金 300,000
  • 借方の理由:定期預金という資産が 300,000円 増えた
  • 貸方の理由:普通預金という資産が 300,000円 減った

ここで大切なのは、会社全体の資産が 300,000円 増えたわけではないということです。

普通預金という資産が、定期預金という別の資産に姿を変えただけ

です。お金を使い切ったわけでもないので、費用にもなりません。

このような資産である預金どうしの振替で向きを間違えないための考え方は単純です。

「どこから」出したかが貸方、「どこへ」入れたかが借方


④ 受取利息とは

受取利息とは、預金や貸付金などから受け取る利息を記録する収益の勘定科目です。

収益は、発生したら貸方に記録します。

勘定科目 5要素 発生したとき
受取利息 収益 貸方

会社は、お金を預けていたという事実によって利息を得ています。これは会社が新たに得たものなので、収益として記録します。

なお、「利息」という言葉が出てきたからといって、反射的に支払利息を選ばないでください。会社が受け取る側なら受取利息、支払う側なら支払利息です。入金なのか出金なのかを必ず確認します。


⑤ 利息だけを受け取ったとき

定期預金について利息 4,000円を受け取り、普通預金口座へ入金されたとします。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金 4,000 受取利息 4,000
  • 借方の理由:普通預金という資産が増えた
  • 貸方の理由:受取利息という収益が発生した

同じ利息を現金で受け取った場合は、借方が現金に変わるだけです。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 4,000 受取利息 4,000

受け取る手段(普通預金か現金か)が変わっても、貸方の科目は受取利息のままです。

受取方法と、収益の種類は別の話だと整理しておいてください。


⑥ 元本と利息を分ける ― この単元の中心

定期預金 100,000円が満期となり、元本 100,000円と利息 2,000円の合計 102,000円が普通預金へ入金されたとします。

普通預金は 102,000円増えますが、収益は 102,000円ではありません。

金額 正体 処理
100,000円 以前から持っていた定期預金という資産が戻ってきた 資産の回収(定期預金の減少)
2,000円 預けていたことで新たに得たもの 収益の発生(受取利息)

したがって仕訳は、貸方が2行になります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金 102,000 定期預金 100,000
受取利息 2,000

検算:借方 102,000 = 貸方 100,000 + 2,000 ✓

なぜ元本が収益にならないのでしょうか。預け替えのときを思い出してください。

預け替えたとき (借)定期預金 100,000 /(貸)普通預金 100,000

このとき、会社の持つ価値は増えていませんでした。ならば、その 100,000円が戻ってきたときにも、価値が増えたことにはなりません。行って帰ってきただけです。

増えたのは、銀行が上乗せしてくれた 2,000円だけ。だからそこだけが収益になります。


⑦ 受取利息の計算

問題によっては、利息の金額が与えられず、元本・年利率・預入期間から自分で計算することがあります。

基本の式は次のとおりです。

受取利息 = 元本 × 年利率 × 預入期間

年利率は「1年間預けたらいくら付くか」を表しています。ですから、預入期間が1年に満たない場合は、月数で按分します。

受取利息 = 元本 × 年利率 × 預入月数 ÷ 12か月

例1(12か月) 元本 300,000円・年利率 1.2%・預入期間 12か月

300,000 × 1.2% = 3,600円 (12か月=1年分なので按分は不要です)

例2(6か月) 元本 120,000円・年利率 2%・預入期間 6か月

120,000 × 2% × 6 ÷ 12 = 1,200円

例3(9か月) 元本 600,000円・年利率 1.6%・預入期間 9か月

600,000 × 1.6% × 9 ÷ 12 = 7,200円

計算するときは、次の2点を確認してください。

  1. 年利率をそのまま期間全体に掛けない。 本教材のように預入期間が月数で与えられる単利計算では、12か月未満なら「月数÷12」で按分します。
  2. 元本を利息に含めない。 求めているのは上乗せ分だけです。

満期に受け取る金額の合計が問われた場合は、

満期受取総額 = 元本 + 受取利息

です。⑥で見たとおり、このうち収益は受取利息の部分だけです。


⑧ 計算条件は問題文に従う

利息の計算では、問題文で与えられた条件に従ってください。 条件が書かれていないことを、自分で補ってはいけません。

本教材の計算問題では、次の前提を置いています。

  • 利息は単利で計算する
  • 預入期間は月数で与え、「月数 ÷ 12か月」で按分する
  • 税金その他の控除は考慮しない

3つめについて、注意点があります。これはその問題における計算上の仮定であって、「預金の利息に税金がかからない」という一般的な話ではありません。控除の有無は、問題文の指示で決まります。

日数で計算する条件(1年を何日として扱うかなど)が与えられている場合も同じで、その指示に従います。 指示がないのに「1年=365日」などと勝手に決めてはいけません。


⑨ 決算日をまたぐ利息について(予告)

この単元で扱うのは、実際に受け取った利息です。

決算日の時点で、当期の分としてすでに発生しているのに、まだ受け取っていない利息があることがあります。この場合は、当期の収益として計上するための決算整理を行い、未収利息などの勘定を使います。

この期間調整の処理は、C09-T05「費用の未払いと収益の未収(見越し)」およびC14-T07「経過勘定の決算整理」で扱います。 この単元では、「受け取った利息を受取利息として計上する」という基本を確実にしておいてください。


⑩ この単元と他の単元の境界

内容 扱う単元
普通預金・当座預金そのものの性格(決済専用・無利息など) C04-T02「普通預金・当座預金」
当座借越、当座預金の貸方残高 C04-T03「当座借越」
定期預金、預金利息、元本と利息、利息計算 本単元 C04-T04
A銀行普通預金・B銀行普通預金のような銀行名つき勘定での口座別管理 C04-T05「複数口座の管理(銀行名つき勘定)」
貸付金から生じる受取利息 C05-T04「貸付金・借入金」
受取家賃・受取地代・受取手数料などを横断的に整理する C09-T02「主要な収益の処理」
未収利息・経過勘定による期間調整 C09-T05/C14-T07

⑪ 試験での問われ方

当サイトの第1問形式(仕訳)では、預け替え・利息の受取り・満期時の元本+利息が問われます。特に満期の問題では、貸方が2行になる複合仕訳を書けるかどうかが分かれ目になります。

第2問形式(勘定記入・計算)では、定期預金の残高や受取利息の金額、満期時の入金額を求める形につながります。

第3問形式(決算)では、受取利息が期間調整の対象になることがあります。その処理はC09-T05・C14-T07で扱います。

年度差について:定期預金・受取利息は、本教材では2026年度・2027年度の両方の受験の方に共通する学習対象として扱います。本単元の問題には、年度によって扱いが変わる論点(紙媒体の小切手など)を含めていません。


⑫ まとめ

取引 借方 貸方
普通預金から定期預金へ預け替える 定期預金 普通預金
利息を普通預金で受け取る 普通預金 受取利息
利息を現金で受け取る 現金 受取利息
満期に元本+利息を普通預金で受け取る 普通預金(合計額) 定期預金(元本)・受取利息(利息)

計算の式は2つだけです。

受取利息 = 元本 × 年利率 × 預入月数 ÷ 12か月 満期受取総額 = 元本 + 受取利息

そして、この単元を貫く考え方は次の一行です。

元本=もともと持っていた資産。利息=新たに得た収益。


⑬ 2級への接続

2級でも、預金や貸付金・有価証券などから生じる利息や配当を、元本とは分けて処理するという考え方は変わりません。

また、決算では「すでに当期分として発生しているが、まだ受け取っていない利息」を適切な期間へ配分する処理が本格的に登場します。そこで土台になるのが、この単元で身につける、

入金額をそのまま収益にせず、資産の回収部分と収益部分に分ける

という見方です。3級ではまず、元本の回収は収益ではないこと、利息部分だけが受取利息という収益になることを、確実にしておきましょう。


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